見出し画像

【架空鉄道】最近描いた車両(1)

最近描いた車両の設定を備忘録としてまとめます。
ここ数ヶ月は常武鉄道のディーゼル機関車について考えていました。
常武鉄道は沿線に柿岡地磁気観測所があるため非電化線区を多く抱えており、日本の私鉄では唯一6軸ディーゼル機関車を運用する会社です。今回はそんな常武鉄道のディーゼル機関車を3形式描きました。以下では、テスト機の輸入から量産型の開発に至るまでの流れに沿いながら紹介します。

常武鉄道 CC1000

製造年:1957年
製造社:ALCO(アメリカ)
運転整備重量:74t
動力方式:電気式ディーゼル
出力:1064ps

常武鉄道が初めて導入したディーゼル機関車です。
上野ー水戸を中心に北関東に路線を展開する常武鉄道は、柿岡地磁気観測所の制約によって非電化区間を多く抱えていました。そのため当時の主力は蒸気機関車で、優等旅客列車から貨物列車まで幅広い運用がありました。
しかし、太平洋戦争から終戦を経て石炭の輸入が困難となり慢性的な石炭不足が発生したことから、国として鉄道に割り当てる石炭使用量を減らしていく方針が打ち出され、常武鉄道についても動力近代化を検討することになります。このような経緯で、ディーゼル機関車のテストヘッドとして導入が計画されたのがCC1000です。

▲常武鉄道の一般的な蒸気機関車(せきもと氏監修 作)

常武鉄道はテスト機を導入するにあたり、アメリカと西ドイツからそれぞれ機関車を輸入し、両者を比較検討したのち量産型の開発に入る方針でした。CC1000についてはアメリカから輸入することになり、同国の狭軌対応、中規模輸送用の機関車を探した結果、ALCO社が販売していた"DL531"というパッケージの採用が決まりました。DL531は軸重は13tと軽量な一方で出力は1000馬力以上あり、狭軌鉄道のフィールドでも優等列車から貨物列車まで幅広く活躍できるポテンシャルを有しています。常武においても同様にオールマイティな活躍が期待され、1959年に試作車として1両が現地に到着しました。

4880 Passenger, Sutherland, NSW.

▲CC1000と同型機のNSWGR 48 Class

導入後は各種試験を行った後、蒸気機関車に交じって上野ー水戸間の特急梅花号や茂木ー北千住の貨物列車などに充当されましたが、その活躍はあまり芳しくありませんでした。CC1000の搭載していた電気式ディーゼルエンジンの運用保守が常武鉄道の環境ではスムーズに行かず、導入初期からの故障がなかなか収まりませんでした。結局、その後西ドイツから導入された液体式のCC2000が好成績だったため、CC1000の技術が後の量産機に与えた影響は大きくありません。CC1000自体も故障が多発したため蒸気機関車の運用を代替できず、徐々に運行頻度が低下していき1970年代後半に廃車されました。

常武鉄道 CC2000

製造年:1964年
製造社:Henschel(ドイツ)
運転整備重量:90t?
動力方式:液体式ディーゼル
出力:1900ps

CC1000に引き続きディーゼル機関車の研究のためドイツから輸入された車両です。動力近代化に取り組む常武鉄道は、アメリカと西ドイツからディーゼル機関車を試験導入し、比較検討ののち量産型の開発に着手する方針を打ち出しました。CC1000はアメリカ製でしたので、CC2000は西ドイツから輸入することになりました。また、電気式エンジンは成績が芳しくないということで、液体式エンジンの採用が前提となっています。
当時の西ドイツではマイバッハ製の液体式エンジンを搭載したBR V160の大量増備が始まっていて、テスト機にはこれの類似仕様を採用することが望ましいとの結論になりました。しかしV160は欧州大陸仕様の大型車両であるため、狭軌規格にリサイズした仕様を発注を出来るメーカーが求められました。

