謎の男 第3話
「お兄ちゃん!今の人誰?!知ってる人なの!?」
「んーー?知らない。もう眠いから寝る」
「なんか取られたりしてないの?」
「してないと思うよ。それよりも早く寝て原稿を仕上げないと」
「いや、絶対におかしいよ!お父さんとお母さんに相談するべきだよ!」
「えー。面倒くさい。俺は寝ないといけないから、勝手にしといて」
そして俺は深い眠りに落ちていった。
と思ったら母の声がした。
「ピコ!ピコ!ちょっと起きない!警察の方が事情を聞きたいんですって!」
「んー。今何時?」
「もう8時過ぎてるわよ?」
「やべっ!原稿描かなきゃ!」
「だから警察の方が待ってらっしゃるの!すぐ来なさい」
「えー、しょうがないなー」
渋々応接間に行くと、警察官が3人座ってた。
警察官の方達が立ち上がって挨拶して来た。
「朝方からすみませんね。ちょっと事情を聞きたいんですがよろしいですか」
流石にマンガの締め切りがあるからダメとは言えず、諦めて椅子に座って話を聞いた。
警察の人に、犯人の人相を聞かれたので、柳沢慎吾に似てたと答えた。服装は上下ともに青い作業服の様な感じで、他に特徴は思い出せなかった。
あ、そうだ。
カードだ。
カードを受け取って返したと言ったら、一瞬、警察の人達が騒ついた。
「そのカードの詳細を覚えていませんか?名前が書いてあったとか、番号が書いてあったとか、他に何か名称が書いてあったとか。色でもいいです。何でも思い出した事を教えてください」
「うーん?どんな色だっけー?青っぽかった様な…。なんかアルファベットで書いてあった気もするけど、うーん、すみません、やっぱりよく覚えてないっす」
「カードの情報は非常に重要な手がかりですので何でも思い出したらすぐにご連絡をお願いします」
その後も色々と尋問が続き、警察の方が丁寧に調書に書き込んで行く。
これがまた時間がかかるかかる。
途中、ちょっと抜けさせてもらって、マンガ本作成チームのリーダーのところへ電話を入れた。
「ごめん、今日、ウチに泥棒が入ってさ。今警察が来て事情聴取やってて原稿間に合わねーわ」
「テメー!騙されねーぞ!今日がなんの日か知ってるだろう?」
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