見出し画像

Photo Studio Rinができるまで。

初めまして、東京の多摩地区にあるフォトスタジオのフォトスタジオリンです。
「リン」という名前は、娘の名前からとりました。
この写真館は、2021年初めに夫婦二人でスタートしました。
当時、時代はコロナ…今思い返せば、とても不思議な数年間でした。

当時、私たち夫婦は、インバウンドビジネスを中心にしていました。
夫がフォトグラファー、妻が日本語、中国語、英語の通訳者で、若い20代にあり、二人ともフリーランスでそれぞれの分野で力を発揮していた時代でした。

インバウンドの波が徐々に押し寄せ、二人で一緒にビジネスを始めたのでした。時は2018年…東京オリンピックを間近に、外国人観光客が年間4,000万人に迫る勢いでした。

私たちの会社は、外国人観光客に向けたVIP撮影ツアーやブライダル撮影をはじめとして、衣装レンタル、飲食、外国語教育事業、幼児教育事業、アプリ開発、同時通訳事業とインバウンドに関連したたくさんのビジネスをしていました。

自社で対外国人事業で一定の成果が上げられたので、インバウンド集客をしたいクライアント様に対してインバウンドコンサルティング業にも手を広げ、「外国人環境客の視点に立って考える」「国別に集客を徹底する」などのノウハウも広く伝えてきました。遊園地、商業施設、店舗、サービスなど…様々な分野に携わりました。

そんな中、忘れもしない…2019年11月の事。
世界的な感染症コロナウィルスのニュースが飛び込んできました。
一年の中でも大きな観光客の流れである、2020年の中国の春節には、日本への観光客はマイナス90%。大きな大きな衝撃でした。

その時に、大きな判断を…今後の生き方をも左右する判断をしないといけない時が来ました。このまま、融資を引っ張って、インバウンドビジネスを続けるのか?はたまた、業態チェンジするのか?
大きな決断をしなければいけない時期でした。夫婦二人の中でも決断が別れました。

数年間、200%力で積み上げてきた経験とハコと人材とたくさんのものを守る覚悟。そして、捨てる勇気。どっちが正しい決断なのか、正直、今でも分かりません。正解など、果たして存在するのでしょうか?どっちを選択するにしても、その後一生懸命に責務を全うすることには違いありません。苦しい決断でした。つらい決断でした。今、思い出しても涙がほほを流れる胸が苦しい時でした。

私たちは、全てを手放すことを選びました。被害を最小限にするために。
複数あった店舗、ウェブサイト、人員、何年もかけて積み上げてきた一切のものを手放しました。まるで、積み上げた積み木が一瞬にて、崩れた気分でした。

時代は、コロナ。対面で話すことも、一緒に食事をすることも、ましてや旅行なんて、もっての他。今、思い返してみると、全てがおかしくなっていた時代でした。世の中のたくさんのお店や会社がなくなったのでした。私たち二人は、会社こそは守れたものの、店舗やビジネスはいくつも失いました。

そんな中、2019年に娘のリンは生まれました。
絶望に近い中、彼女を胸に抱いた時、はっと気が付きました。
私たちのすべての判断は、「全て家族を守ること」を起点として考えられていたんだと。

インバウンドビジネスをしていた時は、それこそ仕事の舞台は日本全国、東京と京都の2か所に家があり、二拠点生活をしていましたし、インバウンドのコンサルティングをしていた時の顧客は、日本全国。打合せなどの北海道に向かったその足で、沖縄に向かうこともしばしばありました。

子供が生まれてみてわかりました。その生活はもう難しいと。子供を連れての二拠点生活は、非現実ですし、出張の多くはできません。というか、できません。ミルクは3時間おきに与えなくてはいけないし、何より赤ちゃんがいると仕事になりません…。

しかし、それは決してデメリットではなく、むしろ小さな小さな宝物をそうっと懐に抱きかかえると、仕事をするよりも心が満たされ、より幸せな気分になってゆくのでした。そう考えると、今まで積み上げてきたものがどんなに惜しかろうが、この小さな存在のためなら、喜んで手放すのでした。

