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【統率者・EDH】《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》



はじめに

ご覧いただきありがとうございます。
私はM:TGプレイヤーのT.Kと申します。
フォーマットはパイオニア、モダン、レガシー、そして統率者戦(EDH)を遊んでいます。
私は今までM:TGの記事は一切書いてこなかったのですが、今回自分が遊んでいるフォーマットの1つである統率者戦(以下EDH)において最も好きな統率者(以下ジェネラル)である《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》について記事として整理したいと思い執筆しました。

今まで一切記事を書いてこなかった人間が突然そのように思った理由は3つあります。理由の1つ目は《スキジリクス》は私が10年以上使用してきた特別愛着が強いジェネラルだからです。このジェネラルには他のジェネラルにはない特別な能力がありそれゆえに非常に独特な動きをします。その能力については詳しくは後述します。

理由の2つ目は2023年2月3日に『ファイレクシア:完全なる統一』が発売されたからです。このセットは『ミラディンの傷跡ブロック』以来、約13年ぶりのミラディン(現:新ファイレクシア)再訪となるセットです。そして、《スキジリクス》は『ミラディンの傷跡』において初めて収録されました。『ミラディンの傷跡ブロック』の直接的な続編であるセットの登場を私は1つの大きな区切りと考え記事執筆に至る大きな理由の1つとなりました。

そして最後の3つ目の理由は、《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》というクリーチャーがとても魅力的なジェネラルであるということを皆さんにお伝えできればと思ったからです。《スキジリクス》はその独特な動きゆえに好き嫌いがはっきり分かれるジェネラルです。自分で使うにしても相手に使われるにしてもです。ですがそうなるのは《スキジリクス》が他のジェネラルには無い強烈な個性を持っているからだと私は思っています。他のジェネラルには無い個性を最大限生かしつつデッキを構築し、プレイするのはとても面白くやりがいがあります。そのことをこの記事を通して少しでも皆さんにお伝えできれば幸いです。


《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》とは?


厨二心をくすぐられるデザイン

荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon
(3)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ドラゴン(Dragon) スケルトン(Skeleton)
飛行
感染(このクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒(poison)カウンターの形でダメージを与える。)
(黒):荒廃のドラゴン、スキジリクスはターン終了時まで速攻を得る。
(黒)(黒):荒廃のドラゴン、スキジリクスを再生する。
4/4

M:TG Wiki

《スキジリクス》は黒単色のドラゴンです。「ファイレクシアン」というクリーチャータイプは印刷当時存在しませんでしたが、後に新設され《スキジリクス》にも追加されました。ドラゴンの基本とも言える「飛行」に、マナはかかりますが奇襲性のある「速攻」、そして「再生」という除去耐性を持っています。

ここまでの能力でお察しの通り、《スキジリクス》をジェネラルにするならば俗に言う「殴りジェネラル」という分類になります。「殴りジェネラル」とは単騎で統率者ダメージ21点を狙うジェネラル、もしくはジェネラルを中心に横にクリーチャーを並べて数の暴力でプレイヤー3人分120点のライフを削り切ることを狙うジェネラルのことを指します。後者の場合は展開をサポートする能力を持ったジェネラルや自軍のクリーチャーを強化する能力を持ったクリーチャーがジェネラルとして選ばれることが多いです。

《スキジリクス》は上の分類で言えば前者になりますが、統率者ダメージ21点を狙うにしてはかなり力不足であることは否めません。いくら「速攻」と除去耐性を持っているとは言え、パワーが4では21点を与えるのに6回も殴らなくてはなりません。しかも、EDHは相手が3人いるわけですから都合18回殴らなくては勝利できないわけで、無限コンボが跋扈するEDHにおいてこれはあまりにも悠長と言わざるを得ません。21点の統率者ダメージでの勝利を狙うなら、他により優れたジェネラルが見つかるでしょう。


キーワード能力「感染」

ではなぜ《スキジリクス》が「殴りジェネラル」足り得るのか。その最大の理由が今まであえて説明を伏せてきたキーワード能力「感染」にあります。それではまず「感染」とはどのようなキーワード能力なのかを確認したいと思います。

感染を持つ発生源からクリーチャーに与えられたダメージは、クリーチャーに残らない。それは、その点数に等しい-1/-1カウンターをそのクリーチャーの上に置く。
感染を持つ発生源からプレイヤーに与えられたダメージはそのプレイヤーのライフを失わせない。代わりに、それはその点数に等しい数の毒カウンターをそのプレイヤーに与える。

