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final MAKE1を毛糸でチューニングしてみる 完結編

前々回、前回と、final MAKE1を毛糸でチューニングする方法をご紹介してきました。

そして、試行錯誤の結果、ようやく私が求めていたチューニングにたどり着くことができましたので、その方法をお伝えしようと思います。もちろん、これまで同様に毛糸を使います。

チューニングの目標

前2回と同様に、可能な限り低域の音を引き出すことを目標にチューニングを行ないます。BAドライバはどうしても低域の表現が弱くなるので、そこをできるだけ補おうというわけです。まあ、単に私が低域好きだという理由もありますが……。

使用した毛糸

今回は、オリムパスの「ミルキーベビー」という毛糸を使用しました。

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「オリムパス ミルキーベビー」で検索すれば、販売しているサイト等はすぐに見つかると思います。

この毛糸はウール60%・アクリル40%の混紡です。前回はウールとシルクの混紡でチューニングを行ないましたが、いろいろ試した結果、シルクの場合は低域の音でも特に低い「超低域」とも言える部分のみが浮かび上がってくるので、一般的に言う「低域」を強調するのは難しいということがわかりました。アクリルはシルクよりも広いレンジの低域を引き出してくれるので、今回の目的にうまくはまります。

チューニングの手順

毛糸をいじる前に、まずドライバーホルダー開口部とフロント筐体内側ベントのフィルターCを設定しておきます。

ドライバーホルダー開口部にマスキングテープは貼りません。そして、フィルターCはC-7を使用します。

低域に影響するフィルターCをどうして薄くするのか、と疑問に思う方もおられるかもしれません。ですが、毛糸フィルターは割と音が詰まりやすいチューニング方法なので、ベントのフィルターは少し開きめにしておいた方が音の抜けがよくなるのです。

ここまで準備ができたところで、いよいよ毛糸を使います。
まず、毛糸を2.5cmの長さに切ります。

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このとき、長さは正確に、1ミリもずれることなく2.5cmちょうどに切ってください。経験上、これが1ミリでも違うと、音質が明らかに変わってきます(本当)。

この毛糸は4本撚りの毛糸なので、切った毛糸の撚りをほぐして4本にばらします。

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さらにこの1本1本をほぐして繊維状にします。

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こうしてほぐした毛糸を左右2本ずつ、音導管に詰めていきます。

前々回ではドライバやピンセットのキャップを使うなどしてぎゅうぎゅうに詰めていましたが、試したところピンセットのみで詰めた方が音が詰まりにくくなるようなので、少々根気のいる作業ですが、がんばってピンセットで奥の方から順に詰めていきます。

毛糸を音導管のフィルターAを貼る縁の下まで詰めたら(この辺りは前々回の写真を参照)、フィルターAのA-2を貼ります。ここは使用するリケーブルのタイプによってはA-3もしくはA-1の方がいい場合もありますので、どちらにするか聴き比べてみるとよいかもしれません。ちなみに、私は日本ディックスの純銀ケーブルを使用して、A-2の方がよいと判定しました。なお、今回の毛糸フィルターの場合、A-4以上にすると音かこもるようです。

イヤーピースはお好みのもので。私はfinalのEタイプを使っています。

チューニングの結果

BAらしい中高域のクリアな音質はキープしながら、低域は(ダイナミックほどではないにせよ)沈み込むような押しの強さが増します。
低域に強さが出ることで、BAっぽい音の軽さがなくなり、音全体に厚みが出て安定感が増した感じです。

音楽のジャンルは特に選ばないオールラウンドなチューニングですが、いろいろ聴いてみたところでは特にアコースティック系の曲と相性がいいようです。バイオリンやアコースティックギターの音はなかなかいい感じに生っぽさが出るので、一度お試しください。

最後に

いろいろと試行錯誤した毛糸チューニングですが、試してみた限りでは今回ご紹介したチューニングが一番いいような気がしています……今のところは。

これから時間がたって、また音の好みが変わっていくかもしれませんが、その時はまた別のチューニングを試してみたいと思います。それこそがMAKEシリーズの醍醐味ですから。

余録

MAKE1は一段落したらから、次はMAKE2が欲しいなあ(笑)

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