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四者面談

Ciftのfounderである健介さんからじっくりコンセプトのレクチャーをしてもらい、私の妄想コミュニティの話や、紆余曲折あってサラリーマン修行中であること、世界を愛に満ちた場所にしたいという野望なども話した後、

「これはご縁ですね。ぜひCiftの家族になってください」

という「拡張家族Cift」ならではの言葉をもらった私ですが、それでさくっと家族になるわけではありませんでした。翌週、渋谷のCiftで他のメンバーと会ってください、と言われました。

これは、私も図面だけでこれから住む物件を決めるのは不安があったので、ありがたいオファーでした。入居するとしたら、空きが出たその部屋は、私が住んでいた部屋の6割強の広さ(狭さ)で収納も少なそう。でも、諸費用含めると、月々かかるお金はほとんど下がらない。渋谷のど真ん中に住むといっても、JRの改札口からは私の足で約7分かかるので、個人的には「駅チカ」ではない。だって、今住んでるところは渋谷から2駅の、駅のホームから部屋の目の前まで2分の超駅チカ物件なんだもの。理念やご縁と物理的、経済的な条件がどうバランスするのか、入居を決める前に知っておきたいのは当然です。

「ぜひ遊びに行かせてください」

「ぜひぜひ。じゃあ、面談はお昼時にして、りえこさんコモンズのキッチンでなんかランチ作ってください。みんなで食べながら話しましょう」

と、涼しい顔でハードルが上がった気がしないでもないですが、こちらも気負わないでちゃちゃっと作るよ、という感じで話がまとまりました。

【Ciftと宗教の違い】

ここまでの流れを読んで、Ciftって宗教っぽい、と感じた人がいても不思議ではないと思います。たとえあくまでも個々がComfortableな範囲でそこにコミットしていても、Founderがいて、理念があり、それに賛同した人だけが「家族」という認識でコミュニティを形成し、与え、与えられる、という仕組みは、すごく宗教っぽい。ただ、これはレクチャーの際に私が健介さんに確認したことでもあるのですが、Ciftと宗教の違いは「そこに決まりがない」ことなのです。

「決まりは作りません。物件の契約は東急不動産となので賃貸契約者として東急が決めた決まりごとはあります。ゴミ出しのルールとか、コモンズの使い方とか。Ciftというコミュニティはルールなしです。なぜかというと、ルールを作ると、それを守らない人への罰則という概念が付随してしまうから。だからあえてルールは作らず、問題があればみんなで話し合います」

これ、私にとっては納得のいく説明でした。でも、文字にすると、その時の「なるほどね」という感覚がうまく伝わらない気がする。

【第二次創成期のCift】

レクチャーの際にもうひとつわかったことは、今は健介さんは少し離れた立ち位置でCiftにかかわっていて、Ciftが第二次創成期にさしかかっているということでした。自分もかかわることはやめないけれど、今後は主にコミュニティを引っ張っていく役割は、Ciftメンバー2人に任せようと思う、と。

じっくり健介さんがCiftに込めた思いを聞き、それが私の妄想コミュニティや、今後具現化したい世界の在り方にすごく近い!と思ったからこその引っ越し話ではありますが、求める環境に近いところにスポッと入ってしまうより、ここから変わっていくものにしっかりかかわるからこそ、自分自身も深め、広げられるし、妄想が妄想で終わるのか、もっと進化した何かとして未来のどこかで形になるのかという可能性や、学びの質量も増えるのではないかと、不安も感じつつ、わくわくも増えてきました。睡眠とわくわくが足りないと機能しない性質なので、いい感じに燃料が投入された状態。

【四者面談までに考えたこと】

四者面談当日までは、レクチャー時のわくわくの揺り戻しのように不安でした。

今の半分の広さで収納もめっちゃ少ないということは、トランクルームも借りなくちゃ。「自由すぎる」と物心ついた時からずっと言われてきた私が、コミュニティで「拡張家族」として受け入れてもらえるのだろうか。

四者面談で実際に見て、話して、感じたら、気が変わるかもしれないし。だから、住んでいる物件に退去の告知をするのは、この時点ではペンディングにしていました。

当然、海外に住む娘たちにも相談しました。彼女たちが一時帰国する際にかかわる環境でもある以上、私の一存で決められないし、コミュニティのコンセプト自体に、彼女たちがどういう意見を持つのかも知ったうえで決めたかった。

