メイキング『沈める月』
久々のメイキングです。
今回は「syrup16gイメージアート展 "Stay Beautiful"」に出展した作品の中から、『沈める月』の制作過程や解説を書いていきます。
なお、もう一つの作品『Untitled』については、そもそも工程を撮影しなかったのと、これといってエピソードがない(強いて言えば、アルバム『delaidback』のジャケット写真と収録曲『光なき窓』から着想を得たということぐらい)のとでメイキング記事をつくる予定はありません。
ステンドグラスの作り方、ひたすら切って貼るだけ。(雑)
機会があればまたそのときに。
制作過程
いきなりめっちゃ塗るじゃん(早速はじめの工程を撮り忘れました。すみません)
今回はホワイトアイビスの水彩色紙を使いました。寸松庵サイズです。
まず、マスキングインクで月の形をまるく取っておきます。インクは奮発してシュミンケのものを買いました。青色なのでマスクした部分がわかりやすい。
ちなみにマスキングインクを使うのはこれが初めてでしたが、私の雑な性格が出て輪郭がちょっとガタついてしまいました。
白抜きした部分の境界がくっきりと出るので、計画的にかつ丁寧に使わないと不自然に見えかねないですね…。練習します。
インクが乾いたらウェットインウェットで絵の具を置いていきます。
背景は夜空にも海中にも見えるような色を意識しました。単に青~紫のグラデーションが好きというのもあります。
絵の具はクサカベの透明水彩です。
画面の上からインディゴブルーやプルシャンブルーなど濃い目の青、下からバイオレットやマゼンタをランダムにぽんぽんと置いていき、多めの水で滲ませながら、真ん中あたりでいい感じのグラデーションが生まれるようにしていきます。
このとき筆をあまり動かさないといいますか、「塗る」よりも「置く」イメージでやると、水の動きで自然と絵の具が広がってくれる気がします。
私はいつも塗りすぎによる失敗をしがちなので、今回そこを特に気をつけました。
これだけでもきれいな色にはなりますが、なんとなくボヤーっとするので、分離色のスーパービジョンや食塩を使って画面が単調にならないように工夫していきます。
食塩をぱらぱらと撒いて水で溶かすと、色が抜けてじわっと花が咲いたような不思議な模様ができるんですよね。
先に紙を濡らしておいてそこに塩を置くのが一般的?なようですが、うまくできなかったのであとから筆先を使って水を含ませてみました。
こんな感じ。きれいじゃないですかね?
濃い青の上だと独特な滲みが特に際立つのでお気に入りです。
そんな要領で絵の具を重ねていき、好みの感じになったら一旦乾かします。
お次はメインのクラゲです。数年前に水族館で撮影したクラゲの写真がここで活かされました。資料is大事。
この白は絵の具セットに入っているチャイニーズホワイトを使いました。隠蔽力が少ないのを逆手にとって、クラゲの特徴である儚い透明感を出してみる作戦です。
マスキングインクもここではがしました。
最初に載せた写真の右側に、透明軸の筆がありましたね。
名村のCNクリスタルというナイロン筆なんですが、お尻のところが斜めにカットされた形をしており、こすることでマスキングインクをはがせるんです。
紙が傷まないよう慎重に取り除いていきます。
輪郭の汚さは目をつむることにしましょう。
月の影をスーパービジョンでざっくりと塗ります。白い部分も残してみました。
分離色はひと塗りでそれっぽくなるのがありがたいです。自分でなかなかつくれない、絶妙な色の混ざりが自然に生まれるのがいいですよね。
仕上げに、ホルベインの偏光絵の具を画面全体にスパッタリングしていきます。
これはアクリル絵の具ですが水彩と同様に多めの水で溶いて使いました。
きらきらが分かるように暗いところで撮影。
この分離たまらんでしょ。
マスキングテープをはがしてサインを入れたら完成です。
まわりが滲んでしまったけれど、これはこれでいいかなと思っています。
塩と偏光絵の具がいい味出しててかなりお気に入り。
冒頭で言ったように、夜空にも海にも感じられる仕上がりになったのではないでしょうか。紫のせいでちょっと宇宙っぽさもあるか。
見た人がいろんな解釈をしてくださったらとてもうれしいです。
おまけ。印刷がうまくできなくて手書きしたキャプションです。
下書きをしないことで有名な私、案の定文字は曲がっていますけど。
このあと印刷に成功したのでこれはお蔵入りしましたが、あとから他の出展アーティストさんが様々なスタイルのキャプションで参加されたことを知り、あえてこっちを出してもよかったのかな~と思いました。
こっちは採用されたキャプション。
スチレンボードの用意が間に合わず、ラベルシールと段ボールでがんばりました。
悪くはないと思うんだ。
「syrup16gイメージアート展 "Stay Beautiful"」は今月16日まで開催中です。
本当に素敵な作品しかありません。私のよりとにかくみなさんの作品を知ってほしいですマジで。
すでに見て下さった方も、これからチェックするという方も、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。webからも鑑賞できます!
https://nejiro.kinocofactory.work/archives/2485
それではまた。
syrup16gはいいぞ。
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