イソップ寓話集③【オオカミ少年】

 ある森に住む、嘘つきの少年オオカミは、退屈しのぎに「人間が来たー!」と騒ぎ立てました。それを聞いたオオカミ達は、慌てて臨戦態勢を整え、人間を迎え撃つ用意をしました。しかし、それは全て徒労に終わりました。嘘つきの少年オオカミは慌てふためく仲間達を見て大笑いしました。
 そして、翌日も、そのまた翌日も同じ嘘をついて、みんなをパニックに陥らせ、混乱する様相を遠くから眺めて楽しみました。しかし、四日目になると、チラホラと少年の話を疑うオオカミも出始め、五日目には、もう誰も少年オオカミを相手にしなくなりました。
 そんなある日のこと、嘘つきの少年オオカミが一人で散歩していると、猟銃を持った人間がやって来るのが見えました。
「人間が来たぞー! 今度は本当だ!」と叫びましたが、誰も少年の警告を信用しません。そして、無防備なオオカミは壊滅的な被害を受け、やがて列島から絶滅したそうです。


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