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公式マガジン『東京マサラ部、インドをつくる』

インドに行けない僕らが東京にインドを作り上げるまでの挑戦の記録。 カレーは手段ではなく、常に目的である。カレーを作り、カレーを食べ、カレーについて考え続ける。都内某所に存在する…
・カレーシェアハウスのヒト、コミュニティ、家についてクローズドで配信します。 ・東京マサラ部室の活…
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#インド料理

随時更新:『東京マサラ部、インドを作る』のガイドブック [index]

旅に出られない僕たちが東京にインドを作るために始めたカレーシェアハウス東京マサラ部室ですが、早いもので設立より半年が経過しました。まだまだインドは完成していませんが、少しずつカレープレイヤーの集まる場として機能し始めています。数字で言えば、いままでに500を超えるカレーが作られ、来客述べ人数は100人を超えました。 カレーシェアハウスで生み出されたカレー、遊びに来てくれた人、カレーの基礎研究レポートについて発信するカレーシェアハウス公式マガジン『東京マサラ部、インドを作る』

ムガル料理とはなにか

デリーといえばムガル料理だ。柄にもなく高級レストランDum Pukhtのラムビリヤーニーを食べた。店内はムガル帝国宮廷をイメージしてか銀白色の装飾で満ちており、ラクナウ風のビリヤニで全体的にしっとりしており、柔らかく炊かれたラム肉は最高に美味しかった。デリーで食べたものの中で一番美味しかったかも。肉をおいしく食べるために少し米が軽視されている感じはしたが、お世辞なしで美味しかった(なますてクッキングとインドで会うと基本ビリヤニばかり食べている気がする)。 店名にもなっている

日本料理とインド料理の構造分析【生のものと火を通したもの】

人間は料理をするが、料理こそが人間と動物を区別する象徴的行為である。 最近京都で日本料理のお店に連れて行ってもらうことが多いが、その度に日本料理のことをあまり知らないということを実感する。そもそもインド料理の選択肢が本当に少ないというのもあるが、京都で料理関係者の方と食事に行くとだいたいインド料理以外になる。 ただ、オーセンティックへの敬意や、技術へのストイックな姿勢、素材への気の配り方、サービスや演出においても東京にはない(もしくは東京では自分のような人間には見えなかっ

インドパンカードゲームATSU ATSU !! Parottaに掲載されている東西南北インドパン事典

東西南北のインドパンを遊びながら知ることができるアナログゲーム「ATSU ATSU !! Parotta」を制作してから一年以上。おかげさまでそろそろ売り切れそうなので、改善点を考慮した上でそろそろ改訂版を作る予定。 去年の後半は全国行脚をして勝手に大会を開催してきたのでそのことを振り返りつつ、ゲームに登場するインドの12種類のパンについて紹介する。 販売は残りわずか。 勝手にアツパロ大会全国行脚昨年の夏にクラウドファンディングに成功し、京都大会、福岡大会、名古屋大会、

3種類のチャパーティーを食べ比べるイベント「第一回リアリズムインド料理比較探究会」に参加

「第一回リアリズムインド料理比較探究会」に参加してきました。インドの伝統的な無発酵薄焼きパンであるチャパーティーの地域別比較がテーマ。 チャパーティーはインド全土で共通する料理でありながら微妙に仕上がりが異なります。家庭ではもともとロティと呼ばれていてチャパーティーという言葉が実は最近外部からもたらされたかもしれないというのはとても興味深い話でした。そういった名称とともに作り方も変わってくる可能性があり、そういう意味ではインドでもおばあちゃん世代くらいまでいかないと伝統を探

DAIDOKOROイベントの土着的なミールスで基本としたケーララサッディヤのレシピ14種類

京都市役所前のクエスチョン8階、コミュニティキッチンDAIDOKOROで土着的なミールスイベントのお手伝いをしてきました。 お盆で時間余っている方は一通り作ってみてはいかが。 亀岡の農家さんからバナナリーフを買って運んできました。(ちょっと傷ついた葉っぱが多かったが) そもそもこのコミュニティキッチンのコンセプトとしては、スペインのバスク地方で長年地域の中心として機能してきた美食倶楽部が念頭にあるらしいです。 経緯としては、先日たまたまアフリカ納豆vsラオス納豆の対決

夏だし唐辛子について再考しよう。カシミールチリって結局何者なのか。

トウガラシは夏のフルーツ。 辛味はいわゆる五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)ではないというのは有名な話だ。カプサイシンやピペリンなどの物質が舌を刺す刺激であり、熱や痛みと同じ神経で感じているらしい。 味ではないとしてもその刺激は料理のおいしさを後押しし、いまやなくてはならない嗜好品だ。唐辛子はインド料理作りに欠かせないし、蕎麦を食べるときはやっぱり八幡屋礒五郎の七味唐辛子だ(長野県民の思想がはみ出ている)。 しかし過度に辛すぎると美味しさもよくわからなくなってくる。

