鳴かず飛ばずの吉原女(よしわらめ)No13
懐
神経科の待合室の窓の外を眺めた。
スカイブルーの空と、もくもくの白い雲。夏の空だ。
小学生の頃、家族旅行で行った海。その頃のワクワクが蘇ってきた。
楽しみが待っているような、海に行けるんだというような、そんな高ぶる気持ちが押し寄せてきた。
また行きたいな。
でも現実は、ため込んだ請求書を選んで支払いして、それでいっぱいいっぱいの懐具合。
海に行ける余裕なんて全然ない。
コロナで不要不急の外出は、ダメだから丁度いいのか、なんだかな。
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