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【PharmaX創立5周年】共同創業者が語る、創業からの挑戦とさらなる5年のビジョン

こんにちはPharmaX広報の上島です。

2023年12月7日、PharmaX株式会社は創立5周年を迎えました。

創立記念日の前日には全社合宿や懇親会の開催し、当日は社内向けにPharmaXの歴史を綴った5周年特設ページを公開、そして共同創業者の辻さんと上野さんのお二人に、5周年を迎えた今の思いや次の5年間のビジョンについて対談いただきました。

今回は、お二人の対談内容をレポートとしてご紹介します。
音声も載せておりますので、ぜひお聞きいただけますと幸いです。


ーーー改めて5周年を迎えた今の思いを聞かせてください

辻さん:5年間で多くを学び、感情の起伏もありましたが、あっという間でしたね。次の5年もあっという間に過ぎないように気を引き締めたいです。

上野さん:振り返ってみると、5年は短く感じられました。一瞬のように過ぎ去ったような気もしますが、同時にかなり長く感じる不思議な感覚もあります。昔は5年あれば何でもできると思っていましたが、本気で何かを成し遂げるには5〜10年はかかるものだと再認識しました。次の5年を大切にしないとですね。

ーーー創業時に思い描いていた理想と比べてどうですか?

辻さん:自分自身の経営力不足により、創業当初に想像していた理想とは乖離があるというのが正直なところです。組織創りや事業の進め方、投資配分など、さまざまな部分で失敗し、失敗を認めて軌道修正するタイミングも遅かったなと。もしもスピーディーに意思決定して正しく実行できていれば、現在とは異なる地点まで到達していた可能性も十分あります。全く後悔はしていないですが、強く反省しています。

上野さん:過去には創業から4〜5年で上場している企業もあることから、5年もあればそれなりのところまでいけていると思っていました。しかし、振り返ってみると、自分たちの想定が甘かったと反省しています。それでも、それなりに頑張ってきたことや、志を同じくするメンバーが集まり会社の形を成していることに、満足はしていないものの絶望していません。

ーーー現在50名近い組織ですが、改めて2人体制から組織化したことに対する思いを聞かせてください

辻さん:採用時にPharmaXのミッションやビジョン、事業内容をお伝えして入社いただいていますが、これはある意味メンバーとの約束事です。
入社してくれる方々は、ミッションに共感してジョインしてくれているため、その約束を守る責任があります。イメージとしては、借金をしているような感覚です。銀行からは文字通り借金をしていますが、社員とも未来の期待や可能性を伝えた上で、「あなたの貴重な時間を貸してください。一緒に医療体験の未来を創りましょう」と口説いているので、ある意味で借金をしているといえます。
この借金は次の5年間でちゃんと返していきたいですし、ミッション実現はもちろんのこと、各々の人生において強烈な思い出として刻まれるような日々を過ごして欲しいと思っています。

上野さん:経営者としての思いやスピードに対する危機感が、組織の成長速度に大きく影響することをこの5年で痛感しました。
次の5年に向けて、全体的に組織のスピード感を高めていく必要があると考えています。理想とする組織を築くためには、経営者が強い想いとスピードへの危機感を持っているかで決まると考えています。

ーーー(辻さんから上野さんへ)共同創業者からエンジニアリング責任者としてのスタンスに変化したターニングポイントについて教えてください

上野さん:直近の1年~1年半ぐらいで、自意識としてエンジニアになりました。
これまでは経営者としてなんでもやるというスタンスでしたが、それでは本当の意味で、強いエンジニアリング基盤を作ることはできません。成果を得るためには特定の分野に深く関与する必要があります。
またテクノロジーを使って世の中を変えることは、一朝一夕ではできないと気づきました。
エンジニアリングの基盤を強化することこそがPharmaX全体を強化することにつながるという認識が芽生え、私の役割はそこにあると明確になりました。