M:TG Wiki

上記のように「感染」はダメージの性質を変える能力です。「感染」をもつクリーチャーがクリーチャーにダメージを与える時は-1/-1カウンターの形で与えることになり継続的な戦闘を困難にさせます。「破壊不能」や「再生」などを持つクリーチャーであっても-1/-1カウンターの蓄積によりいつかは落とすことができます。

そしてこの「感染」において最も重要であるのがプレイヤーに与えるダメージの性質の変化の方にあります。「感染」を持つクリーチャーは「毒カウンター」の形でプレイヤーにダメージを与えます。では「毒カウンター」とはどのようなルールでしょうか。確認しましょう。

毒カウンターは、プレイヤーが得るカウンターである。いずれかのプレイヤーが10個以上の毒カウンターを得た場合、そのプレイヤーは次に優先権が発生したときに敗北する。双頭巨人戦では、チームが15個以上の毒カウンターを得た場合、そのチームは次に優先権が発生したときに敗北する。これらは状況起因処理である。
プレイヤーが1個以上の毒カウンターを持っている場合、あるいは双頭巨人戦においてチームが1つ以上の毒カウンターを持っている場合、そのプレイヤー(達)は「毒を受けている/poisoned」と言う。

M:TG Wiki

双頭巨人戦のくだりは今回関係ないので無視していただくとして、要するに「毒カウンター」が10個溜まったプレイヤーはゲームに敗北するという極めてシンプルなルールです。M:TGは通常20点のライフを削り合うゲームですが、「感染」を持つクリーチャーの打点であれば10点で済みます。これがEDHになるとその差はさらに大きくなります。

先述した通りEDHにおいて戦闘ダメージで勝利しようとしたらプレイヤー3人の120点のライフを削り切るか、もしくは統率者ダメージ21点を3人分、計63点ものダメージを与える必要があります。しかし、「感染」を持つクリーチャーであればプレイヤー1人につき毒10個、計30点分の打点で済むわけです。これは戦闘という手段を用いてEDHで勝利するにあたって非常に現実的な打点と言えると思います。

【またこれは余談ですが、「感染」を持つクリーチャーが与えるダメージはプレイヤーのライフを減少させませんが、ダメージを与えたことには変わりないため「統治者」や「イニシアチブ」はダメージさえ与えれば問題なく奪うことができます。】


「感染」を持つ唯一のジェネラル

そして、2023年2月現在この「感染」を持つ伝説のクリーチャーは《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》たった1体しかいません!つまり感染を持ったジェネラルは《スキジリクス》しかいないということです。これが先述した《スキジリクス》が持つ強烈な個性です。他にも様々な個性を持つクリーチャーは多くあれど、ここまでの強烈な個性を持ったクリーチャーはなかなかいないと思います。

また「感染」というキーワード能力は『ミラディンの傷跡ブロック』以降10年以上にわたり、ただの一度も再録されることがありませんでした。既存カードの再録(《スキジリクス》はダブルマスターズやThe Listにて再録)としてはありましたが、新規カードに「感染」というキーワード能力が与えられることはありませんでした。このことはスタンダードに追加される通常のセットはもちろん、『モダンホライゾン』や『統率者レジェンズ』などの特殊セットにおいても同様です。そして最も再録の可能性が高いと思われていた『ファイレクシア:完全なる統一』においても残念ながら「感染」の再録はありませんでした(代わりに「毒性」という新たな「毒カウンター」関連の能力が登場)。

これらのことから「感染」がキーワード能力として再録され、新規カードに与えられるのは今後限りなく低いのではないかと思います。そもそも「感染」はその登場からしてセンセーショナルでした。モダン黎明期において猛威を振るったのが小型の「感染」クリーチャーを《猛火の群れ/Blazing Shoal》で爆発的に強化して瞬殺するコンボデッキでした。その後《猛火の群れ/Blazing Shoal》が禁止され以前ほどの爆発力は失いましたが、それでも隙あらば瞬殺を狙えるデッキとして長らく環境に残り続けていました。つまり「感染」とは開発者側にとって非常に調整が難しいメカニズムなのではないかと思います。そのことは公式の記事などでも窺い知ることができます。また「感染」が賛否両論極端に分かれるメカニズムであることも再録を慎重にさせている要因でしょう。ファイレクシアをテーマとした13年ぶりのセットで再録がなかった以上、少なくとも今後かなり長い期間は再録は見込めないと思います。

