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「生きる」と「稼ぐ」(240903)

現代社会において、「生きる」という動詞は「稼ぐ」を強く含意している。

「金銭」は、人工物の最たるものであるにも関わらず、人間の生の本質の一つに数えられる地位まで登り詰めた。私たちはもはや、「金銭」を抜きにして己の生を考えることができない。

そこで人々は、「稼ぐ」という現代社会の本質に対して、様々な工夫を施した。「よりよく稼ぐ」とは何かを考えて、産業システムを発展させてきた。時には、「より多く」稼ぐのは何処の誰なのかという競争のゲーム。またある時には、「より楽しく」稼げるような働きやすい環境づくり。好きなことを仕事にするという言説。遊びながら稼げるようなシステムの構築。これらの工夫は、「稼ぎ方」を改変させてきたが、「稼ぐこと」それ自体を消し去ろうとはしなかった。「稼ぐ」ことはもはや、現代社会から消し去ることのできない、生の本質と化している。

「稼ぐ」のほかに、「生きる」の本質として含意されている動詞は何だろうか。次なる問い。

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