そうして、東京に生活に戻り、娘とのしばしの時間を楽しみました。
仕事をすべて放り投げたので、夫婦で子供を囲んで、朝は3時間ほど子供やワンコと近所の公園を3つほど、はしごして散歩し、昼は娘と昼寝をし、午後にはゆったり時間。本を読んだり、映画鑑賞したり…そんなぷー太郎生活を夫婦で何か月も過ごしました。もちろんその間の収入はありませんし、貯金を切り崩すのみです。
ご近所さんから見たら、「あそこのおうち大丈夫かしら?」と心配されたかもしれませんが、当の本人たちは至って楽観的でそれはそれは楽しい日々でしたwww 金銭的に余裕がある状況ではもちろんないですよ。
考えてみてください。仕事はすべてなくなり、数店舗を閉鎖…お店を開くのもお金はかかりますが、お店を閉めるのも結構お金がかかりますwww
そして、会社はコロナ融資をもらっているので、むしろ借金だらけです!

しかし、そんな日々の中、私たちは気が付いたのです。
何に?というと…
世の中の不条理です。

仕事をするの意味…、生きるとは?
人生で何が大事か?なのではなく、何を大事にするのか?
と、いろいろ哲学的なことも…
なんせ、考える時間はたくさんありましたからねwww
そう、まさに…お金はないが、時間はある!!

私たちの出した答えは、「自分」そして「家族」でした。
それからの決断はすべて「自分の幸せ」そして「家族の幸せ」を軸に回りました。
「何をしたら自分は幸せになるのか?」
「何をしたら家族を幸せにできるのか?」
そんなことを考えていたら、いつの間にか小さな写真館「Photo Studio Rin」が出来上がりました。

「家族の幸せ」を形に残したくて、写真館を開いていました。本能的だったのでしょうか。とんとん拍子に進んでいきました。きっと何かの力に押されていたのだと思います。

こうして2021年の3月、東大和市に小さな小さなフォトスタジオ「Photo Studio Rin」が誕生しました。当初は、娘との散歩時間を大切にしたかったので、一日1組様のみお受付していました。
大した宣伝もしていませんでしたが、ありがたいことにお客様に恵まれ、口伝いにお客様が増え、一日に2組様のご予約となり…、3組となり…。やがて、二人では手が回らなくなり、スタッフさんが増えていったり…。

2022年に武蔵村山店(2023年に移転、現:昭島店)をオープン、2023年に羽村店をオープンしました。
2024年には、貸衣装店RIN(成人式用の振袖や卒業式袴のレンタル)が誕生しました。

当初は二人でしたが、今ではスタッフさんたちとともに歩んできたこの数年間が走馬灯のように思い返されます。小さな写真館がここまでお客様に支持されるまでになるとは夢にも思いませんでした。

ご来店してくださるお客様に感謝し、お店を切り盛りしてくれる頑張り屋さんのスタッフさんたちに感謝し、そして何よりこの道があることに気づかせてくれた娘に感謝して毎日を過ごしています。

人は大人になると誰しもが、多かれ少なかれ責任を背負って生きています。自分の状況を想像してみてください。
責任>自分の幸せ、の状態になっていませんか?
本来の姿は、責任<自分の幸せ、ではなくてはいけません。
そのバランスが崩れると、どこかでゆがみが出てきます。

「自分の幸せ」を追い求めることは、とても勇気がいることです。時として、築き上げてきたものを全て放り投げださないといけないともあります。私たちの場合は、コロナという力が働き、強制的に「ゼロ」の状態に戻ることによって気が付きました。

コロナを憎み、コロナに感謝する。そんな数年間でした。
強制的にリセットが働き、「本当に大事なもの」に気づき、その「本当に大事なもの」をみんなと分かち合う仕事ができている=「自分の幸せ」だと。

お店に来てくださるお客様の「幸せ」を目に見える形として残すお仕事をしていること。赤ちゃんの撮影(お宮参りや百日祝い、ニューボーン)、お誕生日、七五三、卒業や入園、成人式、還暦、などたくさんの撮影をさせてもらっています。
どんなお仕事よりもやりがいがあり、喜んでもらえるとやっぱりうれしい。
「うれしい」は人の心に小さな波を立てて、心を軽くし、自然と笑顔がほころんで、周りに伝染していく不思議な力です。

最近、ふと、気が付いたのです。
「撮影に来てくださっているお客様に『幸せ』をもらっている」と。
コロナではなく…幸せが伝染する。
そんな空間が「Photo Studio Rin」に永遠にありますように心から祈っています。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
これからもどうぞフォトスタジオリンをよろしくお願いいたします。
Photo Studio Rin 店主


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?