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高速道路と一般道の燃費を同時に簡単に計る

中型のバイクは大型やクルマと違って、高速道路で燃費が悪くなる事が多い。その様子は乗り方などによって違うので、自分の場合はどうなのか、というデータはほしいところである。そこで高速道と一般道の燃費を同時に計る簡単な方法を考えた。

1. 満タン法で燃料消費量と走行距離を測る
2. そのうち、高速道路部分の距離を検索する

これを2回やって、あとは計算するだけである。1. は普段からやっている人も多いと思うが、距離を測るのは給油時に満タンにしてオドメーターの写真を撮るなどすれば楽だし、燃料消費量は満タン給油量そのままだからレシートを捨てずに取っておくかメモっておけばよい。ヤマハの RevNote などで管理している人も多いと思う。高速道路の走行距離はドラぷらなどですぐ調べられる。

で走って給油してオドメーターをメモったら、まず以下の数値を並べる。

・1回目の走行距離 A1
・そのうち高速道の距離 B1
・1回目の満タン給油量 L1
・2回目の走行距離 A2
・そのうち高速道の距離 B2
・2回目の満タン給油量 L2

各回の走行距離 A1、A2 はオドメーターの写真を見れば分かる。高速道の走行距離の合計はドラぷらの料金・ルート検索で調べる。

数式の導出

そして、一般道での燃費の逆数を x1、高速道での燃費の逆数を x2 として、以下の連立一次方程式を解く。ここで「え...無理...」とひいてはいけない。案外簡単にできる。今の世の中はどこもコンピュータ (= 計算機) に溢れているので、計算機にやらせればいいのである。

L1 = (A1 - B1) x1 + B1 x2
L2 = (A2 - B2) x1 + B2 x2

出てきた x1 と x2 の逆数、つまり 1/x1 と 1/x2 がそれぞれ、一般道での燃費と高速道での燃費である。

簡単とは言え正直、スマホよりはパソコンの方がやりやすい。誰でも自由に使える統計解析ソフトウェアに「」というのがある。一応スマホアプリにもあるが、まぁパソコンの方が楽である。私のデータからこれで燃費を計算してみる。バイクはホンダ 400X である。Excel でのやり方も後述。なお場所の特定を避けるために、結果の燃費が変わらないようにして実際の数値から変更している。

Rで計算してみる

データ
1回目の走行距離 A1 = 393 km
そのうち高速道の距離 B1 = 215 km
1回目の満タン給油量 L1 = 13.17 L
2回目の走行距離 A2 = 370 km
そのうち高速道の距離 B2 = 215 km
2回目の満タン給油量 L2 = 12.45 L

Rに入力するコード 

A1 <- 393; B1 <- 215; L1 <- 13.17;
A2 <- 370; B2 <- 215; L2 <- 12.45;
A <- matrix(c((A1 - B1), (A2 - B2), B1, B2), ncol = 2);
b <- c(L1, L2);
x <- solve(A, b);
1/x;

メモ帳やテキストエディットなどに書いて、Rにコピペすると精神的にだいぶ楽である。これによって表示される答えは

31.94444 28.29757

つまり一般道で 31.9 km/L、高速道で 28.3 km/L である。その比は 1.13 なので、高速道で 13 % も燃費が悪化してるって事になる。高速道ではスピード控えめでおとなしく走っていたつもりだったが、やっぱりそれなりに回してたって事かな...

Excel でやってみる

下の図のように、A〜C列の1〜2行目に上のデータを入れる。その際、A1 - B1 などは = の後に引き算でいれて、Excel に計算させるのが楽である。で、セル D1 に以下の数式を入れる。
= MMULT(MINVERSE(A1:B2), C1:C2)
で、セル E1 に以下の数式を入れ、セル E1 を セル E2 にコピペする。
= 1/D1
そうすると、E1 に一般道の、E2 に高速道の燃費が表示される。

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注意点

この計算は、1回目と2回目で一般道と高速道での燃費が、それぞれ変わらない事が前提になっている。1回目と2回目で季節や天候が大きく違ったり、一般道でもどっちかが街乗りばかりでもう一方が延々と郊外のバイパス、のように条件が大きく変わると、計算結果の信頼性は下がる。

Rもエクセルも燃費の数値を7桁以上も表示してくれるが、元のデータが3桁しかなく、計算結果でも3桁より多い部分は無意味である。

1回目と2回目では、一般道と高速道の割合がはっきり違うことが望ましい。上の例は違いが小さい (高速道は同じで一般道がちょっと違うだけ、高速/一般の比が 6 % くらいしか変わらない)。これはよくない。もっと違った方がいい。あまり違わないデータでは、計算結果のうち信用できる桁数が減る。理想的には、高速道と一般道の割合 (大きい方÷小さい方) が 10 以下、そしてその割合の値が1回目と2回目とで2倍くらいは変わった方がいい。またはどっちかの回では一般のみか高速のみにしてもよい。正直、上の結果は「思ったより差が大きいな...」という気がするので、計り直そうと思っている。

ありがとうございます!細く長く取材と執筆を継続していこうと思います。