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◇016.死にたくないけど、消えてしまいたいと思ったことがある

その一言は、確かYouTubeのコメントで見かけた。


「鬱気味です。死にたくないけど何事もなかったかのように消えたいです。」



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私は時々、かなり強めの無気力状態に陥る。

何もやる気が起きなくて、スマホ片手にボーッとする。目にはうっすらと涙が浮かぶが、何をすべきか分からない。そんな自分に腹が立つ。

その生産性のなかった空っぽの時間に、ひどく後悔する。


鬱の症状なのか、単なる甘えなのか。



どうすべきか答えを見つけたくて、やる気が出ない人向けの動画コンテンツを視聴した。

悩みばかりが綴られたコメントをゆっくりスクロールしながらその一言に出会った。



死にたくないけど、存在ごと消えてしまいたいです。



動画に集中すべきなのだがふと立ち止まってしまった。すごく分かる気がしたのだ。周りには迷惑をかけたくないから死を選ぶのはちょっと気が引けるんだけど、でも自分の存在自体は消してしまいたいというなんとも言えぬもどかしさ。


正確には覚えていないが、そこそこのいいねとたくさんの返信が残されていた気がする。

ああ、同じような人が私以外にも大勢いるのか。

それだけで何故か少し救われた気がした。



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数ヶ月に何日か祝日があるように、その無気力Dayには規則性がない。本当に突然やってくる。



無気力Dayを迎える前に対処法を見出したいのだが、答えのない答えに立ち向かうこともできなかった。


ただただ、


この二度と来ない今をどう過ごすのか


というマインドコントロール次第で大きく変えられることは間違いない。

もちろん解決方法は人それぞれだ。

だが、


"名前、顔も知らない誰かもどこかで苦しんでいて、どうにかやる気を出そうと自分と同じように動画まで見ている。苦しいのは自分だけじゃない。"


その事実だけで、その時の私にはかなりの励みになっていた。



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情報がたくさん飛び交う現代社会。


匿名をいい事に悪さをすることもできるが、匿名での共感や理解がちょっとした悩みを救うきっかけになるかもしれない。

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