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「糖尿病および肝硬変患者におけるα-グルコシダーゼ阻害薬の肝関連長期転帰」

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「糖尿病および肝硬変患者におけるα-グルコシダーゼ阻害薬の肝関連長期転帰」

【背景】肝硬変患者における糖尿病の適切な管理は困難である。我々は、糖尿病と肝硬変を有する患者におけるα-グルコシダーゼ阻害薬の肝臓関連の長期転帰を検討するために本研究を行った。

【方法】台湾のNational Health Insurance Research Database(NHIRD)から、2000年1月1日から2017年12月31日の間に代償性肝硬変を有する2型糖尿病コホートから、傾向スコアマッチさせたα-グルコシダーゼ阻害薬使用者と非使用者を募集し、2018年12月31日まで追跡した。

ロバスト標準誤差・サンドイッチ標準誤差推定値を用いたCox比例ハザードモデルを用いて、α-グルコシダーゼ阻害薬使用者と非使用者の主要アウトカムのリスクを評価した。

【結果】追跡期間中の死亡発生率は、α-グルコシダーゼ阻害薬使用者と非使用者でそれぞれ1,000患者年あたり65.56対96.06であった。

多変量調整モデルでは、α-グルコシダーゼ阻害薬使用者は全死亡(aHR 0.63、95%CI 0.56-0.71)、肝細胞癌(aHR 0.55、95%CI 0.46-0.67)、非代償性肝硬変(aHR 0.74 95%CI 0.63-0.87)、肝性脳症(aHR 0.72 95%CI 0.60-0.87)、肝不全(aHR 0.74 95%CI 0.62-0.88)であった。

α-グルコシダーゼ阻害薬の累積投与期間が364日以上の患者では、これらの転帰のリスクが非使用者よりも有意に低かった。

【結論】α-グルコシダーゼ阻害薬の使用は、糖尿病を有する代償性肝硬変患者における死亡率、肝細胞癌、非代償性肝硬変および肝不全のリスクの低下と関連していた。

α-グルコシダーゼ阻害薬は代償性肝硬変患者の糖尿病管理に有用である可能性がある。

この結果を検証するためには、大規模な前向き研究が必要である。

【キーワード】全死亡,代償性肝硬変,肝性脳症,肝不全,肝細胞癌

Liver-related long-term outcomes of alpha-glucosidase inhibitors in patients with diabetes and liver cirrhosis
Fu-Shun Yen, et al.
Front Pharmacol. 2022; 13: 1049094.

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