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"すみません"ですまさない。

私が高校生の時、担任かつ現国担当だったK先生。
K先生は日本語の研究者でもあり、授業中に様々な日本語トリビアや見解をよくお話ししてくれました。
ある日の授業で 先生がふとこうおっしゃいました。
「最近、みんな "すみません" を使いすぎねぇ。」
先生はこう続けました。
「感謝の気持ちには "ありがとう"、謝罪の気持ちには "ごめんなさい" という言葉が存在しているのだから、きちんと分けて使わなきゃ。本当に感じた気持ちが相手にちゃんと伝わらない。もったいないわよ。」
先生の話しぶりは説教するわけでもなく、ただほんとうに最近感じていることをなんと無しに口に出しているといった様子でした。
私は先生の意見にみょうに合点がいって、それ以来 街中や乗り物の中での身知らぬ人とのちょっとした場面でも "すみません" ですませずに、自分の気持ちに沿った言葉を使うよう心がけるようになりました。
そのほうが、相手もこころなしか まるくやわらかな雰囲気になってその場を去ってゆくような感覚がするのです。
ささやかな心がけかもしれないけれど、そのささやかな心遣いがお互いをほっこりさせたり、一瞬 高ぶった気持ちのガス抜きをしてくれたりするのではないのかと。
相手が近しい人ならより大切に心がけることで、より心地よい関係を築くためのいい潤滑油になってくれているように日々ずっと感じてきました。
だから先生にとっては何気なく発した言葉だったかもしれないけれど、私にとっては高校生の頃からずっと心に留めている大切な教えなのです。

#大切にしている教え  

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