猫の私はどこへ帰ろうか
物語のような夢を揺蕩ってまだ暗い朝に目が覚めた
放浪する猫の私は様々な名もなき音楽家を渡り歩き共に暮らしていた
もう一匹の猫と暮らす痩せの男
眼鏡の青年
たったひとり海辺に暮らす少女
時が来るとどこからともなく豊満な流浪猫が訪れ言うのだ
「嵐が来ている、丁度良い出発の時ね」
私は悪びれもせず旅立ちの準備をして挨拶してきた
たったひとりの少女の元を発つ時の色とりどりの譜面に零れた涙の光景が焼き付いている
拭おうとたくさんたくさん頬擦りしたけれど、
私の柔らかな毛は彼女の頬を満