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カメラのこと

高度な技術は、魔法と区別がつかない。どうも、神山です。

先日、SIGMA fpを買いました。初めてのフルサイズ機であり、ミラーレス機です。それにかこつけて、カメラそのものに対しての僕の態度を記したものです。fpを買う参考として開いた、という方はこちらのマガジンを拾い読みした方がよいと思います。

まぁ、こういうマガジンを読む時点で、買うことは決まっていて、あとは手元にお金があるかとか、機器本体以外のアクセサリーが固まらないとか、今ある機器との互換性やパイの奪い合いはどうかとか、そういうところで躓いているだけだと思います。少なくとも僕はそうでした。躓きを解消したので買いました。

0:写真遍歴

写真を意識して撮り始めたのは高校生の時。最初手にしたカメラはコンデジ(機種名もメーカーも忘れてしまった、全然検索しても出てこない)でした。新聞局員として写真を撮ったり、恋人の写真を撮ったりしてました。その後大学生になり、デジタル一眼レフカメラを手にしました。Canon EOS Kiss X5です。コスプレ、ポートレート等々をインターネット経由だったり、イベント経由で会った人を被写体として撮影していました。

コンパクトデジタルカメラからデジタル一眼レフカメラへの変化、即ち初めてのレンズ交換式カメラを手にしたということ。レンズを交換する、という選択肢を得ることになります。

最初に買った交換レンズはいわゆる「撒き餌レンズ」としておなじみのCanon EF50mm F1.8 II。単焦点レンズで撮る、背景ボケのある被写体を強調する、今でいう「ポートレートモード」の写りを得られるレンズです。しかし、カメラの性能(センサーサイズ)上、思っていた距離・広さで撮れないことに気づきます。そこで、更にレンズを追加します。SIGMA 30mm f1.4 DC HSM。よりベタなポートレート写真を望んで購入しました。

就職後、KissX5より高性能なものが欲しいと考え、Canon EOS 8000Dを買いました。当時最新機はEOS Kiss X9iとEOS 9000D。Kissシリーズはファミリー向けのエントリー機であることもあり、年1回程度世代交代していました(コストコに行くと安く売っていたりしました)。そういったこともあり、型落ちした機種であるX8iと8000Dのどちらにするか悩みました。どう違うのか、というのは以下の記事をご覧ください。

結局、いずれEOSシリーズのフルサイズ機を買うだろうと安易に考えていた僕は、操作部レイアウトがフルサイズ機に近い8000Dを選択しました。そして2年間ほど、EOS 8000D×SIGMA 30mm f1.4の組み合わせだけで写真を撮るようになりました。途中、オールドレンズとしてHelios-44 58mm F2を買い足し、ストロボは使用しない撮影スタイルではあるものの、それなりに撮りたいものを撮れるようになっていったと思います。

ーーーーーーーーーーーー前段1300字程度が終わりました。ここからが本編。

1:dp1 Quattro/Foveonセンサーとの出会い

そして数年が経ち、2019年にSIGMAのカメラに出会うわけです。これまでは生成される写真を目的として…平たく言ってしまえば、カメラアプリの設定を変更するように、カメラやレンズを選択してきました。しかし「出会い」以降、考えている写真を超えた写真を、カメラが生成してしまうことを意識するようになります。

サブカメラとして小型のミラーレスカメラを探していたところ、以前レンズを買ったSIGMAが、独自のセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラを出していることを知りました。サブカメラなので、レンズ交換の必要もないことを考慮し、4種あるdp Quattroシリーズのうち、dp1を選択しました。

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dp1 Quattro(fpにて撮影)

いわゆる「カメラ」で想像されるものからは異なる形状、内蔵フラッシュもなく、明るいところでしか写真は撮れず、単焦点レンズを搭載しているのでズームなどもできない、レンズは格納されもしません。連続撮影をしていると機器が熱をもってしまいます。只、Foveonセンサーと専用のレンズを使用して出力される写真のハマったときの色の強さ、像の鮮明さは、これまでEOS 8000Dで撮っていた写真とは全く異なっていました。

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dp1 Quattro f/4 1/50秒 ISO100にて撮影(大通公園)

