移調と転調とTranspose

先日、「キーはどうやって決めるか」で、MIDIキーボードでメロディをCのキーで打ち込んでおいて、転調して実際のキーにするという話を書いたのですが、それは移調ではないかという指摘があったので調べました。

移調とは

Wikipedia の「移調」の解説を紹介します。

楽曲の調の主音を移行して演奏することである。例えばハ長調の曲すべての音を長2度上げることによってニ長調の曲として演奏することをいう。

(jp.Wikipedia 「移調」)

個人的には移調というのは、声が出ないのでカラオケでキーを変えて歌うイメージがありました。それも移調で間違いではないのですが、移調楽器というのが気になりました。

移調楽器

Cの指使いで吹いたらFが出る、みたいな楽器を移調楽器というそうです。今までそのような楽器があると知らなかったのですが、この意味で「移調」という言葉が使えるのなら、MIDIキーボードでCを弾いてD♭の音を出すというのは、移調と言ってよさそうです。

ちなみに、移調楽器は英語では transposing instrument といいます。

転調とは

これに対して Wikipedia の「転調」です。

曲中で調を全く違う調に移しかえることである。

(jp.Wikipedia 「転調」)

曲中というのは、10小節目からいきなり調が変わったみたいな話で、私の曲によくあるパターンです。

入力した後で高さを変えるのは移調?

前回紹介したのは、キーボードが苦手だとキーがCのときが一番弾きやすいから、とりあえずCで作っておいて後で実際のキーに変えたらいいという話です。

移調というのは、曲全体の調を移動するイメージを持っていたので、入力の都合でとりあえず入れたデータを後から修正するのは違うんじゃないかと思ったのですが、移調楽器というのがあるのなら、キーボードでD♭を入力するためにとりあえずCを弾くというのも、移調と言っていいのではないかと思います。

いずれにしても、転調というのは変ですね。

Transpose

Studio One には Transpose という機能があります。

この機能はトラック毎に指定できます。例えばここを1にすると、Cの音を打ち込んだときにD♭の高さの音が出ます。

この機能を使うと、後から高さを調整するような処理をしなくても、最初からここで指定しておけば、普通にCで演奏すればD♭の音が出るわけです。

ちなみに、transpose を指定したときに楽譜を表示すると、変更前の高さの音で表示されています。transpose の値は関係ありません。キーボードは楽譜に書かれた通りに弾いているのですから、妥当だと思います。

Studio One のマニュアルの中では、transpose は移調ではなくトランスポーズと表現しているようです。トランスポーズという表現は、単に音の高さ(ピッチ)を変える意味で使われることもあります。

余談

画像の 2024-05-16 Synth って何?

Studio One のシンセサイザーを使う練習で作っている曲です。今のところシンセを使ったトラックは3つで、Mai Tai が2つ、Mojito が1つです。Massive X のプリセットに比べるとかなりチャチい音ですが、それはそれでいい感じだと思います。

英和辞典

英和辞典で transpose を引くと、「移調[転調]」のように書いてあることがあります。しかし、転調に対応する英単語は modulation だと思います。転調の意味で transpose という単語が使えるのかどうかは分かりませんでした。

modulation というと変調という意味もあるので、シンセとか使っていると微妙にややこしいと思います。

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