魔乃アロエちゃんの卒業に寄せて

本日、カバー株式会社よりホロライブ5期生の「魔乃アロエ」卒業に関する声明が発表されました。

今年の8月15日に配信デビューしたものの、その翌々日には過去のトラブルが発覚し2週間の謹慎処分とされ、その謹慎処分が解除となる予定だった今日を持って「卒業」という形でホロライブから去ることとなりました。

心のどこかでは(このまま表舞台から去ってしまうのでは無いか)と危惧していたのですが、5期生の配信の中では「5人でやりたいこと〜」「まのあろとコラボして〜」という趣旨の発言がたびたびありましたので、復帰は既定路線だと信じたい気持ちでいっぱいでした。
小さな不安が的中してしまい、どう悲しんでいいものか、もうあの歌声を耳にすることが出来ないのか、ねねちーとのてぇてぇが見れないのか、楽しみがいっぱいあったのに、、何故こんなことに、という思いです。

このような”炎上”には「うそ」「誇大表現」「執拗で粘着質な匿名攻撃」がつきものなので、公式発表以外の情報に価値はない、と考えています。なので、公式発表から勝手に想像して、表舞台から去ってしまう「まのあろ」に思いを巡らせます。

1.ホロライブでデビューするということ
これまで数多くのライバーがホロライブという箱からデビューしてきましたが、活動を積み重ねるにつれ、デビューするライバーへの期待値もぐんぐん上がっています。これは、チャンネル開設とほぼ同時に10万人以上のチャンネル登録者を集めることからも明らかで、それだけライバー本人へのプレッシャーも相応なものと推察されます。今回の5期生デビュー配信では、トップバッターのラミィちゃん、2番手ねねちー、それから4日目のまのあろ、特にこの三人は緊張の様子がひしひしと伝わってきて、初々しく、応援したい!という気持ちも自然と生まれてくるものでした(その一方で、ししろんは初配信とは思えない安定感と懐の広さ、おまるんはホロライブ屈指の奇人感から、いずれもまた前述の三人とは違う応援したさが芽生えましたが)。プレッシャーと緊張の度合いはおそらく比例するものと思いますし、そもそもホロライブのオーディションに参加するからには配信者としての相応の思いや目標も持っていたことでしょうから、初配信に向けて準備を整え、ある種最初のピークを持っていく作業というのは、非常に体力・気力を使うものだったのではないでしょうか。

2.トラブルの発覚
今思えば、初配信翌日、おまるんデビュー配信の振り返り放送でのまのあろの様子は不安定というか、司会という役割をこなすのも難しいように思えるほどでした。視聴中は、おまるんの奇人っぷりに振り回されているだけ、とも取れましたが、その翌日に突然の「大事なお知らせ」配信があり、ここに繋がっていたのか、と思うところです。
トラブルの内容は、公式(運営の発表および本人からの発信)情報に則る限りは、Live2Dモデルを他人の目につくところへとデビュー前から出してしまったことです。ライバーのLive2Dモデルはいわば運営側の資産であり、それを不適切な形で電波に乗せてしまったというのは、経過がどうあれ、落ち度であることは避けられないと感じています。
しかしそれ以上にこの”炎上”が延焼したのは、この落ち度以外の、確証も取れない前世としての発言や行動と、それに対する””誹謗””と””中傷””によるものであることに疑いの余地はありません。
更には、関係者へ直接電話で誹謗中傷が届くような事態にまでなり(本人の「大事なお知らせ」配信で言及された)、もはや常軌を逸しています。
結果的には、この誹謗中傷が「卒業」の決定打となったものと想像しています。

3.本来の復帰予定と、卒業
謹慎期間は2週間と発表され、その後、本人のTwitterでも運営でも情報は発信されることなく、時折5期生の配信内でまのあろを待っている、という言及がなされる程度の期間が続きました。
この間、いちファンとして、どのような形で復帰するのか想像を巡らせておりました。デビュー配信同様、やはり特徴である「歌」で再起を図るのか、騒動を逆手にダーティ路線を開拓するのか…どんな形であれ、復帰配信を楽しむことが彼女を”推した”責任だと思っていました。
しかしその一方で、わずか数度の配信しかしていない中で初っ端から”炎上”してしまい、今後のイメージ戦略について難しい舵取りを迫られるだろうな、という思いもありました。既に人気を獲得した中での謹慎とあらば、大量の否定的な意見とともに、それ以上に応援の気持ちが湧き上がってくるものでしょう。ですが、「良いファン」がバックにつく前のこの段階では否定的な意見の割合が目立ってしまうのは致し方なく、本人としても、必要以上に「必要とされていない」という感情に駆られてしまうのではないでしょうか。
そしてそれが、復帰に対するモチベーションの維持を難しくしてしまったのではないかと想像しています。
ここで前章までと繋がりますが、初配信に至るまで相当な準備と努力を重ね、そして無事に初配信を好評をもって終え、一息ついた途端にトラブルが表面化、更には言われもない匿名の暴力にも晒される…こうなっては、気持ちが切れてしまうのも無理はないのかなと。少なくとも常人であれば、これをバネに頑張るぞ、とは思えないと思います。
運営からの発表でも、本人の意に沿う形で「卒業」するに至ったとのことですが、ここに嘘偽りはないのではないでしょうか。少なくとも、身内から引退を迫られるような状況や事実はどこにも無かったと思います。

