土地に呼ばれた話

この春、1年ゐた東京から◯◯縣△△市に轉勤及び轉居となりました。私は異動に因り2年前後で生活據點が變はります。よく「土地に呼ばれる」と云ひますが、某神宮と某大社とが同時に遷宮する史上稀有な期閒に山山雨云の住人となった時も然りながら、今囘は次の點から特にそれを感じました。

1點目。東京の職場から步いて1~2分の距離に◯◯縣のチェーン店が在りました。全國津々浦々には展開してをらず東京には2店舖のみで、それが目と鼻の先で營業してゐたのです。

2點目。東京の住居で隣室が△△さんでした。正確には漢字1字違ふのですが、訓みは同じです。△△さんは建物1階部分も閒借りして或る敎室を經營されてゐました。

3點目。父方祖母の實家は屯田兵の家で、北海道には遠い親戚が住んでゐます。昨年冬、その親戚から彼方の先祖の來歷を調べて纏めた册子が親類緣者である私の實家へ參考にと送られて來たのですが、◯◯縣から入植したとの事實が書いてありました。要するに◯◯縣は、私の先祖の故地なのです。そのやうなことは祖母からも父からも聞いたことがなく、その時に初めて知ったことでした。話は逸れますが、九州出身の祖父と北海道出身の祖母が遠く距離を隔てゝ何故に結婚するに至ったのかは長年の謎で、その册子の内容から漸く推測することが出來ました。

4點目。私が10年以上に亙って訪問してゐる神道系のブログで最重要視してゐる神社(正確には「御山」を最重要視してゐるのですが)の1つが◯◯縣△△市の隣町に在ります。週1で難なく參拜できる距離で、過去にも5囘程度は參拜したことがあり、緣ある神社と言へませう。◯◯縣及びその周邊には、同社から分祀された神社も多く在ります。

昨年春の異動で、東京の中心部へ通勤して最低2年は馴染みのない業務を脆弱な體制下で擔當しなければならないのかと、不安と諦念の闇中に過ごしてゐましたが、當初から再異動を示唆する「しるし」が身邊にあったことに、後になって氣附きました。直ぐに◯◯縣△△市へ行くことになるのだよ、と。東京在任1年のみで異動となるかネットの自動易占に何囘も訊きましたが、9割近くの確率で吉象が出るのも不思議でした。

救はれた心地もしないではありませんでしたが、土地、或いは先祖に呼ばれるのが良いのかは何とも言へません。異動に因り私は前任者から普通はやりたくない仕事を引き繼ぎ、少し面倒な人々と關はるやうになり、後期高齡期の兩親とは遠く離れてしまひました。それから半年が經ちましたが、スピ系のブログなぞに書いてあるやうな素晴らしい人々や出來事に出逢ったりしたことは、現時點で未だありません。しかしまぁ先はまだ長いので、樂しんでやるとしますか。

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