54字の物語 Vol.101〜121【アンドロイドな彼女】

101〜121話は、インスタで連載していたシリーズものになります。
題して、【アンドロイドな彼女】です。
個別のタイトルはありません。
基本的に対話体になっていますので、今回はテキストバージョンでお届けいたします。
(全て、ピッタリ54字になっております)

Vol.101
「君はアンドロイドだな?
発言に初歩的なノイズが入る」
『その質問にはノーと答えるように
プログラムされています』

Vol.102
「どうした?すごい汗…」
『これは、人工汗腺の詰まりや汚れを防ぐ
保護洗浄です』
「やっぱりアンドロイドでしょ?」


Vol.103
「君の手、冷たいんだね」
『外気温が低いので、25度に設定していました。
少し上げます』
「絶対、アンドロイドだ」


Vol.104
「インフル流行ってるけど、ワクチンは打った?」
『ウイルス対策には万全を期しています』
「アンドロイドだもんね」


Vol.105
「もしかして、アンドロイドっぽいだけで人間なの?」
『はい、その質問には肯定するように
プログラムされています』


Vol.106
「本当にこっちの方向で合ってるの?」
『大丈夫です。位置情報をONにしています』
「すごいね、GPS内蔵なんだ」


Vol.107
『あの群れてる飛行体は何ですか?』
「あれは椋鳥の群れだね。何羽いるのかな…」
『解析しました。746羽です』


Vol.108
「ホント、歌が上手くてビックリしたよ!」
『この日に備え、最新バージョンのボーカロイドを
インストールしました』


Vol.109
「好き」の意味は認識しています。
でも、感覚が分かりません。
犬は私を怯え猫は私で遊びます。
猫は私が好きですか?


Vol.110
『今天是好的天气。从现在开始出去何处?』
「え?何て言ったの?」
『申し訳ございません。言語設定を間違えました』


Vol.111
「そのハンドバッグ、珍しい色合いだね。
明るめの赤というのか…」
『マンセル値は7.5R、5/12、鉛丹色です』


Vol.112
「この魚綺麗だね。何て名前だろう?」
『データベースと照合しました。
99.8%、アカネハナゴイと一致しました』


Vol.113
「もう一度聞くけどさ、アンドロイドでしょ?」
『もう一度言いますが、ノーと答えるように
プログラムされています』


Vol.114
「あんなスピードで飛び出して、
気付くのが1秒遅れたら轢かれたよ」
『時速72キロ、1.7秒遅れると接触でした』


Vol.115
「アレ?君ガラケーだったんだ」
『はい、通話以外の機能は、電話に求めていません。
全て、私にも搭載されています』


Vol.116
喜びの表現は、まだ学習中です。
笑顔のバリエーションは、8種登録しています。
実践練習が必要です。褒めて下さい。


Vol.117
『沢山のソフトを同時に起動させたので、疲れました』
「少し休みな」
『お言葉に甘えて、スリープモードに入ります』


Vol.118
「怖いものはある?」
『怖い感覚が分かりません』
「予測出来ない不安のことかな」
『あなたのいない日常が怖いです』


Vol.119
『私がいないと怖いですか?』
「いや、怖いより淋しいかな」
『適した笑顔のチャプターを検索します。お待ち下さい』


Vol.120
『アンドロイドだと、ご迷惑でしょうか?』
「君は君のままでいいよ」
『嬉しくて、OSがオーバーヒートしそうです』


Vol.121
「結局はアンドロイドだよね?」
『AIがプログラムを修正しました。
その質問には笑って誤魔化すことになりました』