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大丈夫じゃない。

親の裏切り、人との比較、羨望や嫉妬。さまざまなことに少しずつ抉られた心はボロボロなはずなのに、忙しくしているとそのことを忘れてしまって、ふうと息を吐くと同時に急に目頭が熱くなり、ついにポロポロと溢れ出す。

そのまま忘れていればいいものを、わたしにはそういう事象が、年に数回起きてしまう。


わたしはなぜか、よく相談を受ける。

そのひとの人生に思い切り関わることになりそうな大きな悩みから今日の夕ごはんは何がいいかしらまで、さまざま。

解決に導くことはあまりできないけれど、話してよかった、スッキリしたと言ってもらえることが多く、このひとの心をあたためられたならよかったな、と誇らしく思う。


わたし自身はつらいことをつらいと口にすることや誰かを頼ることが出来ず、ヘラヘラと"大丈夫"しか言わないので悩みがないように思われることがある。

確かに、いつもコレといった悩みがあるわけではないけれど、常に心の奥底に渦巻くものを抱えているのが事実。

基本的には誰かを頼ることをしたくないので限界以上までいろいろなことをひとりでやってしまうのだけど、わたしが"大丈夫じゃない"その瞬間を見破るひとがたまにいる。それは家族や親友ではなく大体のケースが職場のひとで、でもたしかに「このひとはやさしいな」と思っているひと。

本当に大丈夫なとき・大丈夫じゃないけど大丈夫と言っているときがあり、そういうひとは決まって後者のタイミングで声を掛けてくるので、目元がじわ、となるのが分かってなんだか恥ずかしくなってしまう。

そのときはやっぱり"大丈夫"と言い続けるので、職場で一日に数回会話するだけの関係でわたしのことをよく知らないからこそ、ぜんぶ話してしまおうか、ぜんぶ聞いてくれないか、と考えることがしばしばある。

勇気が出ないのもそうだけど、わたしのこんな話を聞いたところでこのひとに何の利益があるだろうと思うと、どうも一歩が踏み出せない。

だけどそのひとが、わたしの話を聞いてくれる、わたしの涙まで知ってくれているだけで、心の灯りとなり明日への活力となるのだ。これは、わたし自身がいちばん知っているはず。



わたしと関わったすべてのひとが安心して眠れるように、今日も星の少ない空に祈ってわたしも眠ることにする。



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