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映画をあまり観ない人によるオールタイムベスト

私はこれまでの人生でリソースの振り向け先として映画を選択してこなかったので、シネフィルはもとよりライト層の人と比べても観ている本数が極端に少ないと思う。映画好きな人の書き物を読むと映画の観方とか分解能の上げ方(さりげなく撮られたように見えるカットの性質や機能のとらえ方だとか)とかをよく心得ていて、私もそのように映画を観る目が欲しいと羨ましくなる。

ところで映画をあまり観ないメリットの1つはオールタイムベストの映画を挙げよと言われた場合に迷わず挙げることができることだ。沢山観ているひとは中々選びきれない。あとゴダールを入れないと、みたいな謎の義務感を負ってそう。

私の場合2つだ。挙げるのが100選でも10選でも3でもなく2であるというところに、我ながら、ああ本当にあまり観ないんだな、というリアリティがある。しかもどちらも映画館では観ていない。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア (1997)

ドイツの映画。最初に男が二人出てくる。その二人は余命が短いことを宣告され、病院の中で出会う。二人のうちの一人が自分はまだ海を見たことがないという。もう一人が「天国じゃみんな海の話をするんだ」と応じる。「だから海を見ていないんじゃ話の輪に入れない」。そこで二人は病院の車を盗んで海に向かう。あとは珍道中。勿論最後に海には着く。私にはこの映画のすべての部分に魔法の粉がかかっているように煌めいて見えた。真正の悪人が出てこないところも好きなところの1つだが、そこは記憶の捏造があるかもしれない。

ベルリン・天使のうた (1987)

ドイツの映画。最初に男が二人出てくる。その二人は天使であり、有史の最初からベルリンの全てを見ている。二人のうちの一人が人間の女性に恋をし(あるいは恋をしたいと思い)、天使であることをやめて人間になろうとする。勿論最後に人間になる。天使から人間になったことを表現する、とても単純で効果的な演出が1つ、または2つ、または3つある。私はパーソナルな体験とその演出をどこかで結び付けていて思い入れがある。あと刑事コロンボが出てくる。私は刑事コロンボが好きだ。続編があるがそれは観なくていい。

いかがだったでしょうか。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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