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日々をこっそりと詩にしています。

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最近の記事

めぐりめぐる月

待ち焦がれて満ちていく月はいつ割れるかわからない西瓜に変わった 朝の空が雲と雨を連れてくるころ 濡れた車輪の音が遠い海まで届かないこの道を走り去っていった 愛しく過ぎる日々がはらはらと湿った風に飛ばされていく 傘も長靴も忘れてパラソルとビーチサンダルの準備に手間取って 蛙の鳴き声を聞きながらただ灼けつく海風を想う 期待と不安の季節に 砂浜に素足を落とす感覚をひやりと浮かべて 招く波に立ち尽くす私の傍はまだぼんやりとしている 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうござ

    • 朝4時、空に月ののぼる

      明け方、空、フィルター1枚ずつ引き抜かれ色を変えてゆく 鳥の尾っぽについた夜はいつもより長く、月を掲げたまま太陽を待っている 昨夜の悪夢とは違う力強いブラインドの影が 焼き付けるように部屋に朝を引き込んでくる 目に染みる黒点、真夏の陽が背に爪痕を残すようだ もう一度と瞼を閉じても今日は微睡みに戻れない 月も観念して水色に溶けてしまった 鳥の尾っぽは軽くなって、子らに朝を告げにゆく 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

      • 猫の私はどこへ帰ろうか

        物語のような夢を揺蕩ってまだ暗い朝に目が覚めた 放浪する猫の私は様々な名もなき音楽家を渡り歩き共に暮らしていた もう一匹の猫と暮らす痩せの男 眼鏡の青年 たったひとり海辺に暮らす少女 時が来るとどこからともなく豊満な流浪猫が訪れ言うのだ 「嵐が来ている、丁度良い出発の時ね」 私は悪びれもせず旅立ちの準備をして挨拶してきた たったひとりの少女の元を発つ時の色とりどりの譜面に零れた涙の光景が焼き付いている 拭おうとたくさんたくさん頬擦りしたけれど、 私の柔らかな毛は彼女の頬を満

        • びっくり箱は半開き

          瞬きをするように日々は過ぎて 愛しいあなたとわたしの日常は穏やかにあっという間に両手で抱えきれなくなった 葉の形までくっきりと冴え渡った5月 そろそろです。 その指先が弾くカップの音は宝箱にしまって ソファにもたれた寝癖のカーブは彫刻にしておこう 訪れるこれからは目の回る別世界 忙しさに首まで埋まって漫喫してみようか 沢山の二人を一旦クローゼットに押し込めておいて 夜な夜なこっそり眺めましょう 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

        めぐりめぐる月

          私の海

          さざめく波に鳥が浮かんでいる 等しく照らされたわたしたちはみな一様に同じ海を眺め、髪をシャツの裾を遊ばせる 穏やかな海風に首筋のかすかな冬を飛ばされて ちらちらと乱反射する日射しに頬を染められた 恋しい夏がやってくる 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

          私の海

          夢の島

          きっと限られた時間だから恋をするんだろう 永遠に続かないとわかっているから 恋は淋しいものだって言っていたあなたとはとっくに離れたのに 恋の淋しさだけ求める癖が私にこびりついてしまった はじまる前の風船のように膨らんだ心に いつ細い針が刺さってしまうのか心待ちにしている たった1年の恋なのにあなたは私に残していった 細い細い水脈が知らぬ間に大きな海になった 遠くの人工島でもう顔も忘れたあなたが手を振っている 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

          夢の島

          つれ添う、紐つく

          春の日は瞼が重たくて あとひとひら桜が乗ったら閉じてしまう 隣で胎児のように眠るあなたの夢の中身を こっそりと覗くように柔らかな髪を眺めている あなたの子供になって 温かな掌で頭を撫でてもらいたい あなたの親になって 手を引き世界を見てみたい あなたの隣にずっといて 流れる日々のあれやこれやを溢さず抱きとめていたい 時間の薄紙が重なっていく あと何回あなたを愛してると言えるんだろう

