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#6【トレーナー・セラピスト向け】脳振盪の徴候 -Signs of Concussion-

前回までの記事では、「脳振盪の定義」「分類」をお伝えさせてもらいました。では何をもとに脳振盪だと判断するのか。脳振盪に馴染みのない方は、そういった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。なので、今回は「脳振盪の徴候」を紹介したいと思います。

脳震盪の徴候を理解することの意味

「脳振盪の徴候」には何が含まれるか、それを知ることで、今までただの頭部打撲や頭痛といったものに対して、「脳振盪かも…」という選択肢が増えます。選択肢が増えるということは、もし脳振盪の場合は対処ができるようになる、ということです。

前々回の一般の方向け「脳振盪とは?」の際にもお話しましたが、一番怖いのは、「どう対処して良いのかわからない、という状況にすら気づけない。」ことです。脳振盪なのに、脳振盪としての対処がなされない。そういった状況を防ぐといいますか、脳振盪の徴候を把握していると少なくとも疑うことはできるようになります。

そうなると、どうなるか。もちろんセラピスト・トレーナーという立場では「診断」を下すことはできませんが、全ての評価・判断をドクターに任せなくても、その場にいるあなたが状況を判断し、どういう対処・行動を取れば良い、ということが今よりは絶対に理解できるようになります。

それでは、早速ですが私が参照にしていてすごく見やすいな、と思ったサイトを紹介します。カナダ・オンタリオ州の小児リハビリテーション病院のものです。

https://www.hollandbloorview.ca/services/programs-services/concussion-centre

しかも!親切なことにPDF化にもしてくれています。

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Scotiabankのロゴが懐かしい... PDFで欲しい方はこちら↓
https://www.hollandbloorview.ca/sites/default/files/2019-03/Infographics.3.pdf

とは言っても英語だと理解するのが大変な方もいると思うので、日本語版を。

脳震盪の徴候

4つのカテゴリーに分かれている脳振盪の徴候

症状は主に4つのカテゴリーに分かれています。代表的な徴候を載せているだけなので、参考元によっては他の徴候も記載されていますが、ここでは参考までに代表的なものを紹介します。

① 身体的徴候
② 睡眠
③ 感情や態度
④ 心理的徴候

①身体的徴候:文字の通り、
• 頭痛
• 吐き気
• めまい
• 光や音に過敏 など、日常生活で自覚的に気づきやすい徴候です。

②睡眠
• 睡眠時間が長い
• 睡眠時間が短い
• 寝つきが悪い
• 眠りが浅い
• 夜中に起きる など、普段はこういった問題を持っていないのに、頭を打った後にみられるようであれば要注意です。

③感情や態度
• 悲しみ
• 怒り
• もどかしさ
• 神経質/不安
• イラつき など、まさしく感情に影響が出ている徴候です。

④心理的徴候
• 忘れっぽい
• 思考能力低下
• スローペース
• 集中力低下
• 記憶力低下 など、本人では気づいていなようなメンタル的な変化が起こりえます。

理解した上で気をつけること

ここで一番大切なことは、脳振盪とわかっていれば、上記したような症状が出ても「脳振盪の徴候だな」と捉えることができますが、単に頭を打っただけ、と思っていたのに上記した徴候が出ている場合、それはただの「頭部打撲」ではなく「脳振盪」の可能性がある、という風に考えられるか考えられないかです。軽く頭を打っただけでは(強く打ったら脳振盪の可能性はより高まる)上記したような徴候は出ず、痛みに関しても自然に治癒することが多いですが、少しでも脳振盪の徴候に気づいた場合にすぐに対処できることが重要になってきます。

ではどうするか。傍から見ていて上記のような症状がみられたうえで、「脳振盪」をそれまでに疑っていなかった場合、できればすぐに病院へ行って検査してください。最悪なシナリオとしては、ただ頭を打っただけで軽傷と思っていたものが実は重傷だったケース、または最悪の状況を想定できていなかったがために対処が遅れ、回復に影響した(結果的に回復が長引くなど)ケースなどに発展する可能性があります。

今日は「脳振盪の徴候」を紹介しました。知らなかった方は、こういう徴候が頭に衝撃を受けた後に起こりうる、ということを頭に入れていただければ嬉しいです。セラピスト・トレーナーとして大切なことの一つは、最悪のケースを想定して動けるかどうか、だと思っています。知識があれば救えるケースも増えます。脳振盪の起こる可能性の高い競技・環境にある方は特に、再度確認していただければと思います。

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