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大人の役割は指導することでもただ放っておくことでもない【訪問:森のこども園てくてく】

「森のこども園てくてく」にお邪魔し、半日見学させてもらいました。

園長の小菅さんに、7年前に園舎ができたこと、森の材で園舎内外を彩っていること、2年前から認定こども園になったことなど園の沿革から伺いました。

スタッフの出身地や、保護者ボランティアが入っていることなど他の園とは異なるシステムで運用されている部分も多くあるそうで、「保育士が保育する」というより、「色々な大人で成長を見守る」という雰囲気を感じました。

てくてくの半日

この日は「ほねほねはかせ」が来園し、種々の野生動物の頭骨や毛皮を持ってきました。頭骨は大きな角のついたシカや、イルカ、ワニなどもありました。毛皮もウサギや仔鹿などがあり、子どもたちは思い思いに被ったり触ったりしていました。

野生動物の足跡を模造紙に描いたものを確認したあと、外に出ました。今日は気温も高く雪解けが進んでいます。一歩歩くと30cm埋まるような雪に覆われた林道を突き進むはかせ、それに続いていく子ども、続かない子ども。しばらくするとはかせ率いる先頭集団はずっと先に見えなくなりました。それぞれのペースで進む子どもたち。と、数人の大人。

目的地に着いたら、大人もちょっと戸惑うくらいの急傾斜を子どもたちはどんどんと駆け上がっていきます。下るときも半分は斜面を滑りながら、半分は飛び降りるようなスピード、ダイナミックさが建物の中にいる子どもと全く異なります。

大人の立ち方

一見すると子どもが突き進んでいっているようにも見えるけれど、実は絶妙な距離感に大人がいました。聞いたところによると、それぞれの子どもがどのような人なのかを把握しているからこうした幼児教育が可能になっているとのことです。年度当初は子どもの実態が把握できていないぶん、慎重に入るのだとか。
子どもを子どもとして一律に制御するのではなく、それぞれの子どもに必要なことを見極めて見守る、という立ち位置に見えました。

活動の最中には対立や諍いも起こります。
小菅さんはこうした物事の解決を民主主義の芽生えと表現していました。全員一致の意見にならなかった場合の少数側の立場をどう慮るか、その礎が幼児期にあるというお話は非常に納得感が強かったです。
子どもたちは目の前の様々なことにぶつかり、話しながら解決を図ろうとしているようでした。

子どもは自由に振る舞っているように見えますが、決して勝手気ままに過ごしているわけではありません。
大人の用意した環境、支援のもとで過ごしています。
でも、決して大人は何かを教え込んだり躾けたりを強く行おうとはしていません。
この辺りの匙加減を、場にいる人、皆が共通了解している様子です。

自己選択、自己決定を繰り返してきた子どもが、就学時してから自己決定できないジレンマにぶつかるというお話が刺さりました。
学校現場の大人として、子どもと大人の両方の目線でカリキュラムを捉えないとならないなと感じます。

森のようすも気になります。
また雪が溶けたら寄せていただけると嬉しいです。

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