オンライン服薬指導2

jyou

6月の記事にも書きましたが、オンライン服薬指導の詳細が見えてきました。

■オンライン服薬指導の位置づけ

これまでは「対面」と「オンライン」を対比して語られることが多かったのですが、薬機法9条の3で、映像及び音声を用いた服薬指導を対面服薬指導に含める、としているので、整理が必要です。

服薬指導の手段は以下の①から③の3つになります。①と②が対面、③が非対面です。②がいわゆるオンライン服薬指導です。0410通知対応の電話服薬指導は③に該当します。薬機法では対面服薬指導を行わなければならない、とされているため、③は薬機法違法ですが、0410通知によって暫定的に行ってもよい(薬機法9条の3には違反するが、それによる不利益は被らない)とされています。

①実対面服薬指導(相手を直接見ることができ、直接話すことができる、といったところでしょうか。透明パーティション、シールド越しの服薬指導もここに含まれると考えていいと思います。薬局内の陰圧室にいる患者に対して、薬局内ではあるが、陰圧室の外からクローズドなインタフォンで服薬指導を行う場合などはどのように扱われるか議論があるかもしれません。)

②映像対面服薬指導(テレビ電話などで映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする。薬剤師は薬局内(調剤室ではなくてもよい)にいる必要があります(令和二年三月二十七日 厚生労働省 令 第五十二号)。映像のフレームレートなど詳細の規定はありません。)

③非対面服薬指導(①、②以外。電話など音声のみの場合がここに該当します。)

なお、薬機法、および施行規則ではオンライン服薬指導は薬機法でいう対面服薬指導に含まれる、という建付けなのですが、この薬機法、施行規則を説明する厚労省通知薬生発0331第36号では、オンライン服薬指導は「対面による服薬指導」とは別のものとして記載されているので、薬機法の規定はわきに置いておいて、服薬指導には、①対面服薬指導(オンラインを含まないもの)と、②オンライン服薬指導、③0410通知対応の電話服薬指導、がある、と把握しておけばいいかもしれません。

■オンライン服薬指導の要件

上記②の映像対面服薬指導(以下オンライン服薬指導)を行うためには、例えば、

服薬状況を一元的に把握している、

対面による服薬指導(実対面服薬指導のことと解釈してよいでしょう)を行ったことのある薬もしくはそれに準ずるものに限る、

など条件がいくつかあります。(薬生発0331第36号)

ここでややこしいのが、オンライン服薬指導の対象となる処方箋の要件です。この要件は薬生発0331第36号第2(3)④(ア)(イ)に記載されています。

(ア)オンライン診療を行って発行された処方箋はオンライン服薬指導の対象にできる

(イ)訪問診療を行って発行された処方箋はオンライン服薬指導の対象にできる

ここで、(イ)の細目に、訪問診療とオンライン診療を組み合わせて診療を行っている場合の、オンライン診療による処方箋はオンライン服薬指導の対象にできない、と規定されている点に注意が必要です。

つまり(ア)は以下のように読み替えて理解する必要があります。

(ア)オンライン診療を行って発行された処方箋はオンライン服薬指導の対象にできる。ただし、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた診療を行っている場合のオンライン診療による処方箋は、他の要件を満たしていてもオンライン服薬指導の対象にできない。

なお、薬生発0331第36号第2(3)④には、オンライン服薬指導の対象としてよいかわかるようにするために、例えば処方箋の備考欄に「(ア)の場合には「オンライン診療」、(イ)の場合には「訪問診療」と記載することを提示しています。上記の通りなので、例えば、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた診療を行っている医師が、オンライン診療を行い処方箋を発行し、その備考欄に「オンライン診療」と記載した場合は、訪問診療との組み合わせだからオンライン服薬指導は行えない、と判断する必要があるということになります。それとは逆にオンライン診療を行ったにもかかわらず、その備考欄にうっかりDoで「訪問診療」と入っていると、オンライン服薬指導できる、と判断してしまいそうです。緊密に連携していればそのような間違いは生じない、ということでよいのでしょうね。

■関係条文

施行規則

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令第十五条の十三の2

薬生発0331第36号






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