「コントが始まる」には発泡酒が似合う

最近、ドラマの「コントが始まる」を見ている。
菅田将暉をはじめとした若手俳優5人が演じる、愛と失敗と希望の詰まった青春群像劇だ。

私は毎日コツコツが苦手で植物をすぐに枯らすタイプなので、ドラマを毎週リアルタイムで見る、みたいなのは普段やらないのだけど、これだけは毎週欠かさず、きちんと見ている。(それなら録画すればいいじゃん、と思われるかもしれないが、うちのテレビには録画機能はない)

そんな飽き性の私が見続けていられるのは、空気感がちょうどいいからではないかな、と思う。

このドラマは、「マクベス」という3人組コント集団の解散話を軸に進んでいく。高校時代からの同級生3人組で、10年間ともに芸人をやってきたけれど、どうしても芽が出ない。10年を区切りに辞めるのか、続けるのか。ここで諦めたら、芸人に捧げた10年間は無駄になるのか。この先の10年間を、捧げられる覚悟はあるのか。

そんな人生の大きな決断は、コントで挟んで描かれる。冒頭は必ず「ショートコント」の掛け声で始まり、日常が描かれて、最後に冒頭のコントのオチがきて終わる。
「冒頭のコントが伏線になっていて、最後のオチで回収される」という仕組みが、人生の苦しさを中和して、辛いことを笑いに変えてくれている。だからこそ、最後は笑ってドラマを観終われる。

感動というには現実すぎて、日常というにはドラマチックすぎる。
この空気感が安い発泡酒に似ていて心地いいなあ、と思うのだ。

もちろんそれぞれに人生があって、苦しみがあって、もがいている。誰かは母親との確執を抱えて音信不通状態だったり、誰かは大企業に勤める恋人にコンプレックスを抱えていたり、誰かは自分が周りを芸人の道に引きずり込んだことを気にしていたりする。

この苦しみが、等身大の愛と共に描かれていくから、私はこのドラマが好きなのだ。
私たちの身の回りでも起きそうで、だけど十分奇跡と呼べるくらいの、そんな物語だ。

マクベスの3人は、この先どういう決断を下すのか。
それを私は、緑色の発泡酒の缶を片手に見守りたいと思う。

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