「感染」の再録についてネガティブなことばかり述べてきましたが、このことは裏を返せば《スキジリクス》の持つ唯一性がかなり高い確率で担保されているということでもあり、それゆえに今後も長く調整しがいのあるジェネラルだと思います。黒単色であるがゆえに拡張性はあまり高くないジェネラルではありますが、他のジェネラルには出来ない動きが出来るため独特の面白さがありハマる人は長く愛用できるジェネラルだと自信をもってお勧めできます!


デッキ構成について

ここまで長々と《スキジリクス》および「感染」について語ってきましたが、デッキとして構築したら具体的にどんな形になるのでしょうか。ここでは私が現在使用しているリストを参考までに載せておきます。

サブプランは必要か?

EDHにおいて《スキジリクス》をジェネラルとするならば基本的にメインプランは「感染」による毒殺になるでしょう。「増殖」や「毒性」を絡めるにせよ毒殺を目指すことがこのジェネラルにおいて1番の近道ですし同時にアイデンティティでもあります。ただ毒殺を狙うということは基本的に《スキジリクス》をはじめ他の「感染」クリーチャーや「毒性」クリーチャーの攻撃を通さなければなりません。あたりまえのことですがそれらのクリーチャーを除去されていけば大きく勝利から遠ざかってしまいます。《スキジリクス》はジェネラルですから除去されても追加でマナを払えばプレイし直すことはできますが、もともと5マナと軽いジェネラルではないのでそれにも限度があります。ゆえに毒殺というメインプランの他に何らかのサブプランが欲しくなるところです。

スキジリクスをジェネラルにした他の方のデッキを見ていると、サブプランに据えられているのは大まかに下の2つが多いようです。

①[オニギリウーズ]や[オニキススモッグ]などの無限コンボ
②小型の「感染」クリーチャー+装備品による毒殺補助

②に関してはメインプランの直接的な補助でもあるので厳密にはサブプランとは異なるかもしれませんが、ここではサブプランとして話を進めていきます。

まず①に関しては個人的には最も無い選択肢だと考えています。理由としては《スキジリクス》においては単体で仕事ができないコンボパーツにデッキの枠を割いている余裕はなくメインプランの妨げとなってしまうためです。結果中途半端なデッキとなりメインでもサブでも勝ち切ることが難しくなってしまいます。

そうなると必然的にサブプランの候補は②となってくるのですが、私はこれもあまりお勧めしません。なぜなら《スキジリクス》以外の黒の「感染」クリーチャー、あるいはアーティファクトの「感染」クリーチャーはお世辞にも性能が良いとは言えず(《ファイレクシアの十字軍》だけは例外)、これらを単体で運用してサブプランとするにはかなり力不足だと感じたからです。たとえそこを装備品で補助したとしても[クリーチャーを展開]→[装備品を展開]→[装備する]とテンポも非常に悪くなりますし、EDHにおいてアーティファクトは簡単に割られたり機能不全にされたりするのでいずれにせよ信頼性のあるプランにはなり得ません。

ではどうするのか。私が行き着いた結論はサブプランは用いず、ひたすらメインプランの遂行速度を上げる、すなわち「速さを極める」ことでした。《スキジリクス》は5マナと重いジェネラルではありますが、M:TGの長い歴史の中の強力なマナ加速のバックアップを受ければかなり早期に唱えることができます。具体的には2~3ターン目に着地して4~5ターン目には1人落とせるくらいの速度です。もちろんこの速度はcEDHのジェネラルのコンボスピードからすれば遅いですが、殴りジェネラルの中では速い方になると思います。

逆に言えばこれくらいの速度で落としていかないと勝利は難しいです。《スキジリクス》は基本的には1人ずつしか落とせないため1人を殴っている間、基本的に他の2人には干渉できません。他プレイヤー視点からすれば誰かが殴られている間にコンボの準備を整え、妨害されなくなった後でコンボを決めればいいわけですから最後の1人に至ってはかなりの時間の余裕があります。その時間を少しでも与えないために1ターンでも早く落としていくことが重要になります。