4.Vtuberと人格について
1年ほど前からVtuber沼にハマり、この界隈の情報にも少なからず触れてきた自負もありますが、兎にも角にも、配信者本人に不必要な攻撃性を向けられることが多い世界だと感じています。
直近ではアズリムことアズマリムの復帰に際しても本人の口から語られたように、Vtuberも”人格”を持った存在です。その”人格”の存在する次元は2次元だったり3次元だったりしますが、少なくともどこかには必ず”存在”しています。
このとても簡単な事実が、何故だか無視されている気がしてなりません。
今回のまのあろの卒業に関しても、これまでの幾多のVtuberの苦しみに関しても、バーチャルな表現や存在に対しては攻撃しても痛くないでしょ、という想像力の欠如が生み出した愚かな出来事だとすら思います。
Vtuberという文化が大きく育つための過程、なのかもしれませんが、それにしては代償が大きすぎやしませんか。日本人は思いやりの文化で出来ているのではないのですか。せっかくの楽しいバーチャルで新しい文化なのに、よく炎上してるよね、なんていう謂れのない悪印象がつきまとう理不尽は、許せるものではありません。
もっと優しい界隈になってほしい…そう思うばかりです。

5.Vtuberと運営について
今回の件に関しては、まのあろ本人の落ち度もありますが、後出しジャンケンが許されるのであれば、運営側の対応も決して満点とは言えなかったのかなと。
まだ日が浅い界隈だけあって確立した運営マニュアルなんてものはないでしょうし、一から十までを運営に求めるのも筋違いで、やはり本人の意識の高さも当然必要とは思いますけれども、それでも、運営がライバーを守りきれないことがある、と言う点で不安要素を抱えながら応援するのは少し悲しいところがあります。
杞憂おじさん全員が満足できる体制を整えろ、なんてことは到底言えませんが、ライバー本人の個性と、そのLive2Dや3Dモデルという外見、これら資産をしっかりと管理し、育てていく。そういう方針を持って、安心して推せる箱を作っていってほしいと思います。

6.様々目にした表現について
①「一部ファンの怒りを買い、炎上した」という表現について
勝手に怒り、炎上させるような人間は、ファンなんかじゃないです。応援したい対象と共存共栄できることを目指せる人間以外、ファンにはなれないでしょう。
②「いちばんかわいそうなのは、絵師さん」という表現について
今回の「卒業」に、「いちばん」も「にばん」も無いのではないでしょうか。かわいそう、というのも、誰が言い出したか、少なくとも「いちばん」を決めてそれを断定し、発信することに、どんな意図があるのでしょう。表現としては直接的ではないかもしれませんが、断定し、他者を軽んじる内容である時点で、誹謗中傷の一種だと思います。

これ以上に悪意ある表現はいくらでもありますが、もはや常人の良識を超えた世界なので、遠い世界のことと捉えています。

7.おわりに
いくら振り返ったところで、まのあろは帰ってきませんし、とても悲しいです。
今般、Vtuber界隈と歌という表現はその相性の良さが認知されつつあり、その中で加工音を武器にVtuber界に乗り込んできたまのあろは応援のしがいがある!とデビュー配信を見て思っていました。
そんな才能が一つ失われてしまったこと、それも突然で、わずか数度の配信のみを持ってのみ、ということは、もう悲しいとしか言えません。今日の5期生お気持ち表明配信でのラミィちゃんとねねちの涙は、その悲しさを増長させるものでした。
しかしその配信で、5期生たちは少なくとも前を向いていました。公式発表のみを信ずる者とすれば、5期生のより一層の前進を願うのみです。
悲しい出来事が、これで最後になりますように。

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