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臨床で確実に押さえておきたいROMの原理原則

皆さんこんにちは!
運動療法担当のてっちゃんこと白石哲也です。

この連載では【訪問現場で使える運動療法】について、ボクの経験を踏まえつつお伝えしていきたいと思います。

前回は運動療法の原則について解説しましたね。

第2回目となる今回はROMの原理原則について話していきたいと思います。

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ROMは国家試験にも必ず出てくるので皆さんご存知ですよね?

何の略かというと、ROM(アールオーエム)はRange of Motionの略で日本語では関節可動域と呼びます。
※「ロム」とは呼ばないのでお気をつけくださいw

理学療法士にとっては学生時代に時間をかけて学ぶ重要な検査法ですが、鍼灸の養成校では学ぶ時間は殆どないため、ぼんやりとしたイメージの人も多いのではないでしょうか?

実際の臨床現場では定量的な評価をする上でめちゃめちゃ使える検査法にも関わらず、正しい方法が分かっていないのってもったいないですよね。

実際にROMを全て学ぼうとすると、鍼灸師でいう「東洋医学概論」を学ぶ授業時間と同じくらい必要でかなりの時間が必要となります。本稿ではポイントを絞ってお伝えしていきたいと思います!

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1.ROM測定とは

【ROM測定とは】
近位の骨と遠位の骨に角度計を当てて、動きの止まった位置までの角度を読み取ることで定量的に測定できる検査方法です

ROMには実施前に押さえておきたい以下の3つのポイントがあります。

⑴.解剖学的肢位が開始肢位
⑵.記載方法は0-180°システム
⑶.「正常」可動域ではなく「参考」可動域

⑴.解剖学的肢位が開始肢位
全てのROM測定の開始肢位は解剖学的肢位(頭部・足趾・手掌を前方に向け、手指伸展した直立位)となります。

⑵.記載方法は0-180°システム
例えば肘のROMの屈曲拘縮が30°ある場合、
「肘の屈曲可動域:30°〜145°」と記載しましょう。

⑶.「正常」可動域ではなく「参考」可動域
意外と知らなかった人も多いのではないでしょうか?
ROMは年齢・性別・個体による変動が大きいので、正常値は定めておらず参考可動域とされています。

2.ROM制限に影響を及ぼす因子は様々!

在宅現場で出会うような高齢者では、ほぼ間違いなくROM制限は起きています。ただ、原因を一つに特定することは難しいので、ここではどんなことが制限因子となるのかを押さえておきましょう!

【ROM制限に影響を及ぼす因子】
⑴.高齢化
⑵.罹患期間の長期化
⑶.ADL能力の低下
⑷.脳血管障害などによる痙縮・麻痺
⑸.疼痛による関節の不動化
⑹.浮腫・腫脹による軟部組織の変性
⑺.障害側だけでなく非障害側にも起きる

実際に担当している患者さんで上記に当てはまる項目を想像してみると、殆どのケースで複数項目が当てはまりますよね。
ROM制限を因子を考察するには、ROMだけで判断することは出来ないので他の検査と統合して解釈する必要があります。

3.測定方法には2種類ある

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