ーーーこの5年間で一番印象に残っている出来事について教えてください

上野さん:一番最初にメンバーが入ってきてくれたときのことはすごく覚えています。創業者以外のメンバーが増えていくことで、会社が大きくなっていくんだというわくわく感がありました。今思うと笑ってしまうような状況(お金もない、プロダクトもない、あるのはミッションだけ)に飛び込んでくれる覚悟を持ったメンバーがいたからこそやってこれました。
ここ1年は会社の方向性がなかなか定まらず、もっとやれないのか、もっとやれるはずなのにという、まさに理想と現実のギャップを強く感じていました。目の前の売上や事業の成長などに追われていて、ミッション、ビジョン、バリューを全員で意識して一体感を持つことが弱くなってしまったように感じます。
同じような考えで動いていると心強く楽しく働けます。もう一度ギアを入れ直し、同じ船に乗っていこうという思いを強く持ち、みんなが同じようにバリューを意識していけるよう変えていきたいです。

辻さん:2年前のことです。当時は自分自身の軸がかなりぶれていました。今思うと権限移譲という名の丸投げをして、創業者にも関わらずラストマンシップが弱まってしまっていたように思います。その結果、ミッションに対する想いが創業初期より弱くなり、周囲にも悪影響を及ぼしていました。
そんな時に周りの幹部陣が、覚悟を持って直言してくれたのがきっかけで、本気で変わらないといけないと気づくことができました。
軌道修正に約1年かかりましたが、 お陰様で土台が固まりました。
次の5年間では、ミッションとバリューを大切にしながら事業推進を並行して進めていく予定です。

ーーー組織を一枚岩にしていくために、次の5年に必要なものとは何だと思いますか?

上野さん:組織を一枚岩にするためには、同じ価値観を持った人を中心に組織を作り、それぞれがバラバラの方向を向かないように徹底することだと考えています。また、事業では視座の高さや思いの強さが必要で、経営者が強い思いを持っているかどうかを自問自答し、お互いに厳しく問い合うことも大切だと思います。

辻さん:PharmaXのいいところは、経営者だけでなくメンバー同士がお互い刺激し合い、率直な意見を言えるところ。なかなかできている会社は少ないため、視座が下がっていたら指摘し合うことは続けていきたいです。

ーーー次の5年に向けて、どのように技術で医療体験を変えていこうとしていますか?

上野さん:次の5年に向けて、PharmaXはLLMへの技術投資をしていきます。
医療分野では非構造化データが多用されており、医療分野でのIT化の遅れの根本的な原因でもあります。また患者と医師が対話することで情報収集するため、データをシステムに落とし込めずIT化を難しくしていました。
しかし、AIの発展により、AIを活用して医療データを解釈しシステム化することで、科学的根拠に基づく知識の蓄積と活用において人間を上回ることができます。特に医療分野においてはLLMとの相性がよく、今後AIの活用が広がることが予想されます。
また、近年医療分野におけるUXの変化が進んでおり、今後も変化が期待されます。患者体験をいかに速く、いかになめらかにし、より正しい情報を提供できることが大切で、PharmaXはこのポジションを目指します。
そのためには、PS(Patient Success:ペイシェントサクセス)の業務体験や精度をあげて、その分を患者に価値を還元することや、価格を下げるなど目に見える形で患者に還元することで、患者満足度を高めていきます。
価格や返信速度などの要素も重要ですが、明確な勝ち筋までは明らかではありません。これらの要素を見極めながら進展していきます。

※PS:チャットによる患者対応を行う医療アドバイザーのこと

辻さん:PharmaXの強みは、上野さんが共同創業者でエンジニアリング責任者であることです。共同創業者がテクノロジーに精通している人間であることは非常に大きいです。
産業革命以降、人が機械やソフトウェアを使いこなすことで徐々に生産性が向上してきました。しかし、生成AIの登場により、この関係が逆転し始めています。今後はAIが人間の行動をコントロールしていくことでしょう。ここ数年は、人間とソフトウェアの主従が変わる歴史的に見ても重要な転換期だと考えています。
労働集約モデルがAIに塗り替えられてスケーラブルになる未来はもうすぐそこにあります。特に医師や薬剤師をはじめとする医療者は、今後想像以上に早いスピードで働き方の変化が訪れるでしょう。
しかし、多くの医療機関がまだ旧態依然としており、AIの普及には時間がかかる可能性があります。
だからこそPharmaXは医療機関を直接運営し、医療者と共にAIを積極的に活用して、最適な医療体験を提供することを目指しています。そのために、技術の進化に迅速に対応できるエンジニアチームの存在が不可欠です。

