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20230110

 朝、いつもの時刻に目が覚めた。起きようとしたら頭痛と倦怠感で体が動かない。血糖値は190なので直接は関係ないな(充分高いのだが)、低血圧かな、風が強いから気圧もあるか、と妙に冷静に考えつつ、ゆっくりと上体を起こすところまでは出来た。しばらくボーッとして家を出る時刻まで粘ったけれど、結局あきらめて欠勤の連絡を入れた。

 昨日そういえば血糖47と370を記録したんだ。だるくて早めに布団に入ったけれど、まだ体が疲れているんだと思う。
 お腹はぐるぐる鳴っていたけれど食欲がなく、朝食をとらずに再び寝た。

 12時に起きて昼食を作った。食前血糖値は99。まあ普通に食べられるだろうとインスリンを打ったが、食べきれず半分残してしまった。なのに食後の血糖は270まで上がっている。よくわからん。

 欠勤するたびに落ち込んでしまう。通院のために明日も休みを貰っているのでいっそう申し訳なさが募る。たった半日の仕事、こんな自分でも必要としてもらえていて、恵まれた環境にいながらどうして頑張れないのかなと悔しくなる。
 ときどき、体の不調も心のつらさも偽物のように感じることがある。

 “コントロールが良好なら普通の人と同じように生活できて学業や仕事にも支障をきたすことはない”

 1型糖尿病はそういう病気だと発症時に教わったし、自らにそう言い聞かせてきたし、途中までは確かにそうだった。じゃあコントロール不良から抜け出せない今の私は……?
 いつか良好のレベルに戻れたとして、それを維持しながら普通の人と同じように生活するって、そこまでしてようやく得られる普通って普通なのかな。
 1型糖尿病は治せない。良い状態を保つためにずっとずっとずっと頑張り続けなきゃいけない。そのうえで更に他の人と同じように努力するなんて全然普通のことじゃないじゃん、と思ってしまうのは甘えかな。

 インスリンポンプなどの高度な医療機器を使わせてもらえて、専門の知識を持った先生方や栄養士さんに助けられて、家族や友達や職場の人にもたくさん迷惑かけて、治療における不満など何一つないはずなのに。しんどいなんて思ってごめん、弱音吐けるほど大して苦労してないのにごめん、そう思いながら何でもないときに涙が出る。

 この病気は誰のせいでもないけど私は頑張らなくちゃいけない。看護師さんに言われた言葉を何度も思い出して生きてきた。
 偽物でも仕方ない。私は頑張って生きなくちゃいけないのだ。

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