Kaldenkirchen, 6 dec 2009

▲西ドイツ国鉄 BR V160

このような条件を踏まえて選定されたのは、V160の狭軌ストレッチ版を製造し諸外国へ輸出を展開していたヘンシェル社です。ヘンシェル社はスペイン、タイ、ブルガリアなどに向けて"DHG1100BB"という狭軌ディーゼル機関車を輸出していましたが、これがV160をリサイズした仕様に当たります。
DHG1100BBはその名の通り出力1100馬力の4軸機でしたが、常武鉄道ではもう少し高出力な機関車が必要であったため、最終的にはDHG1100BBをベースとしつつ軸数を6軸に増やし、V160と同様のマイバッハ製1900馬力エンジンを搭載した仕様をヘンシェル社に発注しました。
このようにしてCC2000は開発され、1964年に試作車1両が完成、翌65年に現地に到着し運用を開始しました。

Santander 24.05.2001
Thailand - Bangkok Thonburi - Henschel engine

▲CC2000のベースとなったヘンシェル DHG1100BBの仲間
(スペイン FEVE / タイ国鉄)

導入後はCC1000と同じく各種試験が行われたのち、上野ー水戸間の客車特急梅花号を中心に運用されました。CC2000は性能、信頼性の両面で非常に好成績で初期不良も早期に落ち着いたため、常武鉄道は量産機の開発に先駆けCC2000の増備を行うことを決定し、1966年から1968年にかけて計10両が導入されました。なお増備型に関しては三菱重工によるライセンス生産の形態がとられ、これが後に増備型であるBBB3000の製造に繋がる布石となります。その後量産型が導入されて以降も第一線で活躍し、急行列車や石灰石貨物列車を牽引しましたが、80年代以降は客車列車の廃止や貨物列車の減便により運用が減少し、新型車両の導入もあって00年代に全廃されました。
現在は保存車として1両が動態保存されており、週末には保存列車として客車を牽引する姿が見られます。

常武鉄道 BBB3000

BBB3000
BBB3020

製造年:1969年
製造社:三菱重工
運転整備重量:94t?
動力方式:液体式ディーゼル
出力:1900ps

常武鉄道初の国産、量産型ディーゼル機関車です。
常武鉄道ではアメリカからCC1000、ドイツからCC2000を輸入し、性能の比較検討を行いながら量産型機関車の開発を進めていましたが、液体式のCC2000が好成績であったことを受け、同車の仕様をベースとして国産量産機を開発することにしました。また、この時期になると国鉄でもDF50、DD51、DD54などが運用され、高出力ディーゼル機関車の知見が蓄積していたことから、国鉄からのフィードバックも採り入れたうえで仕様を決定することとしました。その結果、エンジンはCC2000と同じマイバッハ製1900馬力エンジンを採用することに決まり、車体はCC2000のライセンス生産を担当した三菱重工が担当することになりました。軸配置についてはDF50などの国鉄6軸機の知見を採り入れ、従来のCo-Co式からBo-Bo-Bo式に変更が加えられました。こうして、エンジンはドイツ製でありながら、それ以外は国産化が実現された形でBBB3000が開発されました。

MS101

▲蒸機牽引の優等列車のイメージ(NZR Ab class)

BBB3000は遅れていた無煙化の旗印としての役割を期待されていました。そのため、重量貨物列車から高速優等列車まで全ての運用に対応できる仕様として開発され、この一形式で無煙化の達成する計画でした。1969年に第一ロッドが導入されて以降、1970年代後半まで継続的に導入が続き、1978年に完全無煙化が達成されるに至ります。
BBB3000は大量増備される過程で何度かマイナーチェンジを行っています。最初のマイナーチェンジは空気ばね台車の採用で、これは国鉄EF66での実績を踏まえて採用されたものです。後期製造車ではエンジンの国産化が行われ、部品の完全国産化が実現しました。このようにしてあらゆる運用を担っていたBBB3000は、1980年代に客車列車が廃止されると初期車の一部が廃車となりますが、それ以外は石灰石貨物の運用を中心に00年代以降も活躍し、2022年現在も大多数が現役で運用されています。しかし、2010年代後半にBBB3000置き換え用の新型機関車が導入されたため、徐々に数を減らしつつあります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?