見出し画像

謎の析出物/ハイライターインク(ペリカン)

万年筆で使える蛍光インクが便利で愛用しています。
普段はペリカンの黄色ハイライターインクを使っているのですが、どうも沈殿物を生じやすい問題がありまして。雑なもので気にせず使っていますが、これが何なのか、化学屋としては知りたいところです。
なおこのボトルインクは3本くらい買いましたが、全部同じ症状が出ます。(常温の屋内保管、直射日光は避けていますが蛍光灯は当たる机の上が定位置)

見るからに析出物ですので、もしかしてフタの開け閉めに伴って水分が揮発して、溶解できなくなって出てきたものかなと思い、取り出していじってみることにしました。

まずは取り出し。ここに水を足して攪拌してみましたが、どうも溶ける気配がありません。こうなったらこの固体を洗浄するつもりで、そのまま水洗→デカンテーションを繰り返します。

なんか白色固体が出てきた....
蛍光色素の析出物かと思っていましたが、なぜか白い。とても白い。これは明らかに色素ではないぞ。。。?
この写真は少量の水に沈めている様子ですが、水に色がつく様子もなく、明らかに水溶性は乏しいです。
紫外線を当ててみることにします。

左側の青いのがUVライト。
この固体、少し蛍光を発しますが非常に弱いです。
周りの水は無反応なので、溶解性がほとんどないのも見て取れると思います。
この蛍光の弱さは、正常なインクと比べてみるとよく分かります。

インク(せいぜい一桁%濃度?の水溶液)の方が、明らかに強く蛍光を発します。
水に溶けないわ光らないわで、どうもこの析出物は、蛍光色素に何かが起きてしまった物質の疑いが濃くなりました。

念のため、乾燥固形物同士ということで筆記線とも比較してみましたが、

やはりこの白色固体からの蛍光はとても弱いです。

【析出物の物性まとめ】
◉ 水にほとんど溶けない
白色固体
◉ 蛍光はごくわずかで、とても弱い

うーん。
一般的な蛍光色素(純物質、固体)は触ったことがありますが、有色のものばかりです。紫外〜可視光で励起する物質である以上、白色のものは流石にないと思います。
蛍光がほんの少し出ていると言えなくもないのですが、そもそもこの白色固体由来の蛍光ではなく、単に水洗で除去しきれなかった正常な蛍光色素が吸着しているだけで、実はこの白色固体には全く蛍光がないという可能性すらあります。

ではこれは何なのという話ですが、成分分析して元のインクと比べて見ない限りは推測の域を超えませんが、

①蛍光体分子の色素増感酸化物。励起状態を経由して不可逆的な酸化、あるいは結合切断などが起きて生じた、劣化生成物(蛍光色素に実際に生じる劣化モードのひとつ)
②蛍光体分子に、何らかの金属イオンなどが不可逆吸着し、物性の異なる固体・会合体になってしまった。
③蛍光色素以外に入れている成分に由来する何か
など。

書いててなんですが根拠は乏しいです。
ペリカンって化学メーカーじゃなかったっけ。この固体を送ったら分析してくれないかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?