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ふぃるめも

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映画にまつわるメモランダム。かならずしも作品単体の感想文や映画批評を志向してはおりませぬ。
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2016年4月の記事一覧

縁は炒るもの

縁は炒るもの

 

 じつは二年前の今ごろ、珈琲屋の店主になりかけていた。

 タイ移住後はまず一軒の物販店をまかされたのだけれど、テナントの契約終了に伴い、移転先として見つけた有力候補がバンコク都心の裏道に臨む元珈琲屋の店舗で、人の背丈を優に超える巨大な豆の焙煎機から円で200万ほどするらしいエスプレッソマシーンまで、高価で大仰な設備が一式そのまま残っていた。店舗オーナーはタイ北部にコーヒー農園を持つ華僑系の

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このくるしみは、だれのもの

このくるしみは、だれのもの

 

 “さて私はこうして地獄の底にいる。もし必要なら人は、過去や未来をスポンジでぬぐい去る技術を、すぐにも学ぶものだ。”

 第二次世界大戦終盤のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所には、遺体処理に従事する囚人の特別労働班ゾンダーコマンドが存在した。映画『サウルの息子』は、ゾンダーコマンドに所属するユダヤ人の男サウルが主人公だ。

 サウルは、収容所内で偶然見つけた息子の遺体をユダヤ式に弔うこ

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