上野さん:技術の進化により、インターフェースが変わることは一番大きなことです。
現在は手打ちやキーボード、フリック入力などのインターフェースを使用していますが、自然言語での操作が可能なインターフェースが登場することで、人から行動を起こさなくてもITと繋がることができるようになります。将来的には、ITとの境目がなくなり、PCの前に立たずとも操作できるようになるなど、この5年間で劇的に変化していくことが想像できます。
ただ難しく考える必要はなく、結局いつの時代も、最先端の場所でとことん遊んだ人が利益を得る仕組みになっています。ゲームはいつもシンプルです。

辻さん:10年ほど前のスマホシフトのとき、成長企業のトップはいち早く「スマホへシフトするぞ!」と断行していました。
PharmaXにおける自分の役割は、「LLMへ投資する」と判断し、投資ある投資を実行し続けることです。それさえできれば、上野さんを中心としたエンジニアチームがどんどん勝手に成果を出してくれるだろうと信じています。LLM技術は触っていて楽しいですか?

上野さん:やっぱり楽しいです。LLM単独ではなく、取り巻く技術も発展することでパラダイムシフトを起こせるかどうかが肝になってきます。そのためにはデバイス上にAIがそのまま掲載されるような、もう少しエッジ寄りになっていく必要があります。OpenAIのサーバーにアクセスし、APIをひっぱってくるのでは遅く、人にAIが物理的に寄ってこないと革新は起こりません。
AIモデルが自社のリソースやデバイス上に搭載されることで、圧倒的なレイテンシーの速度の差を乗り越えることで次のシフトが実現するだろうと考えています。

ーーーLLM以外にPharmaXが目指す未来についてもお聞かせください

上野さん:人間が科学的な部分を伸ばしていく時代は終わり、AIのほうが人間よりも賢いということが分かってきました。ただ、科学が発展したからこそ、科学だけでは人は幸せになれないと考えていて、結局は「医は仁術なり」ということにたどり着くなと思っています。

辻さん:上野さんの意見に同感です。これまで西洋的な価値観や科学が世の中では正しいとされ、他の価値観は否定されてきました。けれど世界を見渡すと、様々な価値観が存在しています。技術の進歩と共に、より多様な価値観が許容される未来が来ると考えています。
『YOJO』は東洋医学的な考え方や、「医は仁術なり」「病ではなく人を診る」といった思想を大切にしています。単に漢方薬を売るサービスではなく、テクノロジーを活用することでカルチャーや価値観・思想を世界中に拡散できるようになると、面白い戦いができると思っています。

上野さん:改めて「病気を診ずして人を診よ」という言葉はいい言葉だなと思いますし、科学的なことでは人間は癒せないんですよね。

辻さん:西洋医学がエビデンス偏重になりすぎて心身ともに救えていない患者が増えてきている今、振り子の法則で世界的に漢方市場が成長しています。
最初は弱者であり今なきものだけれども、5~10年後には需要が高まるものに対してbetすることがスタートアップの醍醐味です。
PharmaXはまず今はなきものに対してbetしてきました。
次の5年はPharmaXの存在意義を証明するために、そして日本だけでなく世界にインパクトを与えていけるように取り組んでいきます。

最後に

創業以来、オンラインに特化した薬局として紆余曲折しながら、身近な医療者となるべく患者さんの心身の悩みにきちんと寄り添い、新たな医療体験をお届けできるよう、さまざまなプロダクトやサービスを開発・提供してきました。

今回5周年という大切な節目に、創業時から今に至る5年間の歩みを振り返ることで、大きな気づきや学びがありました。
次の5年も、引き続き「世界で最も患者・生活者主体の医療体験を創造する」というミッション実現へ向けて、医療とテクノロジーをかけあわせた新たな挑戦をし続けていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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