16 .誤っている組み合わせはどれですか .難易度:★☆☆
裏回答
Chlamydia trachomatisの特徴的所見は細胞質内封入体
解説
今日のキーワード↓
「ウイルスは単独で増殖できないため、細胞核に寄生して増殖する。なので、細胞核に異常所見が出やすい。」✍️
細菌、真菌、原虫はサイズが大きいので、そのものが顕微鏡で40倍レンズで見えます。ウイルスは見えないので、核に異常を来している細胞で判定します。
Candida🐞
属性は真菌
常在菌であるカンジダの繁殖によっておこる性器の炎症。性行為などで移行したカンジダが繁殖したり(外因性感染)、もともと腟内に常在していたカンジダが何らかの誘因により繁殖したり(内因性感染)して発症します。細胞診にて、仮性真菌(Candida albicans)がみられます。
症状は外陰部の掻痒、発赤、主徴、白色帯下(酒粕状、粥状、ヨーグルト状)の増加がみられます。
Herpes virus🦠
属性はウイルス
単純ヘルペスウイルス(HSV)1型、2型を病原体とする性感染症(STI)。初感染後に感覚神経節に潜伏感染し、免疫低下により再び活性化し再発を売り返します。初感染の方が症状は激しいです。細胞診にて、多核巨細胞、核内封入体が多くみられます。
性交後2-10日で発症し、外陰部に疼痛を伴います。また、水疱性、浅い潰瘍性病変を多発します。
Chlamydia trachomatis(⃔ ॑꒳ ॑*)⃕↝
属性は細菌
性交後1-3週間で発症し、漿液性の帯下増加、不正出血、下腹部痛がみられます。クラミジア感染は不妊や異所性妊娠の原因にもなり得ます。(53回婦人科15番の解説参照)細胞診にて、細胞質内封入体がみられ、それにより核が圧排されます。
Trichomonas🐛
属性は原虫
性交後5日-1ヶ月間に発症します。外陰部の掻痒に加えて、悪臭のある黄色~淡い灰色、泡沫状の帯下の増量がみられます。腟壁の発赤もみられます。細胞診にて、多数の好中球のなかに、西洋梨形、不整形のトリコモナス原虫を認めます。トリコモナス原虫は扁平上皮の細胞質なるグリコーゲンを餌にするので、鞭毛を使って扁平上皮の周囲に寄っています。
デーデルライン桿菌はグリコーゲンを乳酸に変える働きがありますが、トリコモナス原虫にグリコーゲンを取られちゃうので、乳酸分泌が減少して、腟炎(好中球増加)を起こします。
Human papilima virus🦠
属性はウイルス
HPV感染に関しては他の問題で話しているので、今回は細胞像に焦点をあてて解説していきます。
①コイロサイト
核の周囲が広く抜けた細胞質をもつ細胞。主に表層型、中層型の扁平上皮細胞にみられます。
②スマッジ核
クロマチンの無構造化、濃染性の核が特徴的。
③巨細胞、多核細胞
長径150㎛以上の大型細胞。また、多核(二核が多い)細胞もHPV感染の特徴的な所見です。
④ディスケラトーシス
異角化(異常角化)ともいう。角化が不完全なために、角層の細胞にも核が残存している状態。
通常、角化細胞は角層に達した時点で脱核しますが、炎症性疾患や腫瘍性疾患では角化細胞の形成が急速に起こることで脱核が間に合わず、角層に核が残ります。
⑤パラケラトーシス
錯角化(不全角化)ともいう。表皮角化(垢)の細胞内に核の遺骸が残っているもの。
角層に達する前に、一部の角化細胞が異常に角化する状態。その角化細胞は壊死やアポトーシスを起こし、核は萎縮し、好酸性の細胞質を有する。周囲の角化細胞との細胞間橋が消失するため、細胞は円形を呈します。炎症性疾患や腫瘍性疾患でみられます。
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