様々な民族から考える寒さ対策
私の幼馴染であるマー君はある有名企業の一級整備士として働いていましたが、ある日「釣りを極めたい?」的な謎の理由から年間最低気温4°の暖かい愛知県田原市から北海道帯広に移り住みました。
比較的温暖な地域に生まれ育ったおかげで、帯広の寒さは「死ぬほど寒い」「寒いっていうか痛い」と言っておりました。初めは…
いつの日か連絡をとった時に「寒さ?あーあ、慣れたよ」とサラッと言っており、寒さなんてまるで気にもしていない様子でした。
そうです。人間は寒さに慣れる生き物なんです。
ヤマナ族という民族をご存知でしょうか?
日本から遠く、南米大陸のパタゴニア地方に住んでいた民族です。
およそ一万年に私達の同じモンゴロイドが長い旅の末にパタゴニア地方に住み、ヤマナ族と呼ばれるようになりました。
パタゴニア地方は南極大陸に近く寒い場所です。ヤマナ族の住んでいた地域もとても寒く雪も降ります。でもヤマナ族は「裸族」です!!
毛皮と裸と動物の油を体に塗る!!ただそれだけ!!
という防寒生活です。
ダーウィンの航海記には、雪の降る中、彼らがほとんど裸の状態で暮らしている様子が記されています。
他にもパプアニューギニアの高地(海抜2000メートル)は日中と夜間の気温差が30°にもなります。そんな高地の寒暖の差が激しい地域で暮らす民族でも部屋の中で焚き火をしながら裸で熟睡できるそうです。
オーストラリアの原住民は大陸奥地の半砂漠地帯(夜間10°以下)のなか、家も持たず野外で焚き火に足を向けながら裸で熟睡するそうです。
白人の方が同じ状況で睡眠を試みたところ震えが止まらず眠れなかった、という逸話が残っています。
ヤマナ族、パプアニューギニアの民族、オーストラリアの原住民はそれぞれ現代の都市に住む人に比べて寒さに耐える力(耐寒性)が強いと考えられます。
でもどうして寒さに耐える力が強いのか?
寒冷地方に生息する動物は熱帯地方の個体より体重が大きく、首や耳などの突出部や四肢、尾などが短く、体色が明るいという法則があります。
それぞれベルグマンの法則、アレンの法則、グロージャーの法則といいます。気になる方はググってみてください。
これらは人間にも当てはまるかも?と言われています。例えばエスキモーのずんぐりした体型や黒人のスラッとした体型です。
このような法則は体型や外見によるものですが、体内で熱を作る量(産熱量)や皮膚の温度などを指標とする研究もあります。
先程お話した民族の皮膚の温度や熱を作る量を測定したところ、熱を作る量が一晩中高いグループと皮膚温、熱を作る量ともに極度に低いグループの2つに分かれました。
前者を【産熱型適応】といい後者を【断熱型適応】といいます。
産熱型適応に代表される種族は、北極インディアンやエスキモーです。
北極インディアンは眠りながら時々大きく体をふるわせることで熱を作り、エスキモーは動物性のタンパク質中心の食事をすることで高い代謝レベルを維持します。
断熱型適応に代表される種族は、オーストラリアの原住民です。皮膚温を低くすることで血管を収縮させ体外に熱が逃げるのを防ぎます。他に皮下脂肪を十分に蓄えることで、熱が逃げるのを防ぐこともできます。
他に冬眠型適応という適応か?と考えさせられるような方法もあります。
南米アンデス高原のケチャ族やノルウェー北部のラップと呼ばれる種族は、寒い中での睡眠時に皮膚温の低下はわずかであるのに、直腸温は著しく低下します。これが冬眠に似ていることからその名が付きました。
種族により様々な寒さに耐える方法がありますね。
今までお話をまとめると、寒さに耐える要素は、遺伝、食事、体格、身体の鍛錬、また体調もあると考えられます。
でも初めお話した私の幼馴染のマー君はなぜ寒さに慣れたのか?
マー君の場合は低温型寒冷馴化(ていおんがたかんれいじゅんか)というのですが、要するに「気合で耐えてたら体が寒さに対して反応しなくなった」ということです。
ここで紹介した民族はたぶん何千年もかけて寒さに慣れてきたのですが、マー君は4年くらい?で寒さに慣れたと言ってました。
要は私達が生きてる間は寒さに対して気合で慣れる程度のことしかできません。そしてエスキモーのように動物性のタンパク質を摂取して代謝をガンガン上げる方法がもっとも寒さに耐える方法だと思います(もちろん服を着てです)
凍傷にならないためにも食べることが有効であることがわかってます(断食をすると寒冷血管反応が低下します)
今年は暖冬らしいですが、寒いもんは寒いです!!
動物性のタンパク質をしっかり摂取して気合で慣れましょう(笑)
おしまい
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