          つれ添う、紐つく

          いつか麗しマイホーム

          アザラシの求愛 横槍を入れてやるな二年後の我が家よ 恨めしいか灼熱に燃えるヘルメット 落としたって割れやしない 万年生きた亀の甲羅 じょうろから流れる水路を追え 散歩道の犬がヒールを嗅ぎ回る 雨に濡れてもあきらめるな 樹形図ムラサキキャベツ 最後の一滴が君さ 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

          いつか麗しマイホーム

          2dk、常夏の夢

          膨らむカーテンには幸せしか詰まっていない 満たされたこの時よ! 幸も不幸もマドラーでかき混ぜてくれ なにも求めていないこの先は 道のりであって時刻表の無いバスの路線 愛の先は何になる 顎をしゃくったラクダが夏を制して 地球中のフラミンゴを羽ばたたせよう 足りなければ その先は 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

          2dk、常夏の夢

          世界の端の生真面目な蛇

          いつもより早めの23時から始まるノスタルジーは カーテン越しの生温いクリーム色で道端に手を振る 規則正しくまだ眠らない鉄道が カレーの香りのこの白い部屋と まだ冷える外の時間をセットし直して 明日の発車時刻までタイマーをかける ブルーの君は今日のうちに眠れるのかな また明日、よろしくね 素敵な写真をお借りしました。 ありがとうございます。

          世界の端の生真面目な蛇

          有名人について

          好感度が高い人だ。という広い認識と、 ほんのりとにじむ形容しがたい印象をもつ。 聞くところ一度命が危うかったらしい。 追っている人には有名な話だし、公言もしていた。 作風に色濃く出たが生き方や考え方もだいぶ変わったようだ。 自分が恒久に続くというのは当たり前で、恐ろしく尊いことなのだと実感することはなかなかないものだと思う。 そういったものからくるのか、現在わたしの目に映るその人はなんだか人間ぽくない生き物が人間くさいものに塗れたくてしょうがない行動をとっているような不思

          有名人について

          2月のカンガルーの袋

          よくある物語のように彼が気持ちよく泳ぎまわっている時はあったのだろうか。 構造上しかたなしとして、なぜ他の内臓を押し除けここで時が来るまで眠ろうと思ったのかを聞いてみたい。君も望んだわけでなかろうが。 いまは安らかなゆりかごというよりも窮屈なカプセル、大きめの寝袋、チューイングガムのような安定しない寝床で寝付きの悪い日々を送っているのかもしれないね。お互いに。 そして今のわたしはまだ個なのだろうか。 ひとつかふたつかを決めるのは誰だ。 空気の流れが止まった昼間のリビング

          2月のカンガルーの袋

          誰も知らない隣の国

          遠いところの話をしよう あなたを愛さないわたしの話 わたしを愛さないあなたの話 素敵な画像をお借りしました。 ありがとうございます。

          誰も知らない隣の国

          横並びの風景がはじまる

          秋の日の海のように凪いでいると思っていたけれど 夜の深い黒のように見えない不安で静に満ちている 見えない薬指の先を誰に問うても 木の葉も雪も桜の花びらだって答えてはくれないだろう 瞳の裏に描けぬとしても 踏みしめれば道はできると信じて 素敵な画像をお借りしました。 ありがとうございます。

          横並びの風景がはじまる

          カーテンコール

          蒸し暑い夏の訪れの風のない部屋で くすんだ小石の山から鮮やかな欠片を引っ張り出しては眺めている 引き抜いた手が自分のものであることを思い知る瞬間に 重なった時間が締め付ける胸は束ねた枯れ枝のようだ まぶたを閉じるのが怖い スクリーンは少し波打ちながらまだ私を手招きする 素敵な画像をお借りしました。 ありがとうございます。

          カーテンコール

          手をとって、連れていって

          太陽が海に浸かる 辺り一面が同じ色に染まりどちらに向かうものもたった一瞬のその時に囚えられたようだった。  いつも早く過ぎ去って欲しいはずの夏は冬よりも寂しくじっとりとした不安をまた私に残して少しずつ去っていく。  気が付いた時にはいつも色づいた葉にくるぶしの体温を奪われているのだ。  先人が踏み固め整った道を知る私はきっと荒地を歩けないだろう。 彼の進む先を知りたいが聞いたところで私になにが出来るだろう。   閉じた瞼を通して感じる橙色に自分の立っている場所が消さ

          手をとって、連れていって