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【当院の活躍する薬剤師たち #1】:みたき総合病院&ヨナハ丘の上病院|古橋亜沙子先生


「病院薬剤師は、患者の安全を確保し、医療業務を効率化する上で重要な役割だと思います。」

そう語ってくださるのは、以前ヨナハ丘の上病院にお勤めで、現在みたき総合病院の理事長である古橋亜沙子先生です。

連載「当院の活躍する薬剤師たち」シリーズ第一弾は、麻酔、一般内科、緩和ケア内科、ペインクリニックを専門領域とする古橋先生に、お話しをお伺いしました。

みたき総合病院外観

▼病院のご紹介

医療法人尚豊会 みたき総合病院(三重県四日市市)と医療法人尚徳会 ヨナハ丘の上病院 (三重県桑名市)は、三重県の南西部と北西部に位置する、約200床の中規模病院です。
「私たちは、創造的で、あたたかく、優しい保健、医療や福祉を心がけ、地域とともに歩みます。(みたき総合病院)」「かかわりあうすべての人々の安心と満足を創造する(ヨナハ丘の上病院)」という基本理念の元、地域医療を支えています。

院内待合スペースの様子

まず、ヨナハ丘の上病院における、病院薬剤師の役割を教えていただけますか?

古橋先生: ヨナハ丘の上病院は、救急部門を持ったケアミックス病院です。当時の薬剤部には薬剤師の先生が3名と薬剤部助手1名が在籍していました。
服薬指導などを介した患者ケアの向上への貢献はもちろん、患者さんの安全を最優先に考え、病院全体の医療安全を支えてくれていました。具体的には、医師の処方を的確にチェックし、最新の薬学的知識を用いながら処方提案をしていました。医療安全の視点をもって確認してくれるのでとても頼りにしていました。また、持参薬の鑑別や残薬の整理も行ってくれるため、看護師が看護業務に専念できる環境になっていました。
薬剤師の先生が病棟に上がってくれなければ、医師や看護師の病棟業務が回らなかった、と思っています。

薬剤師の介入によってどのような変化がありましたか?

古橋先生: 医師や看護師の負担が軽減したことで、新規の入院を受け付ける際のボトルネックが減りました。一人の患者さんが入院する際には大量の薬の持参があるのですが、薬の確認から新規のオーダーまでに多くの時間がかかっていたんです。そこへ、薬剤師の先生方が介入することで、ぐっと時間が短縮されました。
そして、看護師は患者さんの情報収集をする業務に専念できて、複数の患者さんの入院を受け入れるハードルが下がりました。また、薬剤師の先生が、入院後の患者さんのところへ行って、服薬指導をしてくれることで、安心感が生まれるし、看護師も専門ではない薬について患者さんから聞かれることもなくなり、うまくタスクシェアをすることができていたと思います。

薬剤師の介入により、受入患者数にも変化を及ぼしたのでしょうか?

古橋先生:具体的な定量データはないですが、ベッド回転率はあがったなという感覚はあります。看護師が不慣れな薬剤を扱わなくて済む分、看護業務に専念できるので、病棟全体の稼働率や生産性が上がっていたと思います。また、薬剤師の先生は常に最新の薬剤情報にアップデートしているので、「薬のことは薬剤師に聞こう」と現場のスタッフは頼りにしていました。それに、医者に質問するより心理的ハードルも低そうでした。

まさにチーム医療ですね!病棟常駐薬剤師がいらっしゃるのでしょうか?

古橋先生:病棟常駐薬剤師はいませんでしたが、病棟でみかける時間は多かったですね。急性期なので、次々に入ってくる患者さんを安全に回していくために、自主的に薬剤師が介入してくれていたようです。改めてチームを組む、というよりも自主的に病棟に上がってくれていましたね。そのかわり、薬剤部の電話番や、電子カルテの薬剤オーダーの修正業務、薬剤を病棟へ運搬するような雑務は事務補助がやっていました。

次に、みたき総合病院における薬剤師の役割について教えてください。

古橋先生:みたき総合病院は、ポストアキュート病院で四日市市唯一の緩和ケア病棟を併設しています。薬剤師の先生は症状緩和を必要とする患者さんのために、チームの一員として連携して支えてくれています。緩和ケア病棟は取り扱う薬剤や麻薬も多く、薬剤管理には特に注意が必要です。以前は終末期の患者さんの膨大な持参薬を看護師が数えて、紙に記入していました。ジェネリックも多く、確認作業にとても時間がかかる上に、間違いもあり、担当医師の負担になっていました。
また、当院の構造的特徴として、病棟が横に広いんですね。薬が変わる度に看護師が別棟の薬剤部へ取りにいかなければならず、人手も時間も取られてしまって、医療安全上からも問題がありました。
しかし、薬剤師の先生方が持参薬の確認をして、電子カルテに登録をしてくれたり、事務補助の方が薬剤を運んでくれるようになったことで、緩和ケア病棟の看護師業務が大きく改善されました。やはり専門家の薬剤師の先生が確認してくれる方が正確だし、信頼できるし、医療安全上も大変助かりますね。さらに、薬剤の知識も豊富なので、処方の相談にも乗ってもらえるので医師は助かりますよね。

緩和ケア病棟なごみ 外観

最後に、薬剤師の方々に対するメッセージをお願いします。

古橋先生: 薬剤師の先生方の存在は、医療現場においてなくてはならない存在です。患者の安全を確保し、医療業務を効率化する上で重要な役割だと思います。ある意味、リアルタイムに患者の治療を医師と協働でおこない、かつ安全性を担保してくれる存在だと思っています。病院全体の医療安全を向上させるためには、今後も薬剤師と他の専門職がチームとして連携し、地域の患者さまにとって最適な医療を展開していく必要があります。これからも薬剤師の専門性を最大限に発揮し、医療現場全体の質の向上に貢献してほしいと思います。


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