オンライン服薬指導

新型コロナ対応の特例で電話などを使ったお薬の説明が可能になっていますが、新型コロナの特例ではないオンライン服薬指導が2020年9月1日から可能になります。

オンライン服薬指導は、①特区で認められていた、離島・へき地において実施されるもの、②特区で都市部にも拡張されたもの、があったわけですが、これが特区以外にも広く認められることになります。

実施を阻害する要因となりそうな、オンライン服薬指導の録画録音要件も今のところ施行規則には入っておらず、必須とはされない気配があります。

オンライン診療が注目されており、いくつかの業者がサービス提供していますが、オンライン交信には普及度の高いLINEを使えるのがひとつの望ましい形です。クリニックや病院にはLINEを使ってオンライン診療を行うことができることをアピールしているところもあります。ところが特区でのオンライン服薬指導では録画録音条件がネックとなりLINEを活用することが難しい状況でした(LINEそのものにはビデオ通話を録画録音する機能はありません)。

今回認められるオンライン服薬指導で録画録音要件が入らなければ、ずいぶんと導入しやすくなると思います。

オンライン服薬指導は、薬機法第9条の3の対面の定義を拡張する形で認められるようになります。

薬機法第9条の3(令和3年に薬局開設者の法令遵守体制が第9条の2として挿入されるのに伴い第9条の4にリナンバリングされる予定)は薬歴記載の実質義務化の根拠ともなっていた条文ですが、なかなか盛沢山な条文です。太字が改正箇所です。対面の定義を無理やり拡張しています。それに加えて薬歴が平成26年改訂での実質義務化から義務化になっていることに注意です。薬学管理料を算定しなければ薬歴を書かなくてOKというわけにはいかなくなるのかもしれません。

改正薬機法 https://www.sn-hoki.co.jp/data/pickup_hourei/onct/IYAKUHIN-HOU20191204-63-1.html

改正施行規則 https://www.sn-hoki.co.jp/data/pickup_hourei/onct/IYAKUHIN-KISOKU20200327-52.html

第九条の三 薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、当該薬剤を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、対面(映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものを含む。)により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面(当該事項が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下第三十六条の十までにおいて同じ。)に記録されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを含む。)を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

2 薬局開設者は、前項の規定による情報の提供及び指導を行わせるに当たつては、当該薬剤師に、あらかじめ、当該薬剤を使用しようとする者の年齢、他の薬剤又は医薬品の使用の状況その他の厚生労働省令で定める事項を確認させなければならない。

3 薬局開設者は、第一項に規定する場合において、同項の規定による情報の提供又は指導ができないとき、その他同項に規定する薬剤の適正な使用を確保することができないと認められるときは、当該薬剤を販売し、又は授与してはならない。

4 薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、当該薬剤を購入し、若しくは譲り受けようとする者又は当該薬局開設者から当該薬剤を購入し、若しくは譲り受けた者から相談があつた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

5 第一項又は前項に定める場合のほか、薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、その調剤した薬剤を購入し、又は譲り受けた者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握させるとともに、その調剤した薬剤を購入し、又は譲り受けた者に対して必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

6 薬局開設者は、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に第一項又は前二項に規定する情報の提供及び指導を行わせたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該薬剤師にその内容を記録させなければならない。




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