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暁月 アパートを出ると 切り傷のような、微かな月 冷えた濃紺の肌に、真珠色の血が滲んで 奪われ続け、ひきさかれ、悲しみにのたうつ隣人のうめき声 今、この瞬間にも、聞こえているはずの声 昔話じゃなかった…… 無知に動揺 きらめいていた命が、砂がくずれるように、終わった 傷つきにいく、という感動の方法 半笑いのこの場所で ナマケモノの爪は鋭いという自覚 無人の道 顔を外気に晒し、息を吐く 2020/11/11