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LIVE ART BOOKS × 上西祐理

今回は Print House Session 今年のゲストアーティスト 奥山由之さんの
『 windows 』(赤々舎)の印刷・製本もされた 株式会社 LIVE ART BOOKS さんと、デザインスタジオ 北極 を立ち上げ・運営されているグラフィックデザイナー 上西祐理さんのチームに同行させていただいた様子をレポートします。

(左から) LIVE ART BOOKS 設計監理の中山さん 代表の川村さん デザイナーの上西さん 
プリンティングディレクターの平田さん 

株式会社 LIVE ART BOOKS さんは70年以上という長い歴史を誇る印刷会社さんで、印刷工場を大阪に構え、現場で作業を行う職人さんは皆さん印刷技能士の資格を保持されているそうです。

この日は先ずはオフセットで6色印刷、同時に表面にシルク加工が出来る KOMORI GL640 を目指して提携されている神戸の印刷工場を訪れました。

印刷と同時にUV加工が表面にされるので直ぐに触っても手にインクが付かず、この時は特別に入らせていただいた現場で、デザイナーの上西さんがプリントされたものを実際に触り、紙や印刷のテクスチャーや色味をチェック、プリンティングディレクターの平田さんを介して、機長さん(印刷職人さんをこう呼ばれるそうです)に伝え、丁寧に調整、少しづつ変化させて印刷、また確認という作業を重ねます。

写真は試作段階のプリントですが、艶っぽい光沢が施され表面がきらきらと反射し色彩も鮮やかです。中間色の色味が中心の作品たちが、この時点でこんなにもシャープでソリッドな輝きを放っていて既に可愛いです!
この工場ではUV加工に反して、表面にざらつきを加えた印刷もされており、上西さんの「vague / windows」ではそちらの技法も使って、本物の窓に触れているかのような作品も収められているので、紙や印刷によって違う手触りや質感のダイナミクスを見る人達も楽しむ事が出来ると思います。

次に大阪・深江橋にある LIVE ART BOOKS さんの工場へ。こちらではドイツ製のハイデルベルグという昔ながらの機械を職人さんたちが使い、8色のユニットによる柔らかくて温かみのある風合いを再現した印刷をします。

8色使われていることで色の粒子がさらに細かく、繊細で露光されているかのような儚い印象を持ちます。この精密な技術は、仏像を印刷する際の美術書にも用いられたそうです。

こちらでもデザイナーの上西さんが印刷されたものを見本誌に組み込み、構成やその雰囲気の流れなどを全員で丁寧に意見、プリント、また思案と、試行錯誤しながら作品作りに取り組んでいきます。

今回のコンセプトを上西さんに伺うと、窓、とわからないような不明瞭さを持ちつつ、それぞれに作品を広げて、窓のように日常的に壁に飾って楽しめれるようなものを意識されたそうです。仰られてた通り、同じ写真でもそれぞれ形や風合いが違っていて、飾ると毎日の生活に彩が出来そうです。とても素敵でした!本当に完成が楽しみです。

作業は夜まで続き、普段は何気なく手に取っていた写真集や作品たちが、こんなにも多くの人たちの関わりと、情熱を込めて作られているんだと、改めて驚きもあった貴重な一日でした。

上西裕理さんと LIVE ART BOOKS さんが一緒になって再構築した「vague/Windows」絶対にかっこいいです。ぜひ Print House Session にて手に取ってご覧ください。

(文・写真 大塚奈保子)



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