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生物発光の色々

夜光虫インクを話題にしたついでに、生物発光物質を色々と調べてみました。

化学の話をしますが、じんましんが出る方はただの色見本だと思って眺めてください。クリーム色のノーブルノートに書いてるんですが、なかなか良い色が出ます。

ホタルや夜光虫などが行う生物発光は、基質であるルシフェリンが酵素ルシフェラーゼによって酸化されることによる化学反応の光です。
酸化されて蛍光性の励起状態になった基質が基底状態に戻る際に発光するという仕組みです。


例えばホタルの光などは機構が詳細に分かっています。
ルシフェリンは酵素ルシフェラーゼによってアデニル化され、ついで酵素内で酸素付加され、高エネルギーのジオキセタン化合物が生成します。このジオキセタン環が開裂する時のエネルギーでルシフェリンは励起状態となり、発光を生じる訳です。

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生物によって用いる化合物は大きく異なります(図)
構造が違えば酸化されやすさや励起した際の共役長が変わるので、発光の効率や波長が変わります。各々の生存環境において必要な光を得るのに進化した結果ですが、生物種が違っても「酵素による酸化反応」という原理が同じなのは興味深いところです。

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しかし、インクの試筆で書こうと思った、ヤコウチュウ(のような渦鞭毛藻類)の発光物質がこんなにややこしいのは誤算でした。ほたるのは覚えてたので、似たようなもんだろうと思ってたら全然違って書くの大変でした。

いずれの物質もものすごく人工的な構造に見えますが、よくみると、アミノ酸の面影があって、生合成の痕跡が見えます。こういう複雑な化合物を易々と作ってしまうところが生合成の面白いところですね。

これは生物発光ですが、これに似た原理の化学発光というものもあります。
続きはまたのちほど。

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