私のデッキリストを見ていただければわかる通り、使い捨てのものであっても強力なマナ加速は惜しみなく採用しています。また《スキジリクス》の2回の攻撃で落とせるようにパワー+2修正を与えるインスタントも多く採用しています。正直これらのカードはカードパワーが低く他のジェネラルであればほぼ採用されないカードですが、遂行速度を上げるため《スキジリクス》では重要なカードになります。

このように遂行速度が1ターン速くなるカードを積極的に採用し、相手の体勢が整う前の毒殺を目指しています。先述の通りカードパワーが低いカードが多いですが幸い黒にはチューター系カードが多く存在しています。それらを豊富に採用することで場面ごとに必要なカードをサーチし滑らかに動けるように構築しています。

こいつだけは例外 他は…

明白な弱点

ですが、いくら速度を上げたところで《スキジリクス》の明白な弱点は克服できていません。《スキジリクス》の弱点…それはずばりインスタントの単体除去(ピン除去)です!各色具体的にどんなものがあるか使用頻度の高いものをここで挙げておきたいと思います。

白:《剣を鋤に》《流刑への道》
青:《猿術》《急速混成》
黒:《四肢切断》《致命的なはしゃぎ回り》
赤:《混沌のねじれ》
緑:《内にいる獣》

上記以外にも軽くて使いやすく使用頻度の高いピン除去は多くありますが、ここでは《スキジリクス》視点で特にキツいカードを挙げています。これらの除去を初手に握られているだけで遂行速度が1~2ターン遅れ、酷い時には3ターン以上遅らせられる《スキジリクス》にとって天敵と言ってもいいカードたちです。中でも白、青、黒の3色の除去は0~1マナで撃てるため構えられやすく非常に厄介です。極端な話、相手のジェネラルが白青黒いずれかを含んでいるだけで真っ先に殴る理由になり得ます(特に青は《金粉のドレイク》でのコントロール奪取や各種バウンス、各種カウンターなどキツいカードが多く積まれている可能性が高いため最優先目標になりやすいです)。

赤と緑に関しては先の3色ほど厄介ではありません。赤はピン除去枠を火力に頼っていることが多く、なおかつそれらは《稲妻》や《削剥》といった3点火力であることが多いので《スキジリクス》なら耐えられます。《混沌のねじれ》は擬似追放除去なので厄介ですが、3マナと重いため構えづらいですし察知するのも容易です。緑は基本的に《内にいる獣》くらいしかクリーチャーに対するピン除去がないので比較的やり易いですが、その代わり《ケンリスの変身》や《ドライアドの歌》といったエンチャントによる盤面に貼り付けられる形の除去が厄介なので油断は禁物です。

M:TG最強の除去はEDHでも強い!

弱点への対策

これら厄介なピン除去ですが基本的に黒には抗う術がありません。ですが中には数は少ないですが僅かながら抗うことのできるカード、いわゆる防御札があります。それが《インプの悪戯》と《教授の警告》です。前者は《剣を鍬に》などの追放除去を含むあらゆるピン除去に抗えるカードです。対象変更呪文は黒のカラーパイではないので本来与えられないはずのカードですが、『次元の混乱』というカラーパイの入れ替わりがテーマとなったセットで収録されました。

2マナなので構えるのは少し重いですがそれが気にならないくらい《スキジリクス》にとっては貴重な能力なので、仮に将来同能力の2枚目のカードが収録されるとしたらその2枚目も採用することになると思います。それぐらいの重宝するカードのためチューターで探してくることも結構あります。

《偏向はたき》の方が強いとか言わない

後者の《教授の警告》はクリーチャー1体に+1/+1カウンターを置くか、「破壊不能」を付与するインスタントです。ものすごく地味なカードですが1マナと構えやすく破壊系ピン除去に合わせて撃てば相手の計算を大きく崩すことができます。「破壊不能」は《スキジリクス》が元々持つ「再生」とは異なりタップしたり戦闘から取り除かれることもないためテンポを損なわずに済みます。

またこの手の受けのカードには珍しくカウンターを置くモードを選択することでアグレッシブな使い方もできます。《スキジリクス》を5/5にすることで2回の攻撃で毒殺できるようになるため遂行速度を上げるカードとしても使うことができ非常に器用なカードです。このカードもカラーパイ的には緑のように思えますがなぜか黒に収録されています。

