見出し画像

おたより(孤独のグルメ)

さやわかさん、おたより戦士のみなさん、こんばんは、神山です。2023年も変わらずおたより戦士として研鑽を積んでいきたいと思います。

今回のおたよりは大晦日に放送していた『孤独のグルメ2022 大晦日スペシャル 年忘れ、食の格闘技。カニの使いはあらたいへん。』について。先日カルチャーお白洲で配信されていた年末年始特番回を聞きながら、今年は例年よりもテレビを見ていたので、書けるぞ!と思いキーボードを叩いています。

『孤独のグルメ』は原作・久住昌之、作画・谷口ジローの漫画作品であり、連載自体は扶桑社『月刊PANJA』誌上で1994年から1996年。その後『SPA!』誌上で時折読み切りやコラボ漫画というかたちで単話が掲載されている。2012年からテレビ東京系列でテレビドラマ化されており、2016年からは年末年始に1時間スペシャルなどの特番を行うのが恒例。再放送も多く、2023年1月1日は9時~17時55分のほぼ9時間、大河ドラマ総集編もかくやという長さで再放送をしていた。

2016年1月1日に放送された初の年始スペシャル『孤独のグルメ お正月スペシャル 真冬の北海道・旭川出張編』では、旭川の町中を井之頭五郎(演・松重豊)が訪れ、居酒屋(独酌三四郎)や定食屋(自由軒)で食事をしていた。そして2022年の大晦日に放送された『孤独のグルメ2022 大晦日スペシャル 』では、2016年以来の北海道ロケ、北海道グルメという内容であった。北海道回・旭川編を比較すると、大きく異なる点がある。仕事先の都市・町でぶらぶらと歩いて飲食店に入るのではなく、ロードムービーと題し、フェリーで車と共にやってきて、苫小牧から小樽まで荷物を運びながら途中で食事をするという点だ。このロードムービー形式は2021年末の大晦日の、京都から東京まで走る回にて初めて導入されたもの。

今回の北海道ロードムービーは、個別の町ではなく北海道という大枠にフォーカスを当てたことで、大文字の「ラーメン」「ジンギスカン」「石狩鍋」といった名物=マクロな価値が前面に出過ぎていたと感じた。そもそも原作はもちろん、テレビの通常回は普通の町の普通のお店の中に発見がある、という構成であり、ミクロの楽しみを拡大して読者や視聴者に与えるものだった。原作のデパートの屋上やコンビニ飯でも井之頭五郎は食事の面白さを発見する。旭川回ではその面白さを保ちつつ、新子焼きという旭川のローカルフードを何気なく混ぜることに成功していた。

一方、今回の北海道ロードムービーは「その店独自の味=ミクロな価値」と「北海道グルメ=マクロな価値」がアンバランスとなっていた。それぞれの店の独自の面白さなのか、ケンミンショー的な地域全体がもつ面白さなのか、差別化して表現を出来ていなかったと思う。スペシャルということで回る店が多いこと、ロードムービーのミッション(カニの模型を築地から小樽まで運ぶ)を進めるシーンが必要であることなどが、それぞれの店の細かい工夫、特色を薄めてしまっていた。

孤独のグルメで出演する店は観光客が行くような店ではなく、常連がいるような、ホッとする店が多い。北海道ロードムービーで選ばれたところもそういった店であった。しかし、やることが多いために『孤独のグルメ』らしさを失っていたと思う。『孤独のグルメ』は「井之頭五郎」「町」「店」を組み合わせて無限に物語を生成できるだろう。ここに「地方」「ロードムービー」を掛け合せれば、その無限はさらに多様になり面白くなる可能性がある。しかし、増やすほど個別の要素にかけられる時間が減ってしまう。ひとつの要素の深掘り自体が魅力だったとき、面白さを失ってしまうことも多々あると思う。何が面白さなのか、魅力なのか、今一度練ってシリーズを続けていってくれたらな、と思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

それはともかく、ロードムービーを見たことで北海道に来て、色んなものを食べたり見たりしてくれるのは嬉しいので、皆さんよろしくお願いします。先日彼女の誕生日で行った、北湯沢緑の風リゾートはビュッフェも風呂も最高というとてもよいホテルでした。ホテルでビュッフェがやっつけじゃなくて、特色があって美味しいと嬉しいですね。氷点下16℃で入る露天風呂、もはや逆サウナみたいなジャンルだと思いますが、深夜、月明かりに照らされる樹氷を見て入る露天風呂はあまり内地では体験できないと思うので是非!2023年はインターネットバトルを見ている場合じゃない!

では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?