スパイスは農作物だよなあという話

京都で長年インド料理店を経営されているムガールの方が登場したポッドキャストをたまたま聞いた。もう4年前に収録されたものだったが。この時点で33年ということなので実に37年ということになる。古いお店なのだが古いインド料理店の味はしない。ランチで食べたダールタルカが異常に美味しかった。 昔の苦労話などを話されていた中で、スパイスのクオリティが最近ようやく上がってきていて、ひと昔前はコリアンダーパウダーの香りすらも実はよくわかっていなかったと語っていた。当時はエスニックブームより

7/6と7/7、京都でカリ〜番長リーダーを招待して2日間カレー活動します。

今週末の7/6と7/7の夜、東京カリ〜番長のリーダーと2日連続で京都でカレー活動をすることになりました。どなたでも軽率にお越しください。 ●7/6 夕方5時くらい〜鴨川でリーダー屋台夕方5時くらいから鴨川沿いに屋台で出没します。五条から三条付近をうろうろしているはずなので見つけてください。スパイスカレー、印度乳業のクラフトミルクチャイ、ビールやインドのラムなどもあります。京都の夏の夜、暑いかもしれませんが河原で飲むビールはきっと美味しいはず。商品が無くなり次第適当に終了しま

大学院生をやるということ・京都で暮らすということ・料理について人類学的に研究すること #カレーだいしゅき手記

京都で約3ヶ月の大学院生をやってみて研究計画もひと段落つき、この後やりたいことがなんとなく決まってきたので「大学院生をやるということ」、「京都で暮らすということ」、「料理について人類学的に研究すること」に関して雑に書き散らしてみたい。 大学院生をやるということ最近、ある人類学者が30年前に書いたフィールドノートやメモを頼りに研究の材料にしているというものを読んで「なんて几帳面な人なのだ…」と思った。いや、研究者に求められるのは頭の良さとかではなくて、そういったきめの細かさ、

グローバルという言葉にふさわしい料理があるとしたら、それはカレーだ。 『カレーの歴史』 #カレースタディーノート

コリーン・テイラー・セン『カレーの歴史』を久しぶりに読み直してみたので本の内容を要約して紹介してみます。9000文字くらいになってしまった。 『カレーの歴史』は、カレーという料理がどのようにして現在のようなグローバルな存在となったかを解き明かす本です。世界中にあるカレーの多様な形態やその起源、そして世界各地への広がりについて詳細に説明しています。 本の概要本書では、まずカレーの起源を探ります。カレーという言葉の由来は南インドの「カリル」や「カリ」に遡ると考えられていますが

オリッサ州バランプールの料理 #カレーだいしゅき手記

2月のインド旅で印象深かった食べ物について書いていく。オリッサ州プリーの後は、全くツテはないがバランプールというオリッサ州の都市に移動してみた。バランプールはオリッサでは人口が4番目で、都市部はこぢんまりとしていて観光するようなところもほとんどなく、そういう場所の方が庶民の暮らしを知ることができるかもしれないと思ったのだった。 今回の旅行はたった5週間で、コルカタから入ってチェンナイまで陸路で移動してウロウロするというものだった。たくさんの人に出会い、色々なものを食べたがそ

71杯のチャイから見るインド #印度乳業

インド滞在で飲んだチャイを数えてみたら71杯だった。チャイを通してみたインド旅の景色を少しお裾わけしてみようと思う。 インドでは暮らしと共にある「チャイ」という庶民の飲み物。チャイのあるところに人が集い、心緩む瞬間にはいつもチャイがある。 チャイというのは本来は単に「茶」のことを指す言葉だが、日本ではインド式のスパイスの入った煮出しミルクティーのことを連想するだろう。ちなみにインドではスパイスの入ったチャイはあまり一般的ではなく、入っていても生姜とカルダモンくらい。あえて

えるしっているか いんどじんは あついものしか のまない  #印度乳業

吉祥寺のクラフトミルクスタンド武蔵野デーリーさんとコラボし、「印度乳業」という屋号で、インド料理と牛乳飲料を提供する屋台活動を京都市内で始める。デビューはゴールデンウィーク、京都周遊アコフェスでチャイを売ることになった。屋号にはインドの牛乳文化へのリスペクトを根本に込め、牛乳のおいしさや活用方法を提案して伝えていきたいのだが、いきなりインドでは飲まれない飲み物を開発している。それはアイスチャイだ。 京都でなぜ屋台をやることになったのか、そもそも屋台とは何か、インドの牛乳文化