娘たちには下記のようなことを、超長文メールで送りました。

・今の住まいはとても快適で、仕事も楽しくて、なんかこのままぬくぬくと日々過ごしたら、私は2年後にも今のままで、成長してないと思う

・独り暮らしは最初こそものすごい違和感があったけれど、「気楽でいい」という感覚も今はわかる。このまま「気楽で快適で、いろいろ夢はあるけど語ってるだけ」だと、あっという間に何も成長しないで還暦迎えそう

・Ciftのメンバーになるという話がこのタイミングで進んでいることは、そういう流れで、たぶんこのまま乗るのが自然なのだろうなと感じでいる

・私がひとりで妄想してきたコミュニティをゼロから作り上げるのは、人脈、エネルギー、時間、費用などの面で現実的ではないという事実を踏まえたうえで、すでに機能していCiftの一員となるのは非常に面白い。実際「中の人」になってみたら「やっぱりコミュニティなんてあっても意味ないわ」とか、「世の中に愛を蔓延させるにはコミュニティ造りではない方法が有効」とか、考えが全く変わるかもしれないけれど、それに気づくこともかけがえのない学び

・自分の意識改革、自己変容を求めて海外留学や移住、そこまでいかなくてもリカラントなどをしようと思ったら、当然それなりの費用がかかる。これは私にとって大きな学びになる体験だから、引っ越しにお金がかかっても、持っていけない私財をトランクルームなどに入れるのも、これを留学だと思えば、まあ当たり前の出費

・Ciftは声高に思想を主張し周囲に変化を求める団体でもなく、集団のエネルギーが内向きに完結しがちなコミューンや新興宗教的な存在でもなく、コンセプトに基づいたコレクティブなアート作品であり、社会実験であり、その姿を発信することで社会がより良い場所になるヒントや気づきを得てくれたらもっといいけど、でもこれ遊びだから、という質感がしっくりくる

私のアイデンティティの中で、娘たちの母であることは大きな意味を持っているので、メールの反応が「面白そう。賛成!」だったことは、素直にうれしかったです。

【四者面談当日】

前日に作ったおからサラダと、鯖トマトパスタの材料を携え、お昼前にCiftへ。荷物をキッチンに置き、いきなり料理を始めようとする私に

「え?まず座ったりしないの?いきなり?」
と驚きつつも、キュウリを切って手伝ってくれる健介さん。

光のたくさん入るキッチン、ダイニングとリビングエリアがガラス扉で仕切られ、向こうでは女性がひとり作業中。パスタソースを煮込むところまで仕上げてから、住人のローラちゃんと健介さんに各部屋を見せてもらいました。

事前のやり取りでは、私が入居することになる部屋と同じ間取りの、あんじゅちゃんの部屋を見せてもらう、という話でしたが、端からひとつひとつ部屋をめぐり、いくつもの部屋の中、住人の名前、どんなことをしている人か、などローラちゃんが教えてくれました(すごい情報量!)。「誰かが見にくる」ために掃除したり整えた感がゼロwなあるがままの生活感が新鮮w

健介さんもローラちゃんも、「今度仲間になるりえこさん」という言葉で私を紹介していました。まだ相手のこと何も知らないこの段階で過剰に「家族」を強調されていたら、内心ひいてしまっていたと思うけれど、そうではなくて、昔の長屋の近所づきあいってこんなだったんじゃないかな、と思うような気さくさに安心しました。

13Fツアーを終え、キッチンに戻りランチ。
Ciftやコミュニティ作りへの思いなど、おしゃべり。四者面談という言うより、完全にランチ食べながらおしゃべり会。風通しが良くて、テーブルが広いので、適度に間隔があいて密にならないのはwithコロナ時代に大切なこと。

これは事前にちゃんと知っておいた方が良いよね、ということをローラちゃんが包み隠さず話してくれるので、こちらもどんどん質問。その間にも何人かがキッチンに入って来ては、私の作ったものの残りを食べながらお話したり、コーヒーを入れてくれ、結局「四者面談」の4人て誰だったの? は不明ながら、私の方は「このくらいの距離感だったら楽しくやっていけそう」という感触を得て、むこうからも「りえこさんが家族になってくれるの楽しみ」と言ってもらえたので、どうやら面談は無事終了したらしい、ということはわかりました。



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