地味だがいぶし銀の1枚

この2枚以外にもピン除去に抗える可能性のあるカードは採用していますが、テンポを損なわずに抗えるのはこの2枚だけです。そしてこれらの防御札以外にも黒特有の手札破壊呪文、いわゆるハンデスも採用し少しでもピン除去を食らわないよう構築しています。ハンデスはEDHにおいては非常に弱い戦略であり、他のジェネラルではあまり採用されません。ですが《スキジリクス》においては除去を食らわないということが最優先されるため有効な戦略になり得ます。また相手の手札を覗くことができるためヘイト値の判断に貢献することも大きいです。《スキジリクス》は誰から殴るかという判断によって勝率が大きく左右されます。手札を覗いて脅威になりそうであればそのプレイヤーから事故気味であれば他のプレイヤーからと判断できるようになることはハンデスの持つ副次的な利点になります。

カードゲームにおいてピーピングは偉大

プレイングについて  「ファイレクシア病の進行記録」

マリガン  「第一段階:発疹と吐き気」

M:TGというゲームはマリガンからプレイングが始まっています。特に《スキジリクス》においてはこのマリガンが大きく勝率を左右します。《スキジリクス》はなにを置いてもジェネラルを出さなければゲームになりませんから、初手は最速でのジェネラルキャストが出来るハンドをキープすることが最優先目標になります。

そのため中途半端なキープは許されません。具体的には「2ターン目にキャスト、3ターン目から攻撃開始」あるいは「3ターン目キャスト+速攻での攻撃」が見込めるハンドが来るまでマリガンしていきます。2ターン目のキャストというのは一見かなり厳しいように思えますが、《吸血の教示者》《伝国の玉璽》《宝石の睡蓮》《魔力の櫃》(あまり現実的ではないですが《ライオンの瞳のダイヤモンド》も)の内1枚と《冠雪の沼》2枚があれば条件を満たせます。また《魔力の墓所》《太陽の指輪》+1枚のマナ加速でも満たせるため思ったほど厳しい条件ではありません。この条件のハンドが来るまで少なくともダブルマリガン(ハンド5枚でのキープ)までは迷いなくマリガンしていきます。

ダブルマリガンまでしても条件が満たせないハンドしか来ない場合は流石に妥協するしかありませんが、それでも《スキジリクス》のキャストが当分見込めないハンドをキープするよりかはトリプルマリガンして3or4ターン目キャストを目指せるハンドを探しに行った方が良い場合が多いです。

このカードの登場が2ターン目キャストの確率を大きく向上させた

1人目  「第二段階:高熱と高い感染性」

繰り返しになりますが《スキジリクス》は1人づつしか落とせない殴りジェネラルです。コンボジェネラルのように一気にゲームを終わらせることはできません。ゆえにまず最初に誰を落とすかという判断をしなければなりませんがこの判断が非常に難しいです。なぜなら上記のマリガン基準をクリアしてゲームを始めたとするならば《スキジリクス》が殴り始めるのは3ターン目、つまりほとんど情報がない状態で判断をしなければならないからです。

この段階でわかっているのは相手ジェネラル+αくらいの本当に僅かな情報しかないことが多いですから、ジェネラルのヘイト値と3ターン目までの展開具合、相手のマリガン回数とターン順目などで判断するしかありません(ハンデスが撃てているのであればそれも加味)。基本的に最初の目標に関しては《憎悪》等での一撃での毒殺はこちらの体勢も整っていないため難しいことが多いです。

ですのでパワー+2修正のインスタントなどを使い2回の攻撃で迅速に落とすことになります。ここで注意したいのは一度攻撃した相手は基本的に落とし切ることです。これはどういうことかと言うと、最初に殴った相手よりもその1ターン後の展開などにより他の相手のほうが脅威に思える場合があります。ですがこの場合であっても最初に殴った相手を落とすことを優先させるということです。

なぜなら《スキジリクス》において最も警戒すべきは自身への除去であり、落とせる相手を落とさないということはそのプレイヤーが次のターンに引き込むかもしれない除去を受けても良いと容認することと同じだからです。一度《スキジリクス》に殴られた相手は最低でも毒カウンター4個の毒殺リーチの状態になりますから必死に除去を探しに行きますし、引いたら《スキジリクス》に撃つことをためらいません。

