ユナイテッドカラーズ
ベネトンが好きだ。
もちろん着たことはない。
あるときから、
広告批評や、宣伝会議や、ブレーンを、
FUDGEや、rockin’onや、SWITCHみたいに、
必ず毎号手に取って読むことを続けている。
私はとにかく雑誌というパッケージが
たまらなく好きだ。
とりわけ、その広告が好きで観ている。
私にとって佐藤可士和という存在は、
もはやゴシック体がこの世にあるかないか、
それくらい大きい。
世界で一番素晴らしいデザインは、
深澤直人先生のINFO BARみたいな携帯だと
今でも思い出すと懐かしくなる。
ベネトンの広告が私の人生を変えた。
あんなの観たら普通はグレてあたりまえだ。
ヤンキーや暴走族なんかに、
あれくらいのメッセージ性や暴力性がなく、
彼らにはクリエイティブな優劣はないから、
ベネトンの方が私をビビらせる存在だった。
当時F1のドライバーはネルソンピケだったが
それまでも私の心を奪った。
とは言え、
オリビエーロ・トスカーニ先生は冷静なのだ。
広告は私たちに微笑みかける死体、という
言い方すら(翻訳のセンス)渋い。
焼鳥屋さんで働いている私は、
砂肝やハツが出るたびにこれを思い出す。
日常に近ければ近いほど
祝福されたアートだ。
果歩ちゃんはそう言ったが、
ユナイテッドステイツオブより、
ユナイテッドカラーズオブが、
カッコいいのはそのせいかも知れない。