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ハトやカラスは車を見るのが好き

車に乗っていると、道路の照明灯にハトやカラスが止まっているのをよく見かけます。きっと車が好きなのでしょう。
小さい頃、田舎のおばの家に遊びに行くと、おばは必ず「県道に車見に行こか」と私を連れ出してくれました。ハトやカラスも、びゅんびゅん走り過ぎる車を眺めるのは楽しいのだろうと思います。

車だけではなく、人間そのものを見るのも楽しいようです。

とある工場では朝、従業員が集まってラジオ体操をする様子を、チョウゲンボウが屋根の上から眺めているそうです。たくさんの人間が同じ動きをするのが面白いのでしょう。人間が動物を見るのが好きなように、動物も人間に興味津々なのです。

その工場では、ラジオ体操前にリチャードクレイダーマンの曲をかけています。その曲が流れ始めると「お、そろそろ始まるな」という風に、飛んで来ることもあるそうです。

しかしある朝、チョウゲンボウは体操が始まってもやって来ず、ようやく姿を見せたのは、ラジオ体操が終盤に差し掛かった頃でした。工場の人の話では、「遅くなりました~」とでも言う風に、羽をバタバタさせて慌てた様子でやって来たそうです。チョウゲンボウ、一生の不覚です。

チョウゲンボウは、その工場に隣接する別の工場の建物の排気口に、毎年営巣して子育てをしていました。しかし今年、その建物の建て替えが始まりました。それを境にチョウゲンボウはパタリ、と姿を見せなくなりました。

その代わりと言ってはナニですが、今はイソヒヨドリが工場の三角屋根の上で美しくさえずっているそうです。

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