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To 75 口の中が苦い…… 私には、僥倖……？ 人様に迷惑をかけるまじ あなたがたを貫く、これは背骨 揺るがない生真面目さ その揺るがなさに、途方に暮れる 彼らの顔が、見えていますか？ 花ひらく前に霜に襲われたような、若い顔、顔、顔…… 伝えてください 今すぐ、彼らに、伝えてください 唯々諾々と従うな、と 誰にも、ふりまわされるな 独自の方法で、生きのびよ、と 覚えておこう、白いガードレール 疲労困憊の私を支え 冷たい鉄の感触が 歌うことを
オーバーオールの冒険 海洋に出て、世界を目指し 天空に羽ばたき、宇宙を目指す 遠くまで はるか遠くまで行けるよう 名付けは祈り 名は十字架 どうせ、捨てるのに、なぜ？ どうせ、傷つけるのに どうせ、殺すのに、なぜ、名付けた？ 暗い顔 濡れた髪 まるで、マリア・マグダレナ 常に見張られ、裁かれる 見えない礫に打たれる者 そうか そうすればいいのか…… 赤ん坊を、野に、置き みんなで寄って集って、守り、育む そうか 誰でもいいのか…… 凍
写真屋さん 子どものように眠っている…… フィルムの色に 幸福な予感 きっと、幼い頃、家族といっしょに映画館で見た映画 日々の淡いにきらめく、小さな貴石のネックレス 「いらっしゃいませ」 微笑みに戸惑う 肯定されることに慣れていないのです レンズの向こう ゆっくり、絞って、きわだつ この世でたったひとりのわたしたち シャッターに祝福の音色 さぁ、食べよう あなたの隣で 幽霊のおなら 底力、という優しさ きらめきをきらめきのまま抱きしめて、ゆく
感想文 もの言いたげな前頭葉 夢見がちな後頭部 いつも、この頭を鞄に入れて生きてきた 見慣れないスクリーンサイズで見て、戸惑う 思えば長いおつき合い 高校の図書室で、薄茶に焼けた文庫本をひらいた時から 正直、難しくて意味はさっぱりだけど…… 私も、あなたがたの熱情は信じます！ これだけは信じます！ 他のものは一切チンプンカンプンだとしても、これだけは信じるということは分かっていただきたい…… 緞帳もスポットライトもないけれど 現れたのは…… スーパ
紙とペン I know you ! 走り出す あなたといっしょに走り出す のどやかな春の日 図書館の中央の本棚に並んでいた、薔薇色の物語 背表紙に指をかける、まっすぐな、小さな背中 私たちには、綺麗事が必要 綺麗事は、ほんとうに、綺麗でなければなりません 生まれたての書籍 私たちの仕事 2020/10/20
暁月 アパートを出ると 切り傷のような、微かな月 冷えた濃紺の肌に、真珠色の血が滲んで 奪われ続け、ひきさかれ、悲しみにのたうつ隣人のうめき声 今、この瞬間にも、聞こえているはずの声 昔話じゃなかった…… 無知に動揺 きらめいていた命が、砂がくずれるように、終わった 傷つきにいく、という感動の方法 半笑いのこの場所で ナマケモノの爪は鋭いという自覚 無人の道 顔を外気に晒し、息を吐く 2020/11/11
賛歌 傷つけて ひとりひとりの命のきらめき 記憶に刻めるよう 傷つけて エンドレスの人間の愚かさ 思わずの呻きとともに、深く心に刻むから そうだった 理由なんてない ずっとそう エンドロールを両手ですくう 指のすき間から、きらきらとこぼれおちるのは、彼らのやさしさ しっかり、傷つけられました 2020/8/20
Separate 妻がいて 息子がいて 娘がいる おれはどうしてここにいるのだろう おれはどうしてここに おれはどうして おれは in the bush 正に、藪の中 おれは、いる in the basement 息子よ！ おれは、ここに、いる！ あなたが、死んでも仕方がない お父さん！ ぼくは、あなたに明日が来なくてもかまわないと、思えるようになりました 2020/1/29
That’s life のっけから泣いてるんだもの おいらだって泣いちゃうよ あんたはおいらで おいらはあんた おいらも踊るよ 獣に食い散らかされた身体をひらいて ゴーシュのセロで 孤独なやつほどよく踊る この世にはダディもマミィもありゃしない 人は死ぬ 絶対に死ぬ どうせ死ぬ でも おいらは死なない さあ！ 追いかけて おいらを追いかけて！ そして 捕まえて 抱きしめて 「お前のために、すべてを捨てよう」と言って！ おいらが皆さま
よっぱらいのおじさん クソ クソ クソ クソ クソにもいろいろあるけれど！ もし、あんたが本気であいつらにクソを投げつけてやりたいと思ってんなら そんな生き方してちゃあ駄目だ もっと真剣に それこそクソ真剣に生きなきゃ 命を燃やす方法なんて ほんとは何だっていんだ 他人にとやかく言われる筋合じゃねんだ ひどく、綺麗な女を見た 2019/3/17
2018.4.2 映画館の外が真っ暗なのは、この都の中空構造のその中心の森があるから 油絵の具で水を描く すべては詩のため 詩のためのグロテスク いきーているから「 仕方がない 」 綺麗になんかならないで、ずっと醜いままでいて 他人が叶えてくれた夢 真っ黒の大ガラスの中心で点滅する赤ランプ わたしたちはもう複雑さに耐えられないと思われているのだろうか？ 2018/4/2
詩人 日本人俳優の、思わせぶりな “ a－ha ! ” に 世界中のクローゼット詩人が赤面す 生きていける、と思った 2017/10/4