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dp1 Quattro f/2.8 1/1250秒 ISO100にて撮影(支笏湖)

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dp1 Quattro f/2.8 1/500秒 ISO100にて撮影(銭函)

バラの写真では、赤が周りから浮かび上がっており、その色の強さが潰れず表現されています。湖と海の写真では、水の色や空の色の階調がのっぺりとせず、ちゃんと波があり雲があることがみてとれ、夕暮れ色の変化の自然さがあります。

FoveonセンサーはSIGMA機だけに搭載されている特別なセンサーです。光の三原色をそのまま捉えることで、一般的なベイヤーセンサーよりも高精細で色への感度が鋭い、という特徴があります(詳細な機能についてはSIGMAのウェブサイトなどを参照したり、他の人が書いた記事を読む方が詳しいし、わかりやすい)。そういったセンサーから、色の出方があまりにもピーキーで、思った色と重ならないこともあります。欲しい画を捉えるなら、EOS 8000Dと同じ思想で作られているだろうCanonのコンデジやミラーレス機の方がよかったでしょう。写真は基本的にSNSにアップロードして「一旦終わり」であれば、尚更、スマホとWi-Fiなどで通信ができる機器は便利です。
面倒くささからFoveonセンサーを搭載したカメラについて、デジタルカメラではなく、フィルムカメラのようだという記事も少なくありません。本当に撮りたいものが撮れていたのか、dp1 Quattroは背面のモニターも頼りなく、カメラの外側に出力するまでわからないという点でも似ていると思います。

しかし、そういった「面倒くささ」はFoveonセンサー搭載カメラの本質ではないと思います。Canon、Nikon、SONYといったメジャーメーカーのカメラやスマートフォンが指向している「ファインダーorモニターを見たまま切り取る」ということではなく、センサーや撮影パラメータを定めて、頼りないモニターに映っているなんとなくの像を「祈ってシャッターを切る、成功の予感を捉える」という、成功が明確でない写真を撮らざるを得ないことが、確実な写真を欲求する一般的な指向とは異なる、今のFoveonの本質に近いと感じます。

2:fpの発表、そして購入

dp1 Quattroを購入したのが2019年の春のこと。夏にSIGMAが新しいカメラを発表、それがfpでした。以下の記事の通り、サプライズでの発表なこともあり、驚きました。冬~春にSIGMAについて調べたこともあり、カメラへの拘りなども多少わかっていたため、胸を躍らせていました。

今やっている撮影が、EOS 8000Dとdp1 Quattroで物足りなかったのかと振り返ると、そんなことはなく。これらの装備で十分にポートレートもコスプレも、風景なりも撮影できていました。「ポケッタブル・フルフレーム」なり「フォルテシモ・ピアニシモ」なりといったフレーズがカッコよく、いずれ買って、dpQとfpのSIGMA機を中心とした撮影スタイルに移行してもよいのでは、と考えていました。

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fp(dp1 Quattroにて撮影)

dp1 Quattroでもそうでしたが、fpにもできないことが多いです。この形態にするためにオミットされた様々な機能が少なくありません。詳しくは以下。

触っていて楽しい機械でありながら、他のカメラに比べて不便なことが多く動画を撮らない(処理できない)ため、自分が十分に能力を引き出せるかは疑問です。それでも、僕はdp1 Quattroとfpの2台をメイン機として使おうと考えています。

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fp+SIGMA 45mm f2.8 DG DN f/2.8 1/125 ISO125(新千歳空港)

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fp+SIGMA 30mm f1.4 DC HSM f/1.4 1/80 ISO100(東京駅)

明るいところではdp1 QuattroのFoveonの色彩と精細さを引き出しながら、暗所ではfpを活用する、という使い方もできれば、レンズ交換によって画を捉える眼を切り替えること、小型であることを利用した構図の自由化など、いろいろな撮影の拡張が可能だと考えています。それでも不足であれば、8000Dをサブとして使っていくこともできます。

まだ全然写真を好きなように撮れているかはわかりませんが、カメラは勝手によいものを出力したりしていきます。出てきたものから、どうしてそれが発生したのかを考え、フィードバックしていく。そういう風に写真を撮ってゆければと思います。

ではでは。

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