ゆえにそのような状況を回避するために最初の目標はブレさせずにきっちり落とし切りましょう。《スキジリクス》にとって相手を多く残しておくことは基本的にマイナスにしか働きません。戦況が複雑化しゲームが引き伸ばされたらこちらに勝ち目はありません。私も以前はより脅威となる相手が現れた場合一発殴った相手から変更して殴りに行ったこともありましたが、結局誰も落とせずに終わるか、見逃した相手から除去を食らって勝ち切れないということが多かったため現在は落とし切ることを徹底しています。

また1人目を落とす段階で《願い爪のタリスマン》が用意できるならできれば用意しておきたいです。このカードは3回起動出来ますが基本的に一度起動したら他のプレイヤーに渡さなければならないため、使い切りのサーチとしてコンボジェネラルで採用されることが多いカードです。ですが《スキジリクス》では渡した相手を落とせば自分のコントロール下に帰ってくるので、再度使用することができます。それを2人目を落とす際にも繰り返せば3回すべて自分で使用することが出来ます!インチキくさい動きですが毎ターン《悪魔の教示者》を撃ちながら相手を毒殺していくのは爽快感抜群です!

《スキジリクス》では《悪魔の教示者》3回分!!!

2人目  「第三段階:筋肉痛とひどい咳」

1人目をきっちり落とし切ったら次は2人目です。2人目を決める判断も基本的には1人目を決める時と変わりませんが、ターンが経過しているため1人目の時よりも多くの情報を見た上で判断することが出来ます。2人目を落とす際は出来れば一撃で仕留めたいところです。というのもここまでに最低4ターンは経過していて、相手もそれなりに体勢が整いつつある頃だからです。

ゆえに《憎悪》や《語られざる印》などのライフを打点に変換できるカードを用いて必殺の一撃を狙いに行きましょう!先の《願い爪のタリスマン》をはじめとした各種チューターで上記のカードを手に入れて、出来れば《インプの悪戯》などの防御札も握っておきたいところです。また残る最後の相手にハンデスなどで妨害しておけると今後の展開が楽になります。

『すべそれ』でもお馴染みのロマン溢れる必殺カード!

3人目  「最終段階:うわごと、ひきつけ、そして死」

とうとうここまで辿り着きました。いよいよ最後の1人、言うなればラスボス戦です。これまでのターン経過数5~6ターン、相手は十分に体勢が整っているでしょう。ゆえに3人目を相手にするときは泥沼の戦いになることも多いです。《スキジリクス》は容易に対処され、こちらのリソースもこれまでの消耗で心もとなくなっているでしょう。

ですからここまで来たらこちらも総力戦です。私のデッキには《スキジリクス》以外に毒カウンターを与えることができる手段が少量ですが搭載されています。《ファイレクシアの十字軍》《ファイレクシアの槽母》《汚れた一撃》《屍気の拝領》これらのカードで《スキジリクス》を補助しましょう。特に《汚れた一撃》はインスタントで「感染」を付与できるため奇襲性も高く、回避能力持ちクリーチャーと相性が良いです。

失ったリソースは《ヨーグモスの意志》で取り戻しましょう。今まで使用したマナ加速や除去、ハンデス、チューター、パンプスペル全てを再利用してラスボスを討ち取りましょう。ゲームクリアまで後一息です。最後まで気を抜かず、最善手を打ち続けましょう。見事3人毒殺し切った時、あなたが目にするのは「祝福されし完成」に違いないでしょう!

「マジック史上最大の過ち」と言われるカード

おわりに

長くなってしまいましたが今回の記事は以上になります。今回初めてM:TG関連の記事を執筆しましたが、やはり自分の好きなもののことを書くのは面白く、楽しみながら書けました。長く愛用してきたジェネラルのことを整理することも出来てとても満足しています。今後も余裕があれば個別のカードの解説など記事にできればと思っていますのでよろしくお願いします。

またこの記事を通して《荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragon》というジェネラルの魅力が少しでも皆さんにお伝えできていれば嬉しく思います。ファイレクシアが再注目されているこの機会に一度手に取ってその魅力を直に味わっていただけたらと思います。きっと「完成」の素晴らしさを身をもって体験できると思いますから。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
またお会いできることを楽しみにしています。

Φ ALL WILL BE ONE Φ

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