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臨床で確実に押さえておきたいROM実践のコツ

皆さんこんにちは!
運動療法担当のてっちゃんこと白石哲也です。

この連載では【訪問現場で使える運動療法】について、ボクの経験を踏まえつつお伝えしていきたいと思います。

※鍼灸師・鍼灸学生向けの非公開チャットコミュニティもやっています

第1回:運動療法の原則

第2回:ROMの原理原則

第3回となる今回は前回の原理原則を踏まえROMの実践をお話していきます。

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実際の臨床では具体的にどのようなポイントを意識して実践するのかは悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

今回は、実践に欠かせないコツを中心にお伝えしていきます!

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1.ROM測定時に欠かせないポイント

まず、ROMを実践する際に欠かせないのは基本軸と移動軸に正しくゴニオメーターを当てる事。
これが出来なければ正確に測定することは絶対に不可能です。

基本軸:ROMの基本となる軸でここが0°となる
移動軸:基本軸に対し可動できる最終域となる軸

これら基本軸・移動軸を正確に捉える上での必須スキル、それは骨ランドマークを正確に触れられるようになる事

これってめちゃくちゃ難しいスキルだと思うんですが、鍼灸師は経穴を捉える上で、かなり細かい触診スキルを学んでいるので骨ランドマークに関しては部位名称だけお伝えしますね。

2.ROM測定時に必要な骨ランドマーク

【ROM測定に必要な骨ランドマークのチェックリスト】
C7棘突起・Th1棘突起・L5棘突起
肩峰
胸骨上縁
上腕骨外側上顆
橈骨茎状突起
大腿骨大転子・大腿骨外顆
上前腸骨棘・上後腸骨棘
腸骨稜・腓骨頭

いずれの触診項目も鍼灸師にとっては簡単な項目ばかりですが、
「少し怪しいかも・・」
と思った方は測定する前に教科書を見て復習しておきましょうね。

これらの骨ランドマークの触診が正確に出来さえすれば基本軸・移動軸にゴニオメーターを正確に当てることは非常に簡単です。

3.臨床で使用頻度の多いROM測定

今回の実践編では教科書に記載されていない点に絞って解説していきたいと思います。

解説する検査項目は臨床上特に使用頻度の多いものとします。

【臨床上使用頻度の多いROM測定4選】
⑴.肩関節の外旋・内旋
⑵.股関節の屈曲・伸展
⑶.膝関節の屈曲・伸展
⑷.足関節の背屈

 ⑴.肩関節の外旋・内旋

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引用:日本整形外科学会・日本リハビリテーション 医学会より

この検査で捉える運動面は上から見た水平面の動きであり、画像を見ていると移動軸を橈骨だと勘違いしてしまう人も多いのではないでしょうか?

実際の移動軸は尺骨であり、ゴニオメーターは下から当てて測定しなくてはなりません。

また、教科書には記載されていないのですが、この検査は端座位が基本肢位となっており、困難な場合に背臥位での方法を選択します。

図に【Ⅵ.その他の検査法 参照】とあるように、背臥位の場合には下記の別法があるので、端座位の保持が困難な場合に行います。

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ただし、こちらの方法を参照いただくとお分かりかと思いますが、参考可動域が異なるという点はめちゃくちゃ大事です。

この可動域の違いって何でだか分かりますか?
違いは開始肢位が異なる点にあります。

前者は上肢下垂位で行うのに対し、後者は肩関節外転90°で行っています。
開始肢位が異なる時点で検査結果が異なるのは当然ですが、注意しなくてはならないのが、別法で行う場合【別法で実施】したことを記載するのは忘れず覚えておきましょう!

また、開始肢位が異なることによってROMの制限因子が変わるという点もめっちゃ大事です。

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実際は関節包などの組織も関与しますが、上記に記載したのは筋肉の制限因子(Rotator cuff のみ)を挙げました。
こう考えると開始肢位が異なれば評価項目も全然変わってしまいますね。

この2つの肢位を比較するだけでもROM制限となる原因が絞れてきそうな気がしませんか?

実際はもっと細かく評価するんですが、肩に興味がある方がいればコメントお待ちしてます!

 ⑵.股関節の屈曲・伸展

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