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Chiptune #1 あるいは遊戯音楽

以前の話はChiptune序章からの話。

パソコンではPC-8801mk2が来てから2Dディスクの恩恵を受けた。テープでロードするという事がなくなりベーシックで色々なコマンドを試して簡単なものを作ったり、今までより充実したグラフィック画面に模様を書いたりした。そしてPC-8801mk2 SRに買い替えた後は音楽がそうでMMLとの出会いがあった。少しだけどまともにMMLをコンパイルし始めたのはTOWNS以降だが、その頃に初めて今まで使っていた8bit機とは違う新しい世界を見た。それはシステムソフトが作っていたDEMOディスクもそうだったし、ゲームも発売されやすくなった。それは表現力、ディスクドライブの両面あると思う。そういう時代になってきていた。

ソーサリアン - 古代祐三,竹林令子,石川三恵子

日本ファルコムがドラゴンスレイヤーを出した頃はまだテープもあった。だがディスクドライブの性能を感じたのはドラゴンスレイヤー以前に発売されたアステカというアドベンチャーゲームで、カチカチ音のするディスクアクセスした瞬間、画像が表示されるような読み込みの速さに度肝を抜かれた。だがドラゴンスレイヤーというと、RPGなのに全画面スクロールというか斬新な半アクションゲームで、色も処理速度の制約か誤解を恐れず言えば青と緑色いっぱいの画面だった。その時は分からなかったがドラゴンスレイヤーは始まりであって、後にシリーズになった。二作目のザナドゥは色は違えど高速化のためと思われる画面の特徴は似ていて、斬新なアクションRPGとなっていた。そしてみんな熱狂した。場内ダンジョンを進む音楽はひっそりしていて悲しげで、魔物がささやくような、魔法で眠らされてしまうような、そんな感じがした。そしてイースが出たときはゲームそのもの、そして様々な音楽に驚いた。それは前回にも書いたが古代祐三さんの存在が大きい。そしてその後直ぐにでたソーサリアン。これはもう忘れられないゲームだ。イースもそうだがより一層長く遊んだ。後々まで。後々にもTAKERUにセレクテッドソーサリアンを買いに行って遊んだりした。そしてこの追加シナリオというシステムも大きかった。戦国ソーサリアンのようなシリーズも驚いたし楽しみが広がる。遊んでみると力技ではあるがペンタウァとのかかわりなどちゃんとしていた。そして音楽だ。すべて聞いてほしいが先ずは"オープニング"。ここから何かが始まるという感じが好きだ。いざ行かんというような勇ましい感じではないが、しっとりした物語の扉を開く曲でとても印象に残る。もちろん毎回起動時に聞いていたというのもあるだろう。しかし何度聞いても飽きず、何度聞いてもまた聞きたくなる。そういう曲だ。そして"ペンタウァII"、この曲と"ペンタウァI"のどちらかが町に行くとかかる。"ペンタウァI"はジャズっぽいタメのあるような曲で、"ペンタウァII"はアップテンポでおおよそ街という雰囲気ではない。街の喧騒という感じなのだろうか。これもとても耳と記憶に残っている。そして"TRAVELERS INN"。街に返ってきた音楽。ここで経験値や冒険で得たものを分配する。旅が終わった充実感があるはずだが、何とも悲しげでピアノっぽい音色が心地いい。確かに宿屋で休んでいるような感じはする。次にシナリオでは失われたタリスマンの"森"もいい。希望に満ちた冒険に向かうようなそんな曲。うきうきしている様子を感じ、パーカッションの音が心地よい。ルシフェルの水門では"地下ダンジョン"も印象深い。音楽の印象深さはゲームのシナリオをプレイするという行為、それからくるというのもあるだろう。しかしこの緊張感の中で流れるようなメロディ、そういうのに惹かれている。盗賊たちの塔では"地底""封印"も好きだ。ここで私が書いているのは大体が古代祐三さんの曲ばかりだが、"封印"は 竹林令子さんらしい。そして呪われたクイーンマリー号の"船内"、船出した船乗りの気持ちが出ているようで大好きだ。港町に育った私は関係ないのに懐かしさや風を感じてしまう。不老長寿の水の"生きている洞窟"と"ダブル・デビルス"もいい。前者は不思議な感じがし、沼地に足を踏み入れたようなサウンドが印象的で、後者はボス戦らしい感じ。古代節というわけでもないのかもしれないけど、ベースがかっこよくギターの音が速弾きハードロック風でカッコいい。そして最後に絶対に外せないのが"エンディングII"だ。これはとてもいいFM音源。ベルのような鐘のような音はFM音源にぴったりだ。キラキラしている音がFM音源らしい。この曲はループするが、ループし続けて永遠に聞いていたいような曲。ゲームが終わって真っ暗な夢の中をずっと浮かんで流れているような、そんな落ち着きと安心感を感じる。この曲は古代さんではなく石川三恵子さんだ。この素晴らしいゲームは多くの人がかかわってできている大変なものだったんだなと思わせる。そしてこのソーサリアンはここに書いたどの曲も素晴らしいが、これらの曲、他の曲も含め、ソーサリアンという奇跡なんだなと思っている。


影の伝説 - 小倉久佳

音楽を聞きたかった。ある日ゲームセンターに行くと置いてあった。タイトーのゲームは多いのでまた新作が入ったのかなって程度だった。そういうゲームが影の伝説だった。しかしプレイしてみるとどちらかというと雑に感じ、難しく、自分には合ってない。しかし、プレイした。それはその負の面を帳消しにできるような動機があったからだ。それはやっぱり音楽。それはタイトーの音楽神と勝手に思っているOGRこと小倉久佳さんの音楽で、アーケード版はFM音源版とMSM5232版があるようだ。多分どっちも聞いていると思う。でも印象に残ってるのは断然FM音源版だ。琴っぽい音で始まりシンセドラム風の音が響く。そして闇を切り裂くようで特徴的な、刃物で切ったような効果音のようなアクセントの音。シンセドラムが不安を煽り、その中を琴の音色と共に素早く進み、剣の闇を切り裂く音で敵をも切り裂く。そういう感じがとても好きだ。そしてボス戦は緊迫感の中に鼓の音が鳴り響く。この一連の感じは奇々怪々につながるイメージだ。全体的にこの和のテイストはあの頃のゲームセンターでは考えられなかった興奮だった。それを今でも忘れれてないよ。

またMSM5232に興味がある人は古代祐三さんがtwitterでワイバーンF-0の曲を同じチップを使用したシンセで再現してくれている。素晴らしい。一見です。



Propaganda M.O.N. - Rey Ouwehand

この曲はCommodore 64のMoonwalkerというdemoの曲で、当時のチップチューンらしい感じが好きだ。知ったのは後々だったが、以前書いたNiftyのFTPゲートウェイを使ってAminetからMODをダウンロードしていた頃の曲らを思い浮かべる。アルペジオでもないが、高速アルペジオと同じ手法で二つの旋律を合わせている。これは曲が始まってから終わりまでほとんど鳴り続けている。そしてそれが二重に(四重に)重なることもある。それでもメロディの音は厚くノイズを使ったリズムも心地よい。この曲もループするがそれもdemoっぽいしChiptuneぽい。今回この曲の事を書いたのは偶然かもしれないが、こういう曲はとてもたくさんあって、それに溺れつつも聞いている。そういうのも楽しい。そしてそれがChiptuneだと思いたい。


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