読書感想文 | 酒井順子「処女の道程」(新潮文庫)
2003年、「負け犬の遠吠え」がベストセラーになった酒井順子さん。その時以来、お名前は知っていたが、今まで著書を読んだことがなかった。
書店で「処女の道程」というタイトルが目にとまり、しばらく立ち読みしたあと購入することにした。
「処女の道程」の『道程』には、「童貞」の意味がかけられている。
平安時代から現在に至るまでの貞操観念の変遷を考察した著書である。たいへん勉強になった。
「源氏物語」をはじめとする多くの文学は、いうまでもなく性愛と無縁ではない。物語の核心的なテーマである。しかしながら、学校では性愛のことをつぶさに学ぶわけではない。理解は表層的なものにとどまっているように思う。
この著書にはさまざまな文学作品や文人が登場する。
たとえば、
#与謝野晶子
#田山花袋
#有島武郎
#吉屋信子
#二葉亭四迷
#平塚らいてう
など。
詳しい内容はネタバレになるので書くことを控えるが、言われてみれば確かにそうだったなぁ、と思い出したことが多かった。少しだけ引用する。「処女膜」に関する記述。
あぁ、そういえば私も、初めて「処女膜」という言葉を聞いたときは、似たようなことを思っていたなぁと。
「温めたミルクの膜」とは思わなかったけれど、処女膜とは「金魚すくいの和紙」のようなものだと思っていた。大洪水🌊が起こるかもしれないし🙄。どうやって防水加工がしてあるのかなぁ🤔?、なんてね😊。
保健体育の教科書には「処女膜」なんて言葉は載っていなかったし、誤解していた男子も多かったのではないだろうか?いまでも誤解している人は少なからずいるようにも思う。
おっと、これはこの本の一部分であって要点ではない。先ほども書いたように、詳しく感想を書くとネタバレになってしまうので、その代わりに「目次」だけ書いておこう。およその内容は分かるはずだ。関心を持った方はぜひ読んでみてください。
文学作品だけでなく、文化人、芸能人などの発言や考え方など、エッセイでありつつ、学術的な正確さを備えているように思う。
酒井順子(著)「処女の道程」、新潮文庫
目次
性の解放、行き着く果ては
平成の貞操事情
「女の欲求」が見えていた頃
「女大学」で処女は守れるか?
肉交あって情交無き時代
クリスチャンが愛した「純潔」
与謝野晶子vs平塚らいてう
貞操論争と童貞ブーム
処女膜を超越せよ
丸ビルに処女なし
貞操意識の二極化、そして「エス」
「男の貞操」と「永遠の処女」
「する自由」と「しない自由」の消滅
肉体コンシャスに生きる
女の情欲への恐れと制御
性の黒船、「ペッティング」と「オリンピック」
フリーセックスの荒波に揉まれ
モテてからするか、してからモテるか
「ツッパリ」の純情、「アンアン」の多情
そして誰もしなくなるのか
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします