戯曲スタァライトの世界観と宗教文化の関連性についての考察
はじめに
この考察はあくまで人類史エンジョイ勢の私が好奇心のあまりインターネットや伝聞知識を用いて調べていた事を順を追ってまとめたものになるため厳密性に欠く場合があります。あと例によって浅く広くなよわよわ考察です。結論は存在しませんので悪しからず。何かお気づきの点がありましたら筆者のX(旧:Twitter)にでもコメントいただけますと幸いです。
考察のきっかけ
そもそもなぜこの考察を行うに至ったかを説明しなければならない。始まりは『少女☆歌劇レヴュースタァライト』(以下スタァライト)の登場人物である愛城華恋・神楽ひかりをはじめとする演者たちと劇中の戯曲『スタァライト』(以下戯曲スタァライト)の登場人物であるフローラ・クレール・女神たちの関係性を考えていた。愛城華恋と神楽ひかりの関係性が戯曲スタァライトと重なっている点からも深い考察が多くされてきたが、私はある考えに至った。それはフローラの生まれ変わりが愛城華恋でクレールの生まれ変わりが神楽ひかりであるという輪廻転生説。戯曲スタァライトが
という設定であることからもこの考察はおもしろそうだと思い始めるに至った。
輪廻転生と宗教と戯曲スタアライト
仏教と輪廻転生と…
輪廻転生はヒンドゥー教や仏教の概念であると考えられがちだが、調べてみると特に仏教の中では輪廻転生をはじめとする価値観が宗派によって違うことが分かった。まず輪廻転生という語は経典にはなく輪廻というものがある。そして釈迦や仏陀が魂の輪廻に関して認めた・否定したは今日でも議論となっているなど。なるほど、仏教の中では輪廻転生はあんまり深掘りできそうにない(諦めポイント)。そこで私は関連性の強いインド宗教に手を出すこととした。だが、多い…多いのだ。インダス文明から出てきた思想は十数億人の人間の中に様々な形で派生していき素人では何が何だか分からない。という訳でインターネットの叡智を借りてインド宗教概念図(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2811)を発見した。これによりヴェーダからの流れを汲むヒンドゥー教・仏教・イスラーム教・シク教・ジャイナ教の5つが主な宗教であると分かった。ちなみに現在のインド人口の約8割がヒンドゥー教であるとされている。
運命と業、再会と輪廻…
このような経緯から戯曲スタァライトとポピュラーであるとされるヒンドゥーの関係性があるか調べることとなった。タイトルにある通り運命と業(カルマ)、二人の再会と輪廻説が対応しているように感じた。業を端的にいい表すと因果論としての決定論や宿命論のようなイメージである。前世の行いによってはいい結果になったり悪い結果になったりというのが紐づいているという考えだ。
だが調べているとこのようなことが書かれていた。
じゃあ何すか、フローラもクレールも輪廻転生できないってことすか…。という訳で(n回目)また別の宗教について調べてみることとした。
シク教
シク教を端的に言い表すとターバンを巻いているという我々がイメージする(古い)インド人像である。
ちなみにイスラーム教と同じく一神教で神の偶像化を禁止している(そのため塔≒神といった解釈の余地はない)。Wikipediaを読んでいて思ったのは
この5つの煩悩が塔に囚われる女神の名前に取り入れられていることから関連性が深いのではと感じた。しかし、調べても出てこない。なんせ日本語文献が少ない。シク教徒の5K と呼ばれるものが
1 ケーシュ (Kes) 髪(体毛)を切らないこと
2 キルパン (Kirpan) 短剣
3 カンガー(Kengha) 木製の櫛
4 カラー(Kara) 鉄の腕輪
5 カッチュ(Kachhu) 綿の短パン
で、4のカラーのようなものをフローラとクレールが着けていて個人的には盛り上がりましたが、これは男性限定のようでたまたま装飾品についてるだけなのかなぁという結論になりました(あと女神役はだれもカラーがない)。
