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「職業は木こりなんです」という女性に会ってきた!

出会いはとちぎ材木造住宅コンクールの審査だった

「はじめまして。木育の会の武田です」と私は名乗り女性と名刺交換をした。その女性は「木こりの金子です」と挨拶した。ん??木こり??「木工とかやってるんですか?」と聞くと「いえ、木を切っています。木こりです。」

「えがおをつなぐとちぎ木育の会」という、山の荒廃を防ぐべく、成熟した木を伐採し(間伐)製品化して使ってもらう、林野庁が推進する運動を「木育」という形で実行している会に所属している私は、県が主催する「この日参加できない会長と副会長の代理でとちぎ材木造住宅コンクール」の審査に参加していた。

そんなとき、「え?だって細いよね。ぇぇぇ~木こりなの!!!????」という衝撃に見舞われたのだった。

この写真の彼女は、栃木県鹿沼市に住み、K Forestという名称で活動している林業家「金子裕美さん」。まさに本物の木こりだった!!!

本業の仕事Aspoで「木を守り育てる女性たち」という特集を組むことに

「女性木こり」の衝撃が強かったので、本業の下野新聞Aspoの編集会議で「女性木こりがいる!!」という提案をした。

そうしたら、部長が食いついてくれた。「ほかに女性でチェンソー持って仕事してるような人いるかな??」

そこから、リサーチが始まった。

結局、チェンソーは持たないけれど、「山を守る」「とちぎ材をつかおう」という活動をしている人たちは知っているので、そこから「木を守り育てる女性たち」という特集に落ち着いた。それなら、木こりの金子さんと、「えがおをつなぐとちぎ木育の会」も紹介できる!!木が大好きな私はワクワク(^^)v。

そして「女性木こり」に会って取材した!

とうとう、女性木こりの金子さんとアポがとれたので行ってきた。

いや~、そこは、どこから入るのかわからないくらい塀がぐる~っと長いお屋敷。山をもっている鹿沼の地主の家に生まれた人だった。

その屋敷の、お寺??というくらいすごい玄関から中に入り、落ち着いたソファのある部屋でなぜ木こりになったかを聞いた。そのあとに金子さんは実際に木を切るところを見せてくれるという。もうワクワクしながらついていくことに。

まず、「この長靴を履いてください」と渡された長靴に履き替え、軽トラの助手席に座る。そこから、ほんのちょっと行った山のふもとに軽トラを置き、金子さんはチェンソー用の服に着替え、私はヘルメットを渡される。そして歩き出し、山道をそれて、道のない山へと分け入っていく…。

細い体の金子さん。しかし歩きなれた山の中を私のために小枝を切りながらどんどんと進んでいく。歩くの速いっす。金子さん…。

そして、目印のついた木に到着。

さーこれから木こりの仕事を撮影ですっ

まず、倒す方向に受け口をつくるためのマークをつける。

いろいろと準備を整え、さあ、とうとう切り始めた。山に響くチェンソーの音がすごい。迫力満点。

木の倒れる方向を計算し、木の受け口を作り始める金子さん。当たり前だが、真剣そのもの。木を切るって頭も使う作業なのね。だって、思っていたところより1㎜ずれて木が倒れたら、木のてっぺんは相当ずれて倒れることになる。ずれてしまったら、予定していた場所ではないところに倒れていき、木にぶつかって引っかかってしまうことも。

受け口ができたら、反対側から切込みを入れていく。それも少しずつ方向を確認しながら。

そして、とうとう、木が倒れだした!!
いやー、感動。カッコいい。本当に。

この日、金子さんの娘さんも一緒に山に来て、助手として活躍してくれていたのだったけれど、木が倒れた瞬間、私と娘さんで拍手👏「カッコいいね~」「すごかったね~」と二人で感動を共有したのだった。

この木がメキメキと音を立てて倒れていく様を目の前で見られたことに感動。カッコいい。金子さんは本物の女性木こりだった。

お土産に、倒木の写真の左の端のほうに倒れているヒノキの木片をいただいて帰った。うちでいい匂いを醸し出している。

金子さんが女性木こりになった理由を聞いた

山に行く前に、まるでお寺のような玄関をもつお屋敷で聞いた話をちょっとだけ記しておこう。

昔、山を持つ地主さんは人を雇って林業を行っていたそうで、直接は木を切ったりしなかったそうだけれど、金子さんのお祖父さんは山の手入れをちょくちょくしていた人だった。金子さんもそのおじーちゃんに連れられて山によく行き、人の手をかけてていねい育てられていく木々を身近に感じ、一緒に育った兄弟姉妹のように感じていたという。

しかし、その成長した兄弟姉妹が、切られて出荷される先は、市場。その後製材となってきちんと製品になっていたのかもわからなかった。

流通先の製品になるまで見届けたい。ユーザーが手に取るまで見届けたい。そんな気持ちが、当時の仲間と「日光地区木材流通研究会」を立ち上げ、「育てる人」「製材する人」「建てる人」「住む人」をつなぐ〝顔の見える家造り〟の取り組みを始めた。今は、山をできるだけ壊さないよう、〝小さい機械で小さな道を作り、小さいトラックで運ぶ〟山を傷めない施業を自ら実践する「自伐型林業」を目指し、山を育てている。そして、「その伐採した木をエンドユーザーが使っているところまで見届ける流通を作っていきたい」と頑張っている。

という、お話。ものすごくカッコいい。

詳しくは、AspoのHPに掲載してあるので、興味ある方は見てください。その他の「木を守り育てる女性」たちも紹介しているので是非。

下野新聞社Aspo公式サイトはこちら>>>

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