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11 .卵巣境界悪性腫瘍のうち最も頻度の高い組織型として正しいものはどれですか .難易度:★★★

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裏回答

日本では粘液性境界悪性腫瘍が全体の62%、漿液性境界悪性腫瘍が全体の24%とこの2つが多い。

明細胞性腫瘍と類内膜性腫瘍はほとんどが腺癌で、境界悪性は少ない。

ブレンナー腫瘍は良性が最も多い。

欧米では、漿液性境界悪性腫瘍が全体の52%を占める。


卵巣腫瘍は大きく分けて5つに分けられます。

①表層上皮性腫瘍

②性索間質性腫瘍

③胚細胞腫瘍

④胚細胞・性索間質性腫瘍

⑤その他

です。

今回は①表層上皮性腫瘍についての問題になっています。

①表層上皮性腫瘍はこれまた以下A-Eの5つに分けられます。

A.漿液性腫瘍

漿液性腺腫、漿液性境界悪性腫瘍、漿液性腺癌(高・低悪性度)

B.粘液性腫瘍

粘液性腺腫、粘液性境界悪性腫瘍(腸上皮型、内頚部型)、粘液性腺癌、

壁在結節を伴う粘液性腫瘍、腹膜偽粘液腫を伴う粘液性腫瘍

C.類内膜性腫瘍

類内膜性腺腫、類内膜腺癌、癌肉腫

D.明細胞腫瘍

明細胞選手、明細胞正教会悪性腫瘍、明細胞腺癌

E.移行上皮腫瘍

ブレンナー腫瘍、境界悪性ブレンナー腫瘍、

悪性ブレンナー腫瘍、移行上皮癌


A.漿液性腫瘍

管状、乳頭状に増殖し、腫瘍細胞の丈は、類内膜性腫瘍に比べて低い。また、細かい乳頭状構造も類内膜性腫瘍に比べて特徴的です。境界悪性腫瘍では階層性、分岐状増殖パターンを示します。境界悪性腫瘍では階層状、分岐状増殖パターンを示します。 

漿液性腺癌↓

漿液性腺癌3 X60

漿液性腺癌7 X40

B.粘液性腫瘍

粘液性腫瘍は腫瘍細胞の細胞質に粘液がみられます。腸上皮型では、胃あるいは腸の粘膜に類似した形態を示し、管状、嚢胞状あるいは乳頭状の増殖を基本とします。悪性においてはback to backな配列、篩状構造の形成が特徴的です。大腸などからの転移性腫瘍が鑑別になるが、粘液性腫瘍では腺癌以外に腺腫、境界悪性部が併存していることが多く、大腸癌では胞巣内に壊死がみられることが多いです。頸管型の境界悪性腫瘍は漿液性境界悪性腫瘍に類似した分岐状の増殖パターンと粘液上皮以外に好酸性細胞や線毛円柱上皮の混在もみられます。

粘液性境界悪性腫瘍↓

粘液性境界悪性1 X60

粘液性腺癌↓

粘液性腺癌1 X40

C.明細胞性腫瘍

明細胞性腫瘍は明澄な細胞質が特徴的で、ほとんどが腺癌です。境界悪性と診断される症例はほとんどadenofibroma(腺線維腫)様増殖を示し、子宮内膜症が併存することがあります。

明細胞腺癌↓

組織像 明細胞腺癌2 X20-2

明細胞腺癌1 EM X40

D.類内膜性腫瘍

類内膜性腫瘍は子宮内膜腺に類似した腫瘍細胞からなり、ほとんどは腺癌です。子宮内膜症を併存していることもあります。扁平上皮への分化を示すことが子宮内膜癌と同様に多く、他の組織型との鑑別に有用です。

類内膜腺癌↓

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E.移行上皮性腫瘍

移行上皮性腫瘍は良性のBrenner腫瘍が最も多いです。線維腫様の硬い腫瘍や、嚢胞性腫瘍でも部分的に硬い腫瘍がみられる場合は、Brenner腫瘍の存在も考えて、注意深く観察する必要があります。細胞巣内の腺腔構造が拡張して、嚢胞状に拡張する場合、嚢胞を囲む細胞に注目して診断することが重要です。

Brenner腫瘍 良性↓

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過去問では出たことのない、境界悪性腫瘍にフォーカスを充てた問題でした。わたしはこの問題を試験本番で間違えたので、よく覚えています。このような新しい問題は翌年に深掘りされることが多いので、受ける前年の問題には留意すると良いでしょう。

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