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【詩】山の子

熊笹の乾いた音に釣り込まれ
小枝を踏み踏み山道をたどる
霧雨が身を取り巻く気配がある
油断ならぬとはこのようなこと
樹皮の破れから覗く子に誓うが
山の神をたぶらかしはしない
この誘いを不意にはしまい
受信機のつまみを捻って
感度を最大限にし
腹に息を吸い溜めて
現には戻らないと決めた

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