ここにきて頓挫してしまった(イスラーム教とジャイナ教に関してはぱっと見で関連性が薄かったため割愛)ため別のアプローチで模索を始めました。
塔と宗教と戯曲スタアライト
そう、ここまで調べていてもっと単純なものを探していなかった。星積みの塔(以下”塔”)です。戯曲スタアライトやスタアライト中ではかなり”塔”を描写していたのに完全に忘れていました。という訳でここからは”塔”を主軸に考察が始まります。
ミナレットと”塔”
ミナレットとはイスラーム教においてモスクに併設される塔のことでここから礼拝の時間を知らせていた。スピーカーの登場により人力での呼びかけがなくなると権威的な象徴としての機能を帯びるようになったようだ。アラビア語で「火、光を灯す場所」であるため「光…スタァライトじゃん」と思ったがもともと「灯台」や「標識」という意味合いがあったそうなので「それはそう」としか言えなくなりました。とはいえ”塔”が一年に一度の祭りで祀られる対象であった可能性や祭事の権威を象徴付けるものであった可能性はこれらの歴史的な実例からも考察できる。宗教面の考察をもっと深く行おうとしたがイスラーム圏が西はポルトガル東はインドネシアにまで広がっていることを考えると詳細の絞り込みが難しいのは想像に難くないであろう(諦めポイント2)。ちなみにミナレットのWikipediaは日本語版(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88)は写真が綺麗に整っている一方で英語版(https://en.wikipedia.org/wiki/Minaret)は個別な解説が重厚なので文明の利器である翻訳機能を駆使して比較するのはなかなか面白かったですね(小並感)。
星まつりと宗教と戯曲スタァライト
何度目かの挫折にぶち当たったため再び考察のヒントを戯曲スタァライト側に求めた。そして閃く。星まつりという単語に。という訳で調べました。で、出ました(下の引用を参照)。私の中の愛城華恋.exeが「漢字読めない~」とぼやいていました。星まつり(星供養)とは旧暦の元旦や、立春、冬至などに行われる仏教の儀式。ここでの仏教は我々の想像するものとはルーツのことなる密教と呼ばれるものの流れを汲んでいる。
ちなみに上で出てきた「一字金輪仏頂」の読みが(いちじきんりんぶっちょう)らしいのですが、「きんりん…きりん…ダジャレか???」となっていたのは内緒。
重要なのは『星曼荼羅』に代表される~以下の記述。九曜の星と出てきました。九曜はインド天文学やインド占星術が扱う9つの天体とそれらを神格化した神を指す。日本でも九星術(https://inkan.hankodo.com/Archive/Knowledge_Fortune_Astrology)という星占いがあります。それぞれに対応した色が存在し、金銀赤緑黄白青(or黒)藍灰!
………本当に関連ある?ちなみに九曜と九星術で色の割り振りやや違う。
Q. つまり…どういうことだってばよ!?
A. はい…ワカリマセン。
星供養の図を探しましたがどう考えても女の子がばったり出会えるイベントには思えない…。という訳で(n+1回目)またもやくじけました。九星術とスタァライトの登場人物の性格で当てはめれば何か見えてくるかなぁとか考えましたが完全に暗礁に乗り上げました。残念ながら現時点ではこれ以上の成果は見込めないためこうして中途半端な考察を書くに至ったという訳です。
終わりに
振り返ってみるとあちこち掘り返した割りにはザクザク出たなぁと思っていましたが文章化するとこうも失速感を味わえるとは思いませんでした(目次を見ながら)。まぁでも最初に挙げた輪廻転生の価値観や”塔”のモチーフの考察を行っていると案外中央アジア的な世界観と相性いいなぁなんて思いました。衣装面でも考察したかったのですが私には服飾関係のワードが乏しいため検索しても外れが多くて一向に進まなくて断念しちゃいましたね。とりあえずの区切りということでまとめ供養しておきます。
P.S. 